追憶の星
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「なんで盗聴してるってバレたんスか?」
「長年の勘と、浦原さんならこうしそうだな、と思っただけです」
「おかげで総隊長と夜一サンに怒られたじゃないっスかぁ」
「ははは。良かったですね、いい薬ですよ。
なんなら手枷作り、協力しましょうか?完成からは程遠くなりますけど。」
数々の手荒い歓迎を受けた名無しは、ついつい言葉にトゲが生えてしまう。
浦原は興味深そうに少女を見下ろしながら「…じゃあ手伝って貰いましょうかねぇ」と薄ら笑うのであった。
追想の星#04
「これ、つなぎの素材の配合、ギリギリの手枷っスよ。なんで壊れるんっスか?」
「全力で壊しにかかってますから。」
殺気石の配合割合はこれが限界らしい。
かといって、つなぎの鋼や鉄の素材をこれ以上減らせば物理的な耐久度に不安が残るようで。
名無しはひび割れて無残な姿になった手枷の試作品を浦原に手渡しながらあっけらかんと笑った。
「霊力バカって言われません?」
「上司には言われてますよ。褒め言葉として受け取ってますけど」
その渾名をつけたマユリは、もうこの時代で生きているのだろうか?
……生きていたとしても、恐らく蛆虫の巣の最下層の独房にいるのだろうが。面会は無理だと思った方がいいだろう。
「ホントに霊王の欠片、持ってるみたいっスねぇ。はったりかと思ってましたよ」
「山本総隊長にはったりなんか仕掛けませんよ。見破られた時が怖いですもん。消し炭になりたいと思うほど命知らずではありませんから」
山本が身内に対して激怒した姿を名無しは直接見たことがないので実感はないが、怒らせてしまった経験者(※主に京楽)は顔を青ざめさせていた。
まさに触らぬ神に祟りなし。仏の顔も三度まで…といったところか。
あの浮竹ですら震え上がっていたのだ。叱られたくないに決まっている。
「霊力が高い…ってことは、もしかしてですけど卍解できるんっスか?」
わくわくきらきら。
子供のような、期待に満ちた表情で浦原がこちらを眺めてきているが…さて、どうしたものか。
「出来るけどしませんよ。」
「なんでっスか」
「する意味がないですから」
無闇矢鱈にするものでもないし、正直疲れる。
…………そう言えば。
三席ってことはもしかして、
「いいじゃないっスかぁ〜。今ボク、卍解頑張って習得しようとしてるトコなんっスから、お手本見せてくださいよ」
驚愕の事実に思わず面食らってしまう名無し。
それもそうだ。
化け物のように強い、師である浦原だって、生まれ落ちた瞬間から卍解が使えていた訳では無い。
勿論、発展途上の時期だってあるわけだ。
(というか、私、浦原さんの卍解見たことないや)
本人曰く『人を鍛えるのにはトコトン向いていない卍解』と言っていたが、どういうことだろう。
「……気が向いたら、見せます。」
「お。じゃあお願いしますねぇ」
「でもあまり修行だ〜研究だ〜って、フラフラされると困ります。私が。」
この男は自覚があるのだろうか。
キョトンと目を丸くする浦原。
名無しのよく知っている浦原に比べて幾分か若く見える雰囲気は、新鮮ではあったが正直違和感の方が勝る。
「今、一応命を狙われているんですよ?
どこかの誰かさんが私を張り倒してくれたおかげで、犯人を捕まえられなかったし、完全に霊圧消して、どこかに潜伏されちゃいましたし」
「まぁまぁそう仰らず。大丈夫じゃないンっスか?殺されてやるつもりもないですし。」
「万が一があるでしょう?
…憶測ですが、恐らく浦原さんを殺すことで私がいる時代の浦原さんの存在自体消すつもりだと推測してます」
SF映画によくある、タイムパラドックス。
『時代がズレた』と言っていたあの男…刻志は言っていた。
恐らくもっと浦原の力がない……それこそ下手すれば赤子時代に飛ぶつもりだったのかもしれない。
確かにそうすれば『未知数の手段』を用いる浦原を、文字通り『赤子の手をひねるように』殺せるだろう。
楽観視している浦原に対して、僅かに苛立ちがふつふつと沸いてくる。
名無しの進言は、あまり意味が無い。
それもそうだ。今の私は彼に信用されていない。
信頼関係が全く作られていない小娘に小言を言われても、煩いだけだろう。
事情は分かる。心情も理解できる。
それでも、
「今の浦原さんに何かあったら、未来の浦原さんと、私が困るんです。」
降り掛かる火の粉は全力で払いたい。
最悪の事態を常に想定して動くべきだ。そう彼に教えられたのだから、尚更。
「……………ふぅん。」
興味深そうに浦原がこちらをまじまじと眺めてくる。
まるで観察するような視線に居心地の悪さを感じながら、「なんですか」と一応問うてみる。
「もしかして、未来のボクのコレっスか?」
ニヤリと笑いながら小指を立てる浦原に対して、素直に『そうです』と答えるのも何だか腹が立つ。
じとりと軽く睨み返して「ご想像にお任せします」とため息混じりに返事をした。
「長年の勘と、浦原さんならこうしそうだな、と思っただけです」
「おかげで総隊長と夜一サンに怒られたじゃないっスかぁ」
「ははは。良かったですね、いい薬ですよ。
なんなら手枷作り、協力しましょうか?完成からは程遠くなりますけど。」
数々の手荒い歓迎を受けた名無しは、ついつい言葉にトゲが生えてしまう。
浦原は興味深そうに少女を見下ろしながら「…じゃあ手伝って貰いましょうかねぇ」と薄ら笑うのであった。
追想の星#04
「これ、つなぎの素材の配合、ギリギリの手枷っスよ。なんで壊れるんっスか?」
「全力で壊しにかかってますから。」
殺気石の配合割合はこれが限界らしい。
かといって、つなぎの鋼や鉄の素材をこれ以上減らせば物理的な耐久度に不安が残るようで。
名無しはひび割れて無残な姿になった手枷の試作品を浦原に手渡しながらあっけらかんと笑った。
「霊力バカって言われません?」
「上司には言われてますよ。褒め言葉として受け取ってますけど」
その渾名をつけたマユリは、もうこの時代で生きているのだろうか?
……生きていたとしても、恐らく蛆虫の巣の最下層の独房にいるのだろうが。面会は無理だと思った方がいいだろう。
「ホントに霊王の欠片、持ってるみたいっスねぇ。はったりかと思ってましたよ」
「山本総隊長にはったりなんか仕掛けませんよ。見破られた時が怖いですもん。消し炭になりたいと思うほど命知らずではありませんから」
山本が身内に対して激怒した姿を名無しは直接見たことがないので実感はないが、怒らせてしまった経験者(※主に京楽)は顔を青ざめさせていた。
まさに触らぬ神に祟りなし。仏の顔も三度まで…といったところか。
あの浮竹ですら震え上がっていたのだ。叱られたくないに決まっている。
「霊力が高い…ってことは、もしかしてですけど卍解できるんっスか?」
わくわくきらきら。
子供のような、期待に満ちた表情で浦原がこちらを眺めてきているが…さて、どうしたものか。
「出来るけどしませんよ。」
「なんでっスか」
「する意味がないですから」
無闇矢鱈にするものでもないし、正直疲れる。
…………そう言えば。
三席ってことはもしかして、
「いいじゃないっスかぁ〜。今ボク、卍解頑張って習得しようとしてるトコなんっスから、お手本見せてくださいよ」
驚愕の事実に思わず面食らってしまう名無し。
それもそうだ。
化け物のように強い、師である浦原だって、生まれ落ちた瞬間から卍解が使えていた訳では無い。
勿論、発展途上の時期だってあるわけだ。
(というか、私、浦原さんの卍解見たことないや)
本人曰く『人を鍛えるのにはトコトン向いていない卍解』と言っていたが、どういうことだろう。
「……気が向いたら、見せます。」
「お。じゃあお願いしますねぇ」
「でもあまり修行だ〜研究だ〜って、フラフラされると困ります。私が。」
この男は自覚があるのだろうか。
キョトンと目を丸くする浦原。
名無しのよく知っている浦原に比べて幾分か若く見える雰囲気は、新鮮ではあったが正直違和感の方が勝る。
「今、一応命を狙われているんですよ?
どこかの誰かさんが私を張り倒してくれたおかげで、犯人を捕まえられなかったし、完全に霊圧消して、どこかに潜伏されちゃいましたし」
「まぁまぁそう仰らず。大丈夫じゃないンっスか?殺されてやるつもりもないですし。」
「万が一があるでしょう?
…憶測ですが、恐らく浦原さんを殺すことで私がいる時代の浦原さんの存在自体消すつもりだと推測してます」
SF映画によくある、タイムパラドックス。
『時代がズレた』と言っていたあの男…刻志は言っていた。
恐らくもっと浦原の力がない……それこそ下手すれば赤子時代に飛ぶつもりだったのかもしれない。
確かにそうすれば『未知数の手段』を用いる浦原を、文字通り『赤子の手をひねるように』殺せるだろう。
楽観視している浦原に対して、僅かに苛立ちがふつふつと沸いてくる。
名無しの進言は、あまり意味が無い。
それもそうだ。今の私は彼に信用されていない。
信頼関係が全く作られていない小娘に小言を言われても、煩いだけだろう。
事情は分かる。心情も理解できる。
それでも、
「今の浦原さんに何かあったら、未来の浦原さんと、私が困るんです。」
降り掛かる火の粉は全力で払いたい。
最悪の事態を常に想定して動くべきだ。そう彼に教えられたのだから、尚更。
「……………ふぅん。」
興味深そうに浦原がこちらをまじまじと眺めてくる。
まるで観察するような視線に居心地の悪さを感じながら、「なんですか」と一応問うてみる。
「もしかして、未来のボクのコレっスか?」
ニヤリと笑いながら小指を立てる浦原に対して、素直に『そうです』と答えるのも何だか腹が立つ。
じとりと軽く睨み返して「ご想像にお任せします」とため息混じりに返事をした。