short story
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「「「最ッ悪!」」」
実習で呪霊を祓った、虎杖・伏黒・釘崎。
無事に祓うことが出来たのだが、如何せん立地と運が悪かった。
河川沿いに建っていた、古ビル。
それを解体途中に発生した呪霊を祓うことが、今回の課外授業だったのだが──。
解体中だったことも相まって、呪霊を祓っている最中にビルの一部が倒壊。
見事川へ真っ逆さま。
しかも、日本で一番汚い川だと言われている、綾瀬川に。
「うわー、汚〜い。くさ〜い」
勿論、その様子を監督していた五条は、無下限&空中散歩で、当然のように泥ひとつ被っていなかった。
***
「近くに銭湯あってよかったな!」
「……番頭のばあさんにはビックリされたけどな」
銭湯へ寄る前にコンビニで買った大きめのビニール袋。
その中へ目も当てられない程に汚れた制服からインナー、下着を放り入れる虎杖。
「まーまー、いいんじゃない?裸の付き合いってのも、たまには悪くないもんだよ。」
そして汚れるどころか汗ひとつかいていないというのに当然のように服を脱ぎだす五条へ、伏黒は呆れた色を含んだ視線をジトリと向けた。
「つーか、アンタは入る必要ないだろ。」
「何よ、恵ったら!さと子を仲間外れにするなんて酷いワ!」
気味の悪い裏声で非難され、これ以上追及することを諦める伏黒。
当然のように銭湯代は五条が支払ってくれたため、害がないと言えばないのだが。
強いて言うなら、『実習で泥水まみれになった後、はしゃぐ担任の相手をするのは疲れる』の一言に尽きた。
「うわ、先生筋肉バッキバキじゃん!すっげー!」
「そりゃね、僕最強だし。悠仁も…ほほ〜う?中々いい大円筋をお持ちで。」
「「どこだよ、大円筋って。」」
相手にしないと心に決めたのに、つい伏黒も突っ込みを入れてしまう。
見事にハモった男子二人の声に、「脇の下あたりの筋肉」と大変大雑把に五条は笑いながら答えた。
「よいしょ」という掛け声と共に、上半身の服を全て脱ぎ終えた五条の背中を見て、虎杖が小さく首を傾げる。
五条が先程、雑に教えてくれた大円筋あたり。
脇と背中の間あたりから肩甲骨近くまで、赤い筋が何本か走っている。
切り傷というには浅く、蕁麻疹というには長細い。
日焼けを知らなさそうな白い背中に、それは酷く目立った。
「先生、猫とか飼ってたっけ?」
「いんや。なんで?」
「背中に引っかき傷あるから。」
虎杖の指摘に、五条はニタリと笑い、伏黒はあからさまに視線を壁へ移す。
「あー、これね〜。これはね〜男の勲章というか〜」
「なんで男の勲章?」
傾げた首を更に傾ける虎杖の背中を、伏黒が小さく小突いた。
伏黒の過去の経験から『これ以上五条に喋らせてはいけない』と、頭の中で警鐘が鳴り響く。
「虎杖。五条先生だって怪我くらいするんだろ」
「無下限あんのに?」
何故こんな時は鋭いのだ。
苦虫を噛み潰したような顔をする伏黒を、五条はアイマスクを外しながらクツクツと笑っていた。
「……無下限が効かない相手だっているんだろ。」
「何それ!すっげー!それ先生くらい強いってことだろ?」
虎杖の中で『五条悟』は最強という地位を不動にしている。
それを揺るがす存在は大いに興味があるに決まっている。
純粋な興味と興奮に目を輝かせる虎杖に対して、含み笑いを浮かべて五条は目元を細めた。
「そうだね〜、僕も時々敵わないかな。ね、恵。」
「なんで俺に振るんですか。」
付き合いきれないと言わんばかりに、足早に大浴場へ向かう伏黒。
虎杖はと言うと、伏黒の様子と五条の笑みを見比べては首を傾げるばかり。
それもそう。
なぜなら同じ質問を、二年ほど前に伏黒も投げかけてしまったのだから。
***
着替えがない虎杖や伏黒よりも一足早く風呂を出た五条は、番頭の老婆と世間話をしていた彼女を見つけ、軽く手を挙げた。
「や、名無し」
「お疲れ様です、五条さん。とりあえずこれが男子組の着替えです。サイズ合いますかね?」
「まぁ大丈夫っしょ。野薔薇のは?」
「さっき脱衣所に行って渡してきました。」
スエットと男物の下着が2セット分。
袋はよく見る衣類量販店のもので、部屋着として使うには十分だろう。
「僕も渡して来よう〜っと」
ユニク〇の袋を引っ提げ、五条は足早に男性の脱衣所へ向かった。
その間、名無しは牛乳瓶が並んだ自販機へお金を投入する。
コーヒー牛乳と牛乳を二本ずつ。
待合所のベンチに座って待っていると、着替えを渡し終えた五条が定位置に座るように名無しの隣へ腰を下ろした。
「そういえばさっき、悠仁に『猫でも飼ってるのか』って聞かれちゃった。」
コーヒー牛乳を開け、五条が笑う。
「?、何でですか?」
「え。もう忘れたの?昨日あれだけ僕に抱きついていたのに。」
ぐびっと喉を鳴らしてコーヒー牛乳を一気に半分喉へ流し込む五条。
上下する喉仏を見ていた名無しはというと、五条の言葉の意味を数秒考えた後、理解した途端ベンチから転がり落ちそうになった。
「な、なんっ、な、治してくださいって以前言いましたよね!?」
「消さないよ、って前から言ってるでしょ。大丈夫大丈夫、悠仁は気づいていなかったし。」
「……待ってください。虎杖くん『は』ってことは、伏黒くん気づいてるやつじゃないですか……!」
五条は内心『恵は結構前に見られて、聞かれたし』と舌を出す。
それを彼女に伝えたら悲鳴を上げて倒れそうなので、ここは大人らしく言葉を呑み込む。手遅れかもしれないが。
「もう絶対抱きつきません…」
「好きにすればいいけど、縋らざるを得ないくらいもっと激しくしちゃうけど?」
「卑怯ですよ……!」
そう。原因は昨晩の情事。
珍しく定時で仕事を切り上げた五条は、当然のように寮の管理人室に帰宅し、当然のように夕食を食べ、風呂に入り、当然のように身体を重ねた。
まだまだ体力が有り余っていたのか、昨晩は外が白むまで離してもらえなかった。
次の日授業があるでしょう、と名無しは訴えたが、五条は笑いながら『それはそれ。これはこれ。』とキスの雨を降らせただけだった。
そうして、結果出来てしまったのが『情事の痕』というわけだ。
今でも十分溺れる程に激しいというのに、これ以上激しくされてはたまったものじゃない。
名無しはジトリと目付けるが、肝心の五条は笑うばかり。
「僕の身体に傷を残していいのは名無しだけだよ。」
どうせなら、消えないくらい深いものを。
……なんて、我儘だろうか?
夜を刻む
女湯から出てきた釘崎が、待合所ベンチ付近で顔を覆う虎杖と、憐れむような視線を向ける伏黒と遭遇する。
「何やってんのよ、アンタ達。」
「虎杖が自己嫌悪に陥ってる。」
「俺しばらく名無しの顔見れないかも……」
いたいけな男子高校生には、少々刺激が強かったようだ。
実習で呪霊を祓った、虎杖・伏黒・釘崎。
無事に祓うことが出来たのだが、如何せん立地と運が悪かった。
河川沿いに建っていた、古ビル。
それを解体途中に発生した呪霊を祓うことが、今回の課外授業だったのだが──。
解体中だったことも相まって、呪霊を祓っている最中にビルの一部が倒壊。
見事川へ真っ逆さま。
しかも、日本で一番汚い川だと言われている、綾瀬川に。
「うわー、汚〜い。くさ〜い」
勿論、その様子を監督していた五条は、無下限&空中散歩で、当然のように泥ひとつ被っていなかった。
***
「近くに銭湯あってよかったな!」
「……番頭のばあさんにはビックリされたけどな」
銭湯へ寄る前にコンビニで買った大きめのビニール袋。
その中へ目も当てられない程に汚れた制服からインナー、下着を放り入れる虎杖。
「まーまー、いいんじゃない?裸の付き合いってのも、たまには悪くないもんだよ。」
そして汚れるどころか汗ひとつかいていないというのに当然のように服を脱ぎだす五条へ、伏黒は呆れた色を含んだ視線をジトリと向けた。
「つーか、アンタは入る必要ないだろ。」
「何よ、恵ったら!さと子を仲間外れにするなんて酷いワ!」
気味の悪い裏声で非難され、これ以上追及することを諦める伏黒。
当然のように銭湯代は五条が支払ってくれたため、害がないと言えばないのだが。
強いて言うなら、『実習で泥水まみれになった後、はしゃぐ担任の相手をするのは疲れる』の一言に尽きた。
「うわ、先生筋肉バッキバキじゃん!すっげー!」
「そりゃね、僕最強だし。悠仁も…ほほ〜う?中々いい大円筋をお持ちで。」
「「どこだよ、大円筋って。」」
相手にしないと心に決めたのに、つい伏黒も突っ込みを入れてしまう。
見事にハモった男子二人の声に、「脇の下あたりの筋肉」と大変大雑把に五条は笑いながら答えた。
「よいしょ」という掛け声と共に、上半身の服を全て脱ぎ終えた五条の背中を見て、虎杖が小さく首を傾げる。
五条が先程、雑に教えてくれた大円筋あたり。
脇と背中の間あたりから肩甲骨近くまで、赤い筋が何本か走っている。
切り傷というには浅く、蕁麻疹というには長細い。
日焼けを知らなさそうな白い背中に、それは酷く目立った。
「先生、猫とか飼ってたっけ?」
「いんや。なんで?」
「背中に引っかき傷あるから。」
虎杖の指摘に、五条はニタリと笑い、伏黒はあからさまに視線を壁へ移す。
「あー、これね〜。これはね〜男の勲章というか〜」
「なんで男の勲章?」
傾げた首を更に傾ける虎杖の背中を、伏黒が小さく小突いた。
伏黒の過去の経験から『これ以上五条に喋らせてはいけない』と、頭の中で警鐘が鳴り響く。
「虎杖。五条先生だって怪我くらいするんだろ」
「無下限あんのに?」
何故こんな時は鋭いのだ。
苦虫を噛み潰したような顔をする伏黒を、五条はアイマスクを外しながらクツクツと笑っていた。
「……無下限が効かない相手だっているんだろ。」
「何それ!すっげー!それ先生くらい強いってことだろ?」
虎杖の中で『五条悟』は最強という地位を不動にしている。
それを揺るがす存在は大いに興味があるに決まっている。
純粋な興味と興奮に目を輝かせる虎杖に対して、含み笑いを浮かべて五条は目元を細めた。
「そうだね〜、僕も時々敵わないかな。ね、恵。」
「なんで俺に振るんですか。」
付き合いきれないと言わんばかりに、足早に大浴場へ向かう伏黒。
虎杖はと言うと、伏黒の様子と五条の笑みを見比べては首を傾げるばかり。
それもそう。
なぜなら同じ質問を、二年ほど前に伏黒も投げかけてしまったのだから。
***
着替えがない虎杖や伏黒よりも一足早く風呂を出た五条は、番頭の老婆と世間話をしていた彼女を見つけ、軽く手を挙げた。
「や、名無し」
「お疲れ様です、五条さん。とりあえずこれが男子組の着替えです。サイズ合いますかね?」
「まぁ大丈夫っしょ。野薔薇のは?」
「さっき脱衣所に行って渡してきました。」
スエットと男物の下着が2セット分。
袋はよく見る衣類量販店のもので、部屋着として使うには十分だろう。
「僕も渡して来よう〜っと」
ユニク〇の袋を引っ提げ、五条は足早に男性の脱衣所へ向かった。
その間、名無しは牛乳瓶が並んだ自販機へお金を投入する。
コーヒー牛乳と牛乳を二本ずつ。
待合所のベンチに座って待っていると、着替えを渡し終えた五条が定位置に座るように名無しの隣へ腰を下ろした。
「そういえばさっき、悠仁に『猫でも飼ってるのか』って聞かれちゃった。」
コーヒー牛乳を開け、五条が笑う。
「?、何でですか?」
「え。もう忘れたの?昨日あれだけ僕に抱きついていたのに。」
ぐびっと喉を鳴らしてコーヒー牛乳を一気に半分喉へ流し込む五条。
上下する喉仏を見ていた名無しはというと、五条の言葉の意味を数秒考えた後、理解した途端ベンチから転がり落ちそうになった。
「な、なんっ、な、治してくださいって以前言いましたよね!?」
「消さないよ、って前から言ってるでしょ。大丈夫大丈夫、悠仁は気づいていなかったし。」
「……待ってください。虎杖くん『は』ってことは、伏黒くん気づいてるやつじゃないですか……!」
五条は内心『恵は結構前に見られて、聞かれたし』と舌を出す。
それを彼女に伝えたら悲鳴を上げて倒れそうなので、ここは大人らしく言葉を呑み込む。手遅れかもしれないが。
「もう絶対抱きつきません…」
「好きにすればいいけど、縋らざるを得ないくらいもっと激しくしちゃうけど?」
「卑怯ですよ……!」
そう。原因は昨晩の情事。
珍しく定時で仕事を切り上げた五条は、当然のように寮の管理人室に帰宅し、当然のように夕食を食べ、風呂に入り、当然のように身体を重ねた。
まだまだ体力が有り余っていたのか、昨晩は外が白むまで離してもらえなかった。
次の日授業があるでしょう、と名無しは訴えたが、五条は笑いながら『それはそれ。これはこれ。』とキスの雨を降らせただけだった。
そうして、結果出来てしまったのが『情事の痕』というわけだ。
今でも十分溺れる程に激しいというのに、これ以上激しくされてはたまったものじゃない。
名無しはジトリと目付けるが、肝心の五条は笑うばかり。
「僕の身体に傷を残していいのは名無しだけだよ。」
どうせなら、消えないくらい深いものを。
……なんて、我儘だろうか?
夜を刻む
女湯から出てきた釘崎が、待合所ベンチ付近で顔を覆う虎杖と、憐れむような視線を向ける伏黒と遭遇する。
「何やってんのよ、アンタ達。」
「虎杖が自己嫌悪に陥ってる。」
「俺しばらく名無しの顔見れないかも……」
いたいけな男子高校生には、少々刺激が強かったようだ。