葉王を拾ってしまいました
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
私は、変質者に出会ってしまった。
「すまない、お嬢さん。ここがどこか教えてくれないか?」
全裸。紛うことなき、全裸だ。
強いて言うなら股間のところを大きな葉っぱ(どこで拾ったんだろう)で隠している、顔面偏差値75オーバーの長身イケメンである。
「へ、」
「へ?」
「変態だぁぁー!」
葉王を拾ってしまいました
「……まぁ、最低の出会いでしたね」
「仕方ないだろう。『こっちの世界』に来た時に、服も何もかもなくなってしまったんだ。」
はっはっは、と呑気に笑う目の前の男性は『シンドバッド』という。
身長183cm。体重83kg。ムキムキのお兄さんである。
年齢は34歳。――正確には『享年』34歳、らしい。
彼の話を鵜呑みにするなら、彼は元々シンドリア王国という元・王様で、七海の覇王という異名も持ち、元々いた世界では知らない人がいない有名人らしい。
『お、俺を知らないのか!?……ま、まぁ、そういうこともあるか…』と何故か落ち込んでいたが、うっかり彼を拾ってしまった身としてはそれどころじゃない。
王様という地位を辞めたあとは商会の長をやっていたらしい。
で、戦争が絶えなかった世界を統一するために『ルフ』という概念になって――いや、正直ここら辺はあまり理解が出来ていない。
足りない頭で考え、噛み砕いて理解した結果『全人類の精神的価値観を上書きして征服しようとした。そのために魂となったけど自分よりもっとヤバい悪人が出てきたために失敗した。
そしてかつての彼を止めようとしてくれた仲間達と共にその悪人を封印したけれど、魂となった彼は異次元に飛ばされ今に至る』ということらしい。なんのこっちゃ。
つまり、戸籍がない。行くあてもない。なんなら服もないしお金もない。
あの時はどうかしていたのだ。
まるで捨てられた大きな犬のように見えてしまって、身の上話を聞いたら『そうですか、ではさようなら』とは言えなかった。
「いやぁ、名無しに拾ってもらえて俺は運がよかった」
「まぁ…一度拾ったならちゃんと最後まで面倒みろ、って教えられていますから…」
犬猫の話だけど。
股下スカイツリーの彼は裾直しもいらないらしい。
ユニクロで買ってきたズボンも恐ろしい程にピッタリだ。歩くマネキンかもしれない。
そしてムキムキだ。先程言ったかもしれないが、彼…シンドバッドは、かなりのムキムキだ。
ボディービルダーのように筋肉で覆われた肉体とは違う、引き締まった――まぁ、一言で言うとかなりセクシーなお身体をしていた。
けれど戦争が絶えなかった世界というのは、事実らしい。
古い傷跡はいくつもあり、それが刀傷のようなものから槍で刺されたような創傷まで、痛々しい程に様々だった。
…どうして知っているかというと、事情を聞いている間、その素晴らしい肉体を惜しげもなく晒しっぱなしだったからだ。
更に暴露すると服を慌てて買って渡した後も『本当にありがとう、助かるよ』といい笑顔で礼を言いながら目の前で着替えはじめたから。勘弁してほしい。
――とまぁ、作り話にしては妙にファンタジーなわけだが、彼の藍色かかった珍しい髪も、現代では珍しいくらいの長髪も、生々しい古傷もリアルだったので信じるしかなかった。
「しかしなんというか。ふむ。」
「なんですか?」
「俺としては君が26歳というのが俄に信じ難いというか」
「すいませんねぇ、童顔で!
……怒りました。今日はシンドバッドさんのお夕飯は白菜の芯だけにします!シンなだけに!」
「なっ、違っ、俺は褒めたつもりだぞ!?」
やっぱり拾うんじゃなかった!!
「すまない、お嬢さん。ここがどこか教えてくれないか?」
全裸。紛うことなき、全裸だ。
強いて言うなら股間のところを大きな葉っぱ(どこで拾ったんだろう)で隠している、顔面偏差値75オーバーの長身イケメンである。
「へ、」
「へ?」
「変態だぁぁー!」
葉王を拾ってしまいました
「……まぁ、最低の出会いでしたね」
「仕方ないだろう。『こっちの世界』に来た時に、服も何もかもなくなってしまったんだ。」
はっはっは、と呑気に笑う目の前の男性は『シンドバッド』という。
身長183cm。体重83kg。ムキムキのお兄さんである。
年齢は34歳。――正確には『享年』34歳、らしい。
彼の話を鵜呑みにするなら、彼は元々シンドリア王国という元・王様で、七海の覇王という異名も持ち、元々いた世界では知らない人がいない有名人らしい。
『お、俺を知らないのか!?……ま、まぁ、そういうこともあるか…』と何故か落ち込んでいたが、うっかり彼を拾ってしまった身としてはそれどころじゃない。
王様という地位を辞めたあとは商会の長をやっていたらしい。
で、戦争が絶えなかった世界を統一するために『ルフ』という概念になって――いや、正直ここら辺はあまり理解が出来ていない。
足りない頭で考え、噛み砕いて理解した結果『全人類の精神的価値観を上書きして征服しようとした。そのために魂となったけど自分よりもっとヤバい悪人が出てきたために失敗した。
そしてかつての彼を止めようとしてくれた仲間達と共にその悪人を封印したけれど、魂となった彼は異次元に飛ばされ今に至る』ということらしい。なんのこっちゃ。
つまり、戸籍がない。行くあてもない。なんなら服もないしお金もない。
あの時はどうかしていたのだ。
まるで捨てられた大きな犬のように見えてしまって、身の上話を聞いたら『そうですか、ではさようなら』とは言えなかった。
「いやぁ、名無しに拾ってもらえて俺は運がよかった」
「まぁ…一度拾ったならちゃんと最後まで面倒みろ、って教えられていますから…」
犬猫の話だけど。
股下スカイツリーの彼は裾直しもいらないらしい。
ユニクロで買ってきたズボンも恐ろしい程にピッタリだ。歩くマネキンかもしれない。
そしてムキムキだ。先程言ったかもしれないが、彼…シンドバッドは、かなりのムキムキだ。
ボディービルダーのように筋肉で覆われた肉体とは違う、引き締まった――まぁ、一言で言うとかなりセクシーなお身体をしていた。
けれど戦争が絶えなかった世界というのは、事実らしい。
古い傷跡はいくつもあり、それが刀傷のようなものから槍で刺されたような創傷まで、痛々しい程に様々だった。
…どうして知っているかというと、事情を聞いている間、その素晴らしい肉体を惜しげもなく晒しっぱなしだったからだ。
更に暴露すると服を慌てて買って渡した後も『本当にありがとう、助かるよ』といい笑顔で礼を言いながら目の前で着替えはじめたから。勘弁してほしい。
――とまぁ、作り話にしては妙にファンタジーなわけだが、彼の藍色かかった珍しい髪も、現代では珍しいくらいの長髪も、生々しい古傷もリアルだったので信じるしかなかった。
「しかしなんというか。ふむ。」
「なんですか?」
「俺としては君が26歳というのが俄に信じ難いというか」
「すいませんねぇ、童顔で!
……怒りました。今日はシンドバッドさんのお夕飯は白菜の芯だけにします!シンなだけに!」
「なっ、違っ、俺は褒めたつもりだぞ!?」
やっぱり拾うんじゃなかった!!
1/6ページ