short story
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「五条さんの趣味って何ですか?」
気分も浮つきそうな、暖かな陽気。
梅の花の旬も過ぎ、鮮やかな河津桜が咲き始めた三月の頭。
本をパタンと閉じた名無しが、脈絡もなく五条へ突然問うた。
「どしたの、突然。」
「いえ。そういえば趣味に打ち込んでる姿を見たことないな、と思って」
なるほど。
確かに以前、家入だったか伊地知だったか。
『趣味はないのか』と訊ねられた記憶がぼんやりと蘇る。
あの時は『僕なんでも出来るから特にはないんだよねぇ』とはぐらかした五条だが、ここ数年の間に実は『とある趣味』が出来てしまった。
「当ててみて?」
「…ウィンタースポーツ?」
「出来るけど、違うかな〜」
「え。読書?」
「そう見える?」
「えーっと…キャンプ…は、違うか…」
「そうだねぇ。」
「料理?」
「苦手じゃないけど特にこだわったりしないからねぇ」
「食べ歩き!」
「あれは習慣というか。」
「ぼ…ボルダリング?」
「唐突だね。」
「リア充がしてそうなイメージなので…」
「えー…もう分かりませんよ…」と言いながらベッドへ頭を預ける名無し。
そんな彼女をベッドにて横になりながら、五条は心底面白そうに口角を釣り上げた。
「分からない?ホントに?」
「検討つかないです。」
「ん〜大ヒント。今もしてるよ。」
「えっ」
そう言われ、真剣に考える彼女の横顔を眺める五条。
『意外に睫毛長いよね』とか『頬が柔らかそうだな』とか『今キスしたら怒るかな』なんて、どちらかというと邪な考えが脳裏に過ぎりまくっているのだが。
「………………腹式呼吸?」
「どうしてそうなるかな…」
しばし考え出された後の、素っ頓狂なアンサー。
至って名無しは真剣だ。というより、それしか思いつかなかったと言うべきか。
「で。今出したの全部名無しがやってみたいことでしょ?」
「えっ、なんで分かったんですか?エスパー?」
「分かるよ〜。だって名無しちゃんの考えてることだも〜ん。」
冗談半分でカマをかけてみたが、やはりそうか。
実質四・五歳程度しか実年齢が違わないとはいえ、一番遊べる時期を奪われたせいか、こういうことに食いつきがいい。
体験したことのない事に億劫になるわけでもなく、何事もチャレンジする意欲。
遊びに連れ回しがいがあるというもの。五条としては願ったり叶ったりだった。
「キャンプ、今度行ってみる?奥多摩の方とか。」
「い、いいんですか!?」
「勿論。どうせだから悠仁達も呼んじゃってぇ、BBQパーティーとか?」
「ちゃんと串に刺すタイプですか!?」
「刺しちゃうよ〜。スペアリブやラムチョップもいっちゃう?」
「あれもしたいです!チーズにつけるやつ!」
「チーズフォンデュ?」
「それです!」
「いいね〜。そうと決まれば場所決めないとね」
暖かくなってきたし、キャンプには丁度いいだろう。
どうせだからキャンプ道具を一式買い揃えてもいいかもしれない。
金なら余っているのだから、こういう時に使って経済を回さなきゃね。ス〇ーピークあたりで道具を探そう。
名無し以上に心を躍らせている五条は、既にあれやこれと計画を立てている様子。
はしゃぐ恋人を眺めながら、既にプランの骨組みまで考えている始末だ。
「……ところで、五条さんの趣味って結局何ですか?」
「んん〜?」
my hobby is you!
普段はそう。穏やかな水面のようだ。
それなのに時々猫のように素っ気なく、犬のように無邪気にはしゃぐ。
そんな君から目が離せなくなって、気がつけば『名無し観察』が趣味になった――なんて言ったら、君は呆れ返るだろうか。
「んー、内緒。」
「えぇ……けち。」
暴露するならもっと面白い時に、大胆に。
それまではこっそり、五条だけの内緒の趣味にしてしまおう……なーんて。
気分も浮つきそうな、暖かな陽気。
梅の花の旬も過ぎ、鮮やかな河津桜が咲き始めた三月の頭。
本をパタンと閉じた名無しが、脈絡もなく五条へ突然問うた。
「どしたの、突然。」
「いえ。そういえば趣味に打ち込んでる姿を見たことないな、と思って」
なるほど。
確かに以前、家入だったか伊地知だったか。
『趣味はないのか』と訊ねられた記憶がぼんやりと蘇る。
あの時は『僕なんでも出来るから特にはないんだよねぇ』とはぐらかした五条だが、ここ数年の間に実は『とある趣味』が出来てしまった。
「当ててみて?」
「…ウィンタースポーツ?」
「出来るけど、違うかな〜」
「え。読書?」
「そう見える?」
「えーっと…キャンプ…は、違うか…」
「そうだねぇ。」
「料理?」
「苦手じゃないけど特にこだわったりしないからねぇ」
「食べ歩き!」
「あれは習慣というか。」
「ぼ…ボルダリング?」
「唐突だね。」
「リア充がしてそうなイメージなので…」
「えー…もう分かりませんよ…」と言いながらベッドへ頭を預ける名無し。
そんな彼女をベッドにて横になりながら、五条は心底面白そうに口角を釣り上げた。
「分からない?ホントに?」
「検討つかないです。」
「ん〜大ヒント。今もしてるよ。」
「えっ」
そう言われ、真剣に考える彼女の横顔を眺める五条。
『意外に睫毛長いよね』とか『頬が柔らかそうだな』とか『今キスしたら怒るかな』なんて、どちらかというと邪な考えが脳裏に過ぎりまくっているのだが。
「………………腹式呼吸?」
「どうしてそうなるかな…」
しばし考え出された後の、素っ頓狂なアンサー。
至って名無しは真剣だ。というより、それしか思いつかなかったと言うべきか。
「で。今出したの全部名無しがやってみたいことでしょ?」
「えっ、なんで分かったんですか?エスパー?」
「分かるよ〜。だって名無しちゃんの考えてることだも〜ん。」
冗談半分でカマをかけてみたが、やはりそうか。
実質四・五歳程度しか実年齢が違わないとはいえ、一番遊べる時期を奪われたせいか、こういうことに食いつきがいい。
体験したことのない事に億劫になるわけでもなく、何事もチャレンジする意欲。
遊びに連れ回しがいがあるというもの。五条としては願ったり叶ったりだった。
「キャンプ、今度行ってみる?奥多摩の方とか。」
「い、いいんですか!?」
「勿論。どうせだから悠仁達も呼んじゃってぇ、BBQパーティーとか?」
「ちゃんと串に刺すタイプですか!?」
「刺しちゃうよ〜。スペアリブやラムチョップもいっちゃう?」
「あれもしたいです!チーズにつけるやつ!」
「チーズフォンデュ?」
「それです!」
「いいね〜。そうと決まれば場所決めないとね」
暖かくなってきたし、キャンプには丁度いいだろう。
どうせだからキャンプ道具を一式買い揃えてもいいかもしれない。
金なら余っているのだから、こういう時に使って経済を回さなきゃね。ス〇ーピークあたりで道具を探そう。
名無し以上に心を躍らせている五条は、既にあれやこれと計画を立てている様子。
はしゃぐ恋人を眺めながら、既にプランの骨組みまで考えている始末だ。
「……ところで、五条さんの趣味って結局何ですか?」
「んん〜?」
my hobby is you!
普段はそう。穏やかな水面のようだ。
それなのに時々猫のように素っ気なく、犬のように無邪気にはしゃぐ。
そんな君から目が離せなくなって、気がつけば『名無し観察』が趣味になった――なんて言ったら、君は呆れ返るだろうか。
「んー、内緒。」
「えぇ……けち。」
暴露するならもっと面白い時に、大胆に。
それまではこっそり、五条だけの内緒の趣味にしてしまおう……なーんて。