葉王を拾ってしまいました
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それは彼との共同生活が軌道にのってきた時に、悲劇は起こった。
立て込んでいた案件が片付き、気が良くなった私は久しぶりにお酒を開けた。
興味津々だったシンドバッドも同伴に預かり、楽しく酒の席の時間は流れたはず、だった。
それが、昨夜の記憶。
ぽかぽかとあたたかい『何か』に包まれ、それはもう寝心地は最高の一言に尽きる。
窓の外からはスズメの鳴き声が可愛らしく囀っていた。
眠気がまだ残る目元を擦り、欠伸をひとつ。
視界いっぱいに広がる、健康的な色の肌。
頭の上ですぅすぅと繰り返される穏やかな呼吸音。
シーツの上に広がる濃紺の髪。
瞼を縁取る長い睫毛。普段キリッとしている眉はとろりと緩んでいる。
造形物のようにスッと通った鼻筋に、無防備に開いた口元。
そして太ももに当たる、違和感。
考えなしに視線を下に向ければ、シンドバッドの『シンドバッド(大)』が朝の生理現象に見舞われていた。
つまり。
裸の。
シンドバッドが。
同じベッドで。
寝ている。
なんならシンドバッドのシンドバッド(大)は起きている。正しくは勃っている。
「う、うわぁぁあ!」
長年愛用している枕を彼の顔面に叩きつけ、私は朝から声を張り上げるのであった。
すっぱだカーニバル?
「なんで一緒の布団…いや、それよりなんで裸なんですか!?」
とりあえずパンツをはかせて説教をするが、彼は軽やかに笑うばかり。
……私は少しばかり後悔した。
パンツ一枚でもこの男の身体は目に毒だ、と。
「すまない。実は俺はあまり酒に強くなくてな!」
「うわばみっぽい顔してるのにですか!?」
つまり寝惚けて一緒の布団に入った、と。
子供ならどれだけ可愛い言い訳だっただろう。
しかし残念ながら寝惚けたのは大の男。しかもアルコール入である。
「……ん?待ってください。裸になっていたのはどうしてですか?」
「あぁ。あれはクセだな。」
「…寝ながら服を脱ぐ、と?」
「うむ。よくあることだな!」
あっけらかんと言うものだから思考回路が完全にフリーズしかけた。危ない。
とりあえず一度息の根を止めようか。鈍器はテレビのリモコンでいいだろう。
「待ってくれ!やましいことはまだ何もしてないぞ!」
「まだってなんですか!えっち!すけべ!」
「いやいやいや!ほら、君も初めてというわけではないのだろう!?」
「…………………………」
そう言われ思わずぐっと口を噤む。
学校を卒業し、修行だと言い聞かせて超激務の広告代理店に入り、年単位で腕を磨き、今はフリーランスになって忙しくも充実した日々を過ごしている。
生活と自由と技術を手に入れた代わりに、恋人という恋人を作ってこなかった。正しくは余裕もなかった。
気がつけばアラサーと呼ばれても過言ではない歳である。
しかし性教育くらいは一人前にある。性欲だってないことはない。
彼が『初めてではないだろう』という言葉の意味くらい分かる。
つまり、そういうことだ。
身体中の熱が頬に集まる。
なんでこんな形で遍歴を暴かれなければならないのか。
目は口ほどに物を言うとは言うが――視線を合わせるまでもない。顔色を見ればすぐにバレてしまったことが分かってしまった。
「…………いや、慎ましい女性はいいと思うぞ!うん!」
「〜〜っシンドバッドさん、しばらくお酒禁止です!」
「な、何だって!?」
これだから経験豊富の王様は!!
立て込んでいた案件が片付き、気が良くなった私は久しぶりにお酒を開けた。
興味津々だったシンドバッドも同伴に預かり、楽しく酒の席の時間は流れたはず、だった。
それが、昨夜の記憶。
ぽかぽかとあたたかい『何か』に包まれ、それはもう寝心地は最高の一言に尽きる。
窓の外からはスズメの鳴き声が可愛らしく囀っていた。
眠気がまだ残る目元を擦り、欠伸をひとつ。
視界いっぱいに広がる、健康的な色の肌。
頭の上ですぅすぅと繰り返される穏やかな呼吸音。
シーツの上に広がる濃紺の髪。
瞼を縁取る長い睫毛。普段キリッとしている眉はとろりと緩んでいる。
造形物のようにスッと通った鼻筋に、無防備に開いた口元。
そして太ももに当たる、違和感。
考えなしに視線を下に向ければ、シンドバッドの『シンドバッド(大)』が朝の生理現象に見舞われていた。
つまり。
裸の。
シンドバッドが。
同じベッドで。
寝ている。
なんならシンドバッドのシンドバッド(大)は起きている。正しくは勃っている。
「う、うわぁぁあ!」
長年愛用している枕を彼の顔面に叩きつけ、私は朝から声を張り上げるのであった。
すっぱだカーニバル?
「なんで一緒の布団…いや、それよりなんで裸なんですか!?」
とりあえずパンツをはかせて説教をするが、彼は軽やかに笑うばかり。
……私は少しばかり後悔した。
パンツ一枚でもこの男の身体は目に毒だ、と。
「すまない。実は俺はあまり酒に強くなくてな!」
「うわばみっぽい顔してるのにですか!?」
つまり寝惚けて一緒の布団に入った、と。
子供ならどれだけ可愛い言い訳だっただろう。
しかし残念ながら寝惚けたのは大の男。しかもアルコール入である。
「……ん?待ってください。裸になっていたのはどうしてですか?」
「あぁ。あれはクセだな。」
「…寝ながら服を脱ぐ、と?」
「うむ。よくあることだな!」
あっけらかんと言うものだから思考回路が完全にフリーズしかけた。危ない。
とりあえず一度息の根を止めようか。鈍器はテレビのリモコンでいいだろう。
「待ってくれ!やましいことはまだ何もしてないぞ!」
「まだってなんですか!えっち!すけべ!」
「いやいやいや!ほら、君も初めてというわけではないのだろう!?」
「…………………………」
そう言われ思わずぐっと口を噤む。
学校を卒業し、修行だと言い聞かせて超激務の広告代理店に入り、年単位で腕を磨き、今はフリーランスになって忙しくも充実した日々を過ごしている。
生活と自由と技術を手に入れた代わりに、恋人という恋人を作ってこなかった。正しくは余裕もなかった。
気がつけばアラサーと呼ばれても過言ではない歳である。
しかし性教育くらいは一人前にある。性欲だってないことはない。
彼が『初めてではないだろう』という言葉の意味くらい分かる。
つまり、そういうことだ。
身体中の熱が頬に集まる。
なんでこんな形で遍歴を暴かれなければならないのか。
目は口ほどに物を言うとは言うが――視線を合わせるまでもない。顔色を見ればすぐにバレてしまったことが分かってしまった。
「…………いや、慎ましい女性はいいと思うぞ!うん!」
「〜〜っシンドバッドさん、しばらくお酒禁止です!」
「な、何だって!?」
これだから経験豊富の王様は!!