七海建人の災難
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任務先で手に入れた、低級の玩具みたいな呪具。
呪具といっても粉末状の、妙薬といった方が正しいであろう、使い捨てのものだが。
それを片手に持ったまま、五条は大層機嫌良くスキップしていた。
──確実に怒られることは分かっていたが、どうしてもこれを恋人である名無しに使いたかったのだ。
そう。使うはずだった。
その時、特級呪術師・五条悟は完全に浮かれていた。
どのくらい浮かれていたかと言うと、前方不注意になる程に。
高専の古めかしい廊下の曲がり角。
スキップしながら小走りする五条。
もうすぐ廊下を曲がろうとする名無し。
五条の誤算だったのは、彼女の隣に七海建人がいたことだろう。
「ななしさん、危ないです、」
よ。
長身の人影と名無しはぶつかるはずたった。
それを七海が咄嗟に遮った。
──簡潔に言おう。
五条と七海が曲がり角で盛大にぶつかった。
五条が手にしていた、怪しい粉入りの袋が宙に舞い、五条と七海の頭に降り積もってしまったアクシデントも添えて。
「げっ!」
「……何やってるんですか、五条さ……ん。……は?」
七海は軽率さを含んだ声音で、思わず声を上げた。
突然ブラックアウトした視界。
正しくは布で覆われ、目を開けても上質な布地が瞼と睫毛に擦れるばかりで、視界が晴れずにいた。
七海が煩わしい目隠しを上げるとそこには──
「やだーーー!七海になってるーーー!」
顔をベタベタと触り、年季の入った窓ガラスで姿を確認する『七海建人』の姿。
頭の回転が人並みよりも早いことを、七海は今日ほど恨んだことはない。
結論。
七海の身体に五条が。五条の身体に七海が。
二人は、そう。
七海建人の災難#01
「もしかして……お二人…入れ替わってます?」
五条in七海の背中に庇われた名無しが、呆然と呟いたのであった。
呪具といっても粉末状の、妙薬といった方が正しいであろう、使い捨てのものだが。
それを片手に持ったまま、五条は大層機嫌良くスキップしていた。
──確実に怒られることは分かっていたが、どうしてもこれを恋人である名無しに使いたかったのだ。
そう。使うはずだった。
その時、特級呪術師・五条悟は完全に浮かれていた。
どのくらい浮かれていたかと言うと、前方不注意になる程に。
高専の古めかしい廊下の曲がり角。
スキップしながら小走りする五条。
もうすぐ廊下を曲がろうとする名無し。
五条の誤算だったのは、彼女の隣に七海建人がいたことだろう。
「ななしさん、危ないです、」
よ。
長身の人影と名無しはぶつかるはずたった。
それを七海が咄嗟に遮った。
──簡潔に言おう。
五条と七海が曲がり角で盛大にぶつかった。
五条が手にしていた、怪しい粉入りの袋が宙に舞い、五条と七海の頭に降り積もってしまったアクシデントも添えて。
「げっ!」
「……何やってるんですか、五条さ……ん。……は?」
七海は軽率さを含んだ声音で、思わず声を上げた。
突然ブラックアウトした視界。
正しくは布で覆われ、目を開けても上質な布地が瞼と睫毛に擦れるばかりで、視界が晴れずにいた。
七海が煩わしい目隠しを上げるとそこには──
「やだーーー!七海になってるーーー!」
顔をベタベタと触り、年季の入った窓ガラスで姿を確認する『七海建人』の姿。
頭の回転が人並みよりも早いことを、七海は今日ほど恨んだことはない。
結論。
七海の身体に五条が。五条の身体に七海が。
二人は、そう。
七海建人の災難#01
「もしかして……お二人…入れ替わってます?」
五条in七海の背中に庇われた名無しが、呆然と呟いたのであった。