五条悟の癒し方シリーズ
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「そういえば、ハンドクリームは何に使うつもりだったの?」
朝食のトーストと目玉焼きを頬張りながら五条さんが問うてきた。
「んぐ…別に、大したことじゃないですよ。こう、手をもみもみしようかと思って。」
「えー…されたかったなぁ」
「だって五条さんが寝ちゃうから。」
「あれで寝るなって無理じゃない?」
まぁ確かに。
どうしても目を酷使する人だから、ホットタオルで目元をマッサージするのは効果てきめんだったようだ。
野薔薇ちゃんに色々聞いて教えて貰ったのは正解だった。女子力すごい。
「ねーねー名無し〜。朝ごはん食べたし、昨日の続きしてよぉ〜」
「えぇ…そんなに期待するほどのものじゃないですよ?」
「そりゃあ、期待していない訳じゃないけどさ。『してくれる』のが嬉しいんだもん」
目尻をとろりと下げ、上機嫌でにこにこ笑う五条さんを目の前にして断れる猛者がいるなら見てみたい。
「じゃあ、お皿片付けたらしましょうか」と立ち上がる私の後ろを、スキップしだしそうな五条さんがついて歩く。
これが呪術界の誇る特級呪術師と知ったら、全国に散らばる呪詛師や呪霊はどんな反応をするのだろうか。
そんな至極どうでもいい事をぼんやり考えながら、私は食器を洗うべく蛇口を捻った。
***
「あぁぁぁ〜〜〜」
なんとも気の抜けた声が寮の管理人室に響き渡る。
大きくて、白い。
しかし関節の節々が『戦う人のそれ』である五条の手を、ハンドクリームを塗って指圧してやれば先程の間抜け声が零れた。
指を一本一本側面を扱き、爪の根元を指で軽く押せば、完全にリラックスした体勢で五条さんは蕩けた。
「えー…手もみ屋名無しちゃん開業できちゃうね、これ…」
「なんですか、そのチープなネーミング。」
小学生が思いついたような店名にクスクスと笑い、ささくれひとつ無い指へ丁寧にハンドクリームを塗り込んでいく。
正直手荒れとは無縁の手のようだが、マッサージするにはハンドクリームやオイルがあった方がいいらしい。
確かに滑りも良くなるし、無駄な力が入らないのでとても理にかなっている。
「目の疲れには小指の……えぇっと、小骨空というツボが効くらしいですよ。七海さんは合谷ってツボが万能なのでオススメって言ってましたけど」
「え。なんで七海の名前がそこで出てくるわけ?」
「?、だって教えて下さったのは七海さんですし。」
彼も肩こりや目の疲れが溜まるタイプらしい。
たまたま先日顔を合わせた時、手をセルフ指圧していたので教えてもらったのだ。
「えぇ〜…七海ともこんな手をにぎにぎヌルヌルしながら教えてもらったの?」
なんて悪意のある言い方なんだ。
五条さんが言ったらいかがわしく聞こえてしまうのは、普段の彼の行動と言動のせいだろう。
「してませんよ、もう。」
拗ねた男子中学生のようだ。
もうアラサーだというのにすぐ拗ねてしまう目の前の恋人に、ついつい笑ってしまう。
だって、彼の予想が見事的中するものだから。笑わずにはいられなかった。
「なーに笑ってるの」
「いえ、七海さんが『どうせ五条さんの事ですから手を握ったのかとか不貞腐れながら言うんでしょうね』って予想されていたのが当たってるからおかしくて。」
あれだけ五条さんのことを『信用しているけど尊敬していない』と豪語しているくせに、ちゃんと理解している七海さんがおかしくて。
喧嘩するほど仲がいい――程ではないが、何だかんだで関係は良好らしい。
それを生真面目な彼に言った日には、眉間のシワが三割増になるのだろうけど。
七海さんの『五条悟予報』がどうやら面白くなかったらしい。
むすぅ、と不貞腐れる彼の手を取り、少し恥ずかしいが軽く唇を落とした。
五条悟の癒し方#ハンドクリーム
「すみません、笑っちゃって。機嫌、直してください。」
「…………口にしてくれたら機嫌直してあげる。」
「はいはい。マッサージが終わったらでいいですか?」
「ん。」
朝食のトーストと目玉焼きを頬張りながら五条さんが問うてきた。
「んぐ…別に、大したことじゃないですよ。こう、手をもみもみしようかと思って。」
「えー…されたかったなぁ」
「だって五条さんが寝ちゃうから。」
「あれで寝るなって無理じゃない?」
まぁ確かに。
どうしても目を酷使する人だから、ホットタオルで目元をマッサージするのは効果てきめんだったようだ。
野薔薇ちゃんに色々聞いて教えて貰ったのは正解だった。女子力すごい。
「ねーねー名無し〜。朝ごはん食べたし、昨日の続きしてよぉ〜」
「えぇ…そんなに期待するほどのものじゃないですよ?」
「そりゃあ、期待していない訳じゃないけどさ。『してくれる』のが嬉しいんだもん」
目尻をとろりと下げ、上機嫌でにこにこ笑う五条さんを目の前にして断れる猛者がいるなら見てみたい。
「じゃあ、お皿片付けたらしましょうか」と立ち上がる私の後ろを、スキップしだしそうな五条さんがついて歩く。
これが呪術界の誇る特級呪術師と知ったら、全国に散らばる呪詛師や呪霊はどんな反応をするのだろうか。
そんな至極どうでもいい事をぼんやり考えながら、私は食器を洗うべく蛇口を捻った。
***
「あぁぁぁ〜〜〜」
なんとも気の抜けた声が寮の管理人室に響き渡る。
大きくて、白い。
しかし関節の節々が『戦う人のそれ』である五条の手を、ハンドクリームを塗って指圧してやれば先程の間抜け声が零れた。
指を一本一本側面を扱き、爪の根元を指で軽く押せば、完全にリラックスした体勢で五条さんは蕩けた。
「えー…手もみ屋名無しちゃん開業できちゃうね、これ…」
「なんですか、そのチープなネーミング。」
小学生が思いついたような店名にクスクスと笑い、ささくれひとつ無い指へ丁寧にハンドクリームを塗り込んでいく。
正直手荒れとは無縁の手のようだが、マッサージするにはハンドクリームやオイルがあった方がいいらしい。
確かに滑りも良くなるし、無駄な力が入らないのでとても理にかなっている。
「目の疲れには小指の……えぇっと、小骨空というツボが効くらしいですよ。七海さんは合谷ってツボが万能なのでオススメって言ってましたけど」
「え。なんで七海の名前がそこで出てくるわけ?」
「?、だって教えて下さったのは七海さんですし。」
彼も肩こりや目の疲れが溜まるタイプらしい。
たまたま先日顔を合わせた時、手をセルフ指圧していたので教えてもらったのだ。
「えぇ〜…七海ともこんな手をにぎにぎヌルヌルしながら教えてもらったの?」
なんて悪意のある言い方なんだ。
五条さんが言ったらいかがわしく聞こえてしまうのは、普段の彼の行動と言動のせいだろう。
「してませんよ、もう。」
拗ねた男子中学生のようだ。
もうアラサーだというのにすぐ拗ねてしまう目の前の恋人に、ついつい笑ってしまう。
だって、彼の予想が見事的中するものだから。笑わずにはいられなかった。
「なーに笑ってるの」
「いえ、七海さんが『どうせ五条さんの事ですから手を握ったのかとか不貞腐れながら言うんでしょうね』って予想されていたのが当たってるからおかしくて。」
あれだけ五条さんのことを『信用しているけど尊敬していない』と豪語しているくせに、ちゃんと理解している七海さんがおかしくて。
喧嘩するほど仲がいい――程ではないが、何だかんだで関係は良好らしい。
それを生真面目な彼に言った日には、眉間のシワが三割増になるのだろうけど。
七海さんの『五条悟予報』がどうやら面白くなかったらしい。
むすぅ、と不貞腐れる彼の手を取り、少し恥ずかしいが軽く唇を落とした。
五条悟の癒し方#ハンドクリーム
「すみません、笑っちゃって。機嫌、直してください。」
「…………口にしてくれたら機嫌直してあげる。」
「はいはい。マッサージが終わったらでいいですか?」
「ん。」