short story
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二時間半。
名無しの部屋でいつもより少し長めの映画を見終わり、僕は飲み物を取るため立ち上がろうとした時だった。
足が、痺れて動けない。
動かそうと思えば勿論動くのだが、自由と引き換えに顔を顰めてしまうこと請け合いだ。
立ち上がるのは億劫。
しかし喉は乾いた。
ついでにお手洗いにも行きたい。
ちょっと情けない話だが、同じく映画を見終わりスルリと立ち上がった名無しへ助けを求めるため、僕はクッションを抱えていた腕を名無しへと伸ばした。
「名無し〜」
「はい?」
「ん。」と広げた腕。
それを見て、何を勘違いしたのか。
一瞬目を丸く見開き、その次に手を取って立ち上がらせてくれる――という訳ではなく。
珍しく。
そう、本当に珍しく。
僕の可愛い恋人は、大きく広げた腕の中にすっぽり収まってしまった。
……可愛い。
足の痺れと尿意が気にならなくなってしまう程に、その姿は愛らしいの一言に尽きた。
いつも素っ気ない猫が甘えてきた時の感情はこんな感じなのだろう。
そりゃ『猫様』と崇め、下僕になる人間が絶えないわけだ――じゃなくて。
「えー、どうしたの?名無し。」
「え。……違いました?」
「違うけど、違わないかな。」
『足の痺れ切れちゃったから立ち上がらせて欲しかった』なんて言ったら、どんな反応をするのだろう。
顔を真っ赤にして可愛い勘違いを恥じるのだろうか。
痺れた膝の上に乗ってしまった事を慌てて謝罪する姿も容易に想像できた。
うん、うん。多分全部当たりだろう。
見てみたい気もするが、僕の胸板へ無防備に頬を寄せる彼女を手放す方が、間違いなくデメリットだ。
膝の痺れから意識を外しつつ、久しぶりの休日を満喫するべく、僕はやわらかくていい匂いのする恋人を、そっと抱き竦めた。
かわいいかんちがい
「名無しったら甘えんぼだね。」
「五条さんが甘えん坊なんでしょう?」
膀胱炎になっても反転術式で治るだろうか。
硝子が聞いたら呆れ返りそうな事を考えながら、クスクスと笑うシノの額にそっと唇を落とした。
名無しの部屋でいつもより少し長めの映画を見終わり、僕は飲み物を取るため立ち上がろうとした時だった。
足が、痺れて動けない。
動かそうと思えば勿論動くのだが、自由と引き換えに顔を顰めてしまうこと請け合いだ。
立ち上がるのは億劫。
しかし喉は乾いた。
ついでにお手洗いにも行きたい。
ちょっと情けない話だが、同じく映画を見終わりスルリと立ち上がった名無しへ助けを求めるため、僕はクッションを抱えていた腕を名無しへと伸ばした。
「名無し〜」
「はい?」
「ん。」と広げた腕。
それを見て、何を勘違いしたのか。
一瞬目を丸く見開き、その次に手を取って立ち上がらせてくれる――という訳ではなく。
珍しく。
そう、本当に珍しく。
僕の可愛い恋人は、大きく広げた腕の中にすっぽり収まってしまった。
……可愛い。
足の痺れと尿意が気にならなくなってしまう程に、その姿は愛らしいの一言に尽きた。
いつも素っ気ない猫が甘えてきた時の感情はこんな感じなのだろう。
そりゃ『猫様』と崇め、下僕になる人間が絶えないわけだ――じゃなくて。
「えー、どうしたの?名無し。」
「え。……違いました?」
「違うけど、違わないかな。」
『足の痺れ切れちゃったから立ち上がらせて欲しかった』なんて言ったら、どんな反応をするのだろう。
顔を真っ赤にして可愛い勘違いを恥じるのだろうか。
痺れた膝の上に乗ってしまった事を慌てて謝罪する姿も容易に想像できた。
うん、うん。多分全部当たりだろう。
見てみたい気もするが、僕の胸板へ無防備に頬を寄せる彼女を手放す方が、間違いなくデメリットだ。
膝の痺れから意識を外しつつ、久しぶりの休日を満喫するべく、僕はやわらかくていい匂いのする恋人を、そっと抱き竦めた。
かわいいかんちがい
「名無しったら甘えんぼだね。」
「五条さんが甘えん坊なんでしょう?」
膀胱炎になっても反転術式で治るだろうか。
硝子が聞いたら呆れ返りそうな事を考えながら、クスクスと笑うシノの額にそっと唇を落とした。