short story
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ね〜名無し〜」
私を呼ぶ声。
任務から帰ってきた五条さんが私のベッドに腰掛けたまま呼んでいる。
私は――実を言うと、一昨日から寝ていない。
任務から帰ってきて、締切が近かった寮の経費の会計をしたり、任務の報告書を書いたり。
つまるところ、デスクワークが溜まっていたのだ。
締切三日前には済ませるのがモットーなのに、これは大失態だ。
言い訳をすると、連日の任務であまり寮にいなかったことも原因なのだろうが。
「名無しってばぁ」
「ダメです。」
五条さんの声が、聞こえる。
ちょっと今は小口の計算をしているから静かにして欲しい。
「名無しちゃ〜ん?」
「まだダメです。」
「名無し〜?」
「我慢してください。久しぶりに週末は一緒のお休みなんですよ?私だって我慢してるんですから、もう少し待ってください。」
五条さんには悪いが寝るなら先に寝てて欲しい。狭いベッドですが、どうぞご自由に。
本音を言えば、触れたい。触れられたい。けれど我慢だ。
会計書類の提出は、夜蛾さんなら頭を下げたら待ってくれそうな気もするが……いや、甘えるのは良くない。
そういった気の緩みがどんどん自分を甘やかしていくのだから。
「もー。少し仮眠を取りなさいってば。」
見計らっていたのだろうか。
小口の計算がキリのいいところで、五条さんに電卓を取り上げられた。
取り返そうと伸ばした手は二回りも大きな手に掴まれ、あれよあれよと身体を抱き上げられてしまう。
向かう先は私のベッド。
しばらく触れていなったシーツの感触と、五条さんの体温。
身体を横たわらされた瞬間、とろりとした睡魔が襲ってくる。
…………自分でも薄々分かってはいたけど、かなり疲れているようだ。
「ずっと任務でデスクワーク溜まってるのは知ってるけど。もー考えるのも限界でしょ?
起こしてあげるから、少し寝ちゃいなよ。」
くしゃりと私の髪を撫でる五条さん。
大きくて、少しひんやりした指先が心地よくて、ついつい目を細めてしまう。
「そうだなぁ。多分三日程完徹じゃない?」
「なんで分かるんですか…」
「んーまぁ、墓穴を掘ってたからかな」
「……ぼけつ?」
「そ。」
添い寝をするため、当たり前のように狭いベッドへ身体を滑り込ませる五条さん。
生暖かい人肌の体温のおかげで布団の中が少しだけ温かく感じた。
ウトウトしながら次の言葉を待つ。
耳元で囁くように、彼は心底愉しそうな顔で問うてきた。
「ね。我慢って、なんの我慢?」
だって、五条さんが散々呼んでいたのは……
……あれ?私を仮眠させるためか。
触れたい、触れられたいと我慢していたのは私で、五条さんもてっきりそうなのだと――
かっと顔に血が上るような感覚。
火照った頬が熱い。頭も寝不足も相まってクラクラする。
本当だ。これはとんでもない『墓穴』だ。
「…………あーーー……穴があったら入りたい……」
「穴はないけど布団ならあるよ。」
悪戯っぽく笑いながら五条さんが肩まで羽毛布団を掛けてくれる。
ふんわりと温かい掛布団は魅惑的で、更に五条悟の添い寝までついたなら完璧とも言えるだろう。
三徹の疲れきった身体にK.O.勝ちだった。
「起きたら僕も手伝うからさぁ。週末、いっぱいイチャイチャしよーね。」
「……なら……存分に、甘やかします…」
乳白色に溶けていく意識。
微睡む眠りの向こうで、五条さんが小さく笑った気配がした。
お疲れサマンサ
「――違うよ。僕がいーっぱい名無しを甘やかすの。」
頑張り屋さんの君を幸せにするのは、僕だけの特権なんだから。
私を呼ぶ声。
任務から帰ってきた五条さんが私のベッドに腰掛けたまま呼んでいる。
私は――実を言うと、一昨日から寝ていない。
任務から帰ってきて、締切が近かった寮の経費の会計をしたり、任務の報告書を書いたり。
つまるところ、デスクワークが溜まっていたのだ。
締切三日前には済ませるのがモットーなのに、これは大失態だ。
言い訳をすると、連日の任務であまり寮にいなかったことも原因なのだろうが。
「名無しってばぁ」
「ダメです。」
五条さんの声が、聞こえる。
ちょっと今は小口の計算をしているから静かにして欲しい。
「名無しちゃ〜ん?」
「まだダメです。」
「名無し〜?」
「我慢してください。久しぶりに週末は一緒のお休みなんですよ?私だって我慢してるんですから、もう少し待ってください。」
五条さんには悪いが寝るなら先に寝てて欲しい。狭いベッドですが、どうぞご自由に。
本音を言えば、触れたい。触れられたい。けれど我慢だ。
会計書類の提出は、夜蛾さんなら頭を下げたら待ってくれそうな気もするが……いや、甘えるのは良くない。
そういった気の緩みがどんどん自分を甘やかしていくのだから。
「もー。少し仮眠を取りなさいってば。」
見計らっていたのだろうか。
小口の計算がキリのいいところで、五条さんに電卓を取り上げられた。
取り返そうと伸ばした手は二回りも大きな手に掴まれ、あれよあれよと身体を抱き上げられてしまう。
向かう先は私のベッド。
しばらく触れていなったシーツの感触と、五条さんの体温。
身体を横たわらされた瞬間、とろりとした睡魔が襲ってくる。
…………自分でも薄々分かってはいたけど、かなり疲れているようだ。
「ずっと任務でデスクワーク溜まってるのは知ってるけど。もー考えるのも限界でしょ?
起こしてあげるから、少し寝ちゃいなよ。」
くしゃりと私の髪を撫でる五条さん。
大きくて、少しひんやりした指先が心地よくて、ついつい目を細めてしまう。
「そうだなぁ。多分三日程完徹じゃない?」
「なんで分かるんですか…」
「んーまぁ、墓穴を掘ってたからかな」
「……ぼけつ?」
「そ。」
添い寝をするため、当たり前のように狭いベッドへ身体を滑り込ませる五条さん。
生暖かい人肌の体温のおかげで布団の中が少しだけ温かく感じた。
ウトウトしながら次の言葉を待つ。
耳元で囁くように、彼は心底愉しそうな顔で問うてきた。
「ね。我慢って、なんの我慢?」
だって、五条さんが散々呼んでいたのは……
……あれ?私を仮眠させるためか。
触れたい、触れられたいと我慢していたのは私で、五条さんもてっきりそうなのだと――
かっと顔に血が上るような感覚。
火照った頬が熱い。頭も寝不足も相まってクラクラする。
本当だ。これはとんでもない『墓穴』だ。
「…………あーーー……穴があったら入りたい……」
「穴はないけど布団ならあるよ。」
悪戯っぽく笑いながら五条さんが肩まで羽毛布団を掛けてくれる。
ふんわりと温かい掛布団は魅惑的で、更に五条悟の添い寝までついたなら完璧とも言えるだろう。
三徹の疲れきった身体にK.O.勝ちだった。
「起きたら僕も手伝うからさぁ。週末、いっぱいイチャイチャしよーね。」
「……なら……存分に、甘やかします…」
乳白色に溶けていく意識。
微睡む眠りの向こうで、五条さんが小さく笑った気配がした。
お疲れサマンサ
「――違うよ。僕がいーっぱい名無しを甘やかすの。」
頑張り屋さんの君を幸せにするのは、僕だけの特権なんだから。