short story
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部屋に戻ると、そこにはクマがいた。
見たことのある服装。
白いふわふわの毛並み。
そして胡散臭いアイマスク。
ツンとすました鼻先が愛らしい、テディベアが寮の管理人のソファに鎮座していた。
「何これ」
誰もいない自室で、つい独り言が零れてしまう。
私の感想は至極真っ当だろう。
出で立ちがどこかの誰か――そう。五条悟にそっくりなクマのぬいぐるみが部屋にあれば、つい身構えてしまうのは当然の反応だった。
呪霊?それとも呪骸?
恐る恐るぬいぐるみに触れる。
ほわほわした起毛の生地へ、指がやんわり食い込む。
大きすぎず、小さすぎず。
なんとも愛らしいサイズのぬいぐるみに、ついつい警戒心が絆されてしまった。
……控えめに言って可愛い。
怪しいところがないかくまなく探し、ただのぬいぐるみだと判断すると、率直な感想が真っ先に思い浮かんだ。
次に気になったのはアイマスクの下。
別に彼の双眸は見慣れているが、このテディベアは瞳がどうなっているのか純粋に興味があった。
ゴクリと、生唾が通る。
見てはいけないものを見ようとしているこの状況は、まるでパンドラの箱を開ける瞬間に似ているかもしれない。
『見えそうで見えないのとか興奮しない?チラリズムってやつ』
先日五条さんが言っていたことが脳裏に過ぎる。
いや、どうして今それを思い出したの私。
別にそう、これはイヤらしい意味は微塵もない。
純粋な興味だ。あの淫猥教師と一緒にされるのは困る。
指先でアイマスクをつまみ、そっと持ち上げる。
そこにはキラキラと宝石のようなブルーの瞳が、くるりと縫い付けられていた。
つぶらな瞳が最高に可愛い。
五条さんの完璧な再現度に失笑してしまうと同時に、言葉にできず悶絶してしまいそうな感情で、つい地団駄を踏んでしまった。
これが尊いという感情なのか。なるほど!
「……んふふ。」
気色の悪い笑い声が漏れてしまった。いや、これは不可抗力でしょ。
五条さんに酷似したテディベアを抱き抱えて、私は満ち足りた気持ちでソファへゴロリと寝転んだ。
ソファのポケットコイルがギシッと軋む音が聞こえたが、今はそんなことはどうでもいい。
さて、このクマさんを部屋のどこに置こうか。
五条さんに見られないところがいいだろう。見つかったら間違いなくおちょくられ――
テディベア・トラップ
――ん?
そういえば、どうしてこのテディベアは私の部屋にあったんだろう。
ノックもなしに開け放たれるドア。
夏のむわりとした外気が、涼しい管理人室に無遠慮に流れ込む。
私が慌てて首を起こすと同時に、絶妙なタイミングでスマートフォンのシャッター音が連写で鳴る音が響いた。
ドアの向こうには人間型の…じゃなくて、本物の五条さんがニタニタしながら立っている。
まずい。これは、罠だった!
見たことのある服装。
白いふわふわの毛並み。
そして胡散臭いアイマスク。
ツンとすました鼻先が愛らしい、テディベアが寮の管理人のソファに鎮座していた。
「何これ」
誰もいない自室で、つい独り言が零れてしまう。
私の感想は至極真っ当だろう。
出で立ちがどこかの誰か――そう。五条悟にそっくりなクマのぬいぐるみが部屋にあれば、つい身構えてしまうのは当然の反応だった。
呪霊?それとも呪骸?
恐る恐るぬいぐるみに触れる。
ほわほわした起毛の生地へ、指がやんわり食い込む。
大きすぎず、小さすぎず。
なんとも愛らしいサイズのぬいぐるみに、ついつい警戒心が絆されてしまった。
……控えめに言って可愛い。
怪しいところがないかくまなく探し、ただのぬいぐるみだと判断すると、率直な感想が真っ先に思い浮かんだ。
次に気になったのはアイマスクの下。
別に彼の双眸は見慣れているが、このテディベアは瞳がどうなっているのか純粋に興味があった。
ゴクリと、生唾が通る。
見てはいけないものを見ようとしているこの状況は、まるでパンドラの箱を開ける瞬間に似ているかもしれない。
『見えそうで見えないのとか興奮しない?チラリズムってやつ』
先日五条さんが言っていたことが脳裏に過ぎる。
いや、どうして今それを思い出したの私。
別にそう、これはイヤらしい意味は微塵もない。
純粋な興味だ。あの淫猥教師と一緒にされるのは困る。
指先でアイマスクをつまみ、そっと持ち上げる。
そこにはキラキラと宝石のようなブルーの瞳が、くるりと縫い付けられていた。
つぶらな瞳が最高に可愛い。
五条さんの完璧な再現度に失笑してしまうと同時に、言葉にできず悶絶してしまいそうな感情で、つい地団駄を踏んでしまった。
これが尊いという感情なのか。なるほど!
「……んふふ。」
気色の悪い笑い声が漏れてしまった。いや、これは不可抗力でしょ。
五条さんに酷似したテディベアを抱き抱えて、私は満ち足りた気持ちでソファへゴロリと寝転んだ。
ソファのポケットコイルがギシッと軋む音が聞こえたが、今はそんなことはどうでもいい。
さて、このクマさんを部屋のどこに置こうか。
五条さんに見られないところがいいだろう。見つかったら間違いなくおちょくられ――
テディベア・トラップ
――ん?
そういえば、どうしてこのテディベアは私の部屋にあったんだろう。
ノックもなしに開け放たれるドア。
夏のむわりとした外気が、涼しい管理人室に無遠慮に流れ込む。
私が慌てて首を起こすと同時に、絶妙なタイミングでスマートフォンのシャッター音が連写で鳴る音が響いた。
ドアの向こうには人間型の…じゃなくて、本物の五条さんがニタニタしながら立っている。
まずい。これは、罠だった!