short story
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「その目隠しってどうなってるんですか?」
炬燵にすっぽり入って、それはもう幸せそうにぬくぬくしている五条へ問う。
肩まで炬燵布団を掛けた彼は大層幸せそうで、運ばれてくる蜜柑を啄み、まさに怠惰を極めていた。
「ん?ただの布だよ〜」
「うっそだぁ。だってサングラスなら、ほら。目元を隠しつつ外も見えるけど、その目隠し絶対前が見えないじゃないですか。」
「付けてみる?」
するりと黒い目隠しを外す五条。
まだ体温が残る目隠しを受け取り、名無しは『対価』と言わんばかりに、剥いた蜜柑を五条の口へ放り込んだ。
勧められるがままに付けてみるが、やはり目の前は真っ暗だ。
布の繊維を伸ばしてみれば微かに光が見えなくもないが、どうやって視界を確保しているのか謎のまま。
「五条さん、やっぱり全然見えないですよ。」
「んー?ちっとも?」
「これっぽっちも。」
「ふーん。」
借りた目隠しを外そうと手を伸ばした時だった。
不意に掴まれる手。
体重を掛けられ、無防備にも後ろへ倒れ込む身体。
あまりに突然の出来事に慌ててしまった為、炬燵の中の足がテーブルの裏を蹴りあげてしまい、炬燵がガタッと一瞬暴れた。
「う、わっ、ん!んんッ…!」
唇を塞ぐ何か。
柔らかく、甘酸っぱく。
生き物のように口内へ滑り込んだ舌は、口いっぱいに広がる柑橘の味。
誰がこんな悪い悪戯をしているのか、確かめるまでもない。
「ん、んむ……っン、」
抗議の声は呑み込まれ、舌が丁寧に口内を犯す。
堪能するような動きに頭はくらくらし、身体の奥がじわりと熱を帯びた。
「ん…。目隠ししてキスって、なんかエッチじゃない?」
布越しに落とされるリップ音。
見えず、予想も覚悟も出来ないキスの雨に思わず両肩がピクリと戦慄いた。
「っ、もう!手、離してください!」
「やーだ。離したら目隠し取っちゃうでしょ?」
首筋に落とされる口付け。
突然の感触に、炬燵へ入っているはずなのに背筋がゾクリと震えた。
それは寒気ではなく、間違いなく下腹部から生まれるもので。
「可愛い恋人をさぁ、何も見えない状態で気持ちヨくしてあげるのって、何か興奮しない?」
見えないけれど、見える。
絶対目の前のダメ大人は悪い顔をしているに違いない。
宝石のように透き通った青い瞳を弓なりに細め、形のいい唇をさぞかし楽しそうに釣り上げてるのだろう。
(数分前の自分、大バカ!)
己の浅はかさを内心で罵りながら、名無しはきゅっと身を縮めるのであった。
ブラインド・キッス
可愛い名無しが、目隠し付けて首を傾げてるんだよ?
これを据え膳と言わなくて何と言うのか。
押し倒して、深く口付けて、おまけと言わんばかりにキスを降らせれば、紅色に染まる頬。
加虐心が芽生えてしまうのは必然だった。
――まぁ、予想していなかったわけではないのだけど、ここまですんなり事が進めば、
(ニヤついちゃうのは、仕方ないよねぇ)
零れる笑みを隠すことなく、五条は『さて、次は何処を可愛がってやろうか』と舌舐めずりをするのであった。
炬燵にすっぽり入って、それはもう幸せそうにぬくぬくしている五条へ問う。
肩まで炬燵布団を掛けた彼は大層幸せそうで、運ばれてくる蜜柑を啄み、まさに怠惰を極めていた。
「ん?ただの布だよ〜」
「うっそだぁ。だってサングラスなら、ほら。目元を隠しつつ外も見えるけど、その目隠し絶対前が見えないじゃないですか。」
「付けてみる?」
するりと黒い目隠しを外す五条。
まだ体温が残る目隠しを受け取り、名無しは『対価』と言わんばかりに、剥いた蜜柑を五条の口へ放り込んだ。
勧められるがままに付けてみるが、やはり目の前は真っ暗だ。
布の繊維を伸ばしてみれば微かに光が見えなくもないが、どうやって視界を確保しているのか謎のまま。
「五条さん、やっぱり全然見えないですよ。」
「んー?ちっとも?」
「これっぽっちも。」
「ふーん。」
借りた目隠しを外そうと手を伸ばした時だった。
不意に掴まれる手。
体重を掛けられ、無防備にも後ろへ倒れ込む身体。
あまりに突然の出来事に慌ててしまった為、炬燵の中の足がテーブルの裏を蹴りあげてしまい、炬燵がガタッと一瞬暴れた。
「う、わっ、ん!んんッ…!」
唇を塞ぐ何か。
柔らかく、甘酸っぱく。
生き物のように口内へ滑り込んだ舌は、口いっぱいに広がる柑橘の味。
誰がこんな悪い悪戯をしているのか、確かめるまでもない。
「ん、んむ……っン、」
抗議の声は呑み込まれ、舌が丁寧に口内を犯す。
堪能するような動きに頭はくらくらし、身体の奥がじわりと熱を帯びた。
「ん…。目隠ししてキスって、なんかエッチじゃない?」
布越しに落とされるリップ音。
見えず、予想も覚悟も出来ないキスの雨に思わず両肩がピクリと戦慄いた。
「っ、もう!手、離してください!」
「やーだ。離したら目隠し取っちゃうでしょ?」
首筋に落とされる口付け。
突然の感触に、炬燵へ入っているはずなのに背筋がゾクリと震えた。
それは寒気ではなく、間違いなく下腹部から生まれるもので。
「可愛い恋人をさぁ、何も見えない状態で気持ちヨくしてあげるのって、何か興奮しない?」
見えないけれど、見える。
絶対目の前のダメ大人は悪い顔をしているに違いない。
宝石のように透き通った青い瞳を弓なりに細め、形のいい唇をさぞかし楽しそうに釣り上げてるのだろう。
(数分前の自分、大バカ!)
己の浅はかさを内心で罵りながら、名無しはきゅっと身を縮めるのであった。
ブラインド・キッス
可愛い名無しが、目隠し付けて首を傾げてるんだよ?
これを据え膳と言わなくて何と言うのか。
押し倒して、深く口付けて、おまけと言わんばかりにキスを降らせれば、紅色に染まる頬。
加虐心が芽生えてしまうのは必然だった。
――まぁ、予想していなかったわけではないのだけど、ここまですんなり事が進めば、
(ニヤついちゃうのは、仕方ないよねぇ)
零れる笑みを隠すことなく、五条は『さて、次は何処を可愛がってやろうか』と舌舐めずりをするのであった。