追憶の星
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霊王宮の鍵として、変質した骨。
それが霊王以外の死神が、霊王宮に出入りするための唯一の手段だ。
例外があるとすれば、未来の藍染のように『王鍵』を作ることだろうが……それは例外中の例外だろう。
しかしここは、霊王宮だ。
霊王が、自分自身の御殿に戻るため、鍵など必要だろうか?
答えは否だ。
以前和尚が『何、その斬魄刀さえあればいつでも来れるぞ』と言っていたが、どうやら嘘ではなかったらしい。
誰がこんなところ、と毒づいたものだが……本当に、人生は何が起こるかわかったものじゃない。
今回のイレギュラーは、正直喜ばしいこととは全く言えないのだが。
「しかしこれ、便利っスねぇ。ボクも今度作ってみましょ」
「……ちょっと、浦原さん。どこ触ってるんですか。」
「え?腰っスよ。仕方ないじゃないっスかぁ。外套の中、狭いンっスから。」
霊圧を完全に遮断する外套を羽織った浦原。
……が、羽織る外套の中に、すっぽり収まる名無し。
いくら小柄とはいえ、窮屈なことこの上ない。
離れないようお互い密着しているのだが、浦原が抱き抱えてくる手の……この、置き場所が、とても気になる。
どう気になるかと問われれば…うん、なんというか、手つきがいやらしい。
「いざとなったら置いて戻りますからね。」
「名無しサンったら、またまた〜。」
『ご冗談を』と言わんばかりにヘラヘラと笑う浦原。
置いて行かない、見捨てたりしない。そう確信しているからこそ、茶化すように浦原は楽しそうに笑うのだ。
図星なのだが何だか少しだけ腹が立って、名無しは浦原の足先を思い切り踵で踏んだ。
「痛いっス!」
「浦原さん、うるさいですよ。」
追憶の星#21
「はーーー、ココが霊王宮っスか。」
「いえ。ここは霊王宮…なんですけど、正確には『霊王宮表参道』です。」
宙に浮く円錐のような建物が『霊王大内裏』。
周りに浮かぶ盤のようなものが『零番離殿』だと名無しが説明する。
「つまるところ、バケモノが住まうテーマパークみたいなものですよ。」
「酷い言い様っスねぇ。」
「そりゃそうですよ。正義か悪かと判断するとすれば、彼らは尸魂界にとって正義なんでしょうけど。私がただ生理的に嫌いなだけです。」
ともすれば、毛嫌いしている藍染よりもその点、根が深いだろう。
相棒が苦手としている連中な上、どうしてもその思想が気に食わない。
「零番隊は霊王を守るための『システム』だと思った方が身のためです。『心』があると思って相対すれば、こっちが疲れるだけですから。特にあのハゲ。」
「ハゲとはわしのことか!」
達磨のような風貌をした男が、音もなく、霊圧もなく、浦原と名無しの背後に降り立つ。
怒っているわけでもなく、しかし笑っている訳でもない。
たっぷりとたくわえた髭を撫でながら、物色するようにこちらを眺めていた。
「来るやもとは思っておったが、お主が未来から来た『霊王様の依代』か。」
兵主部一兵衛。通称、まなこ和尚。
丸く見開いた目は一切笑わず、口元だけ愉しそうに歪めて彼はこう言った。
「歓迎しようではないか。なにせ、久しぶりの客人じゃ」
それが霊王以外の死神が、霊王宮に出入りするための唯一の手段だ。
例外があるとすれば、未来の藍染のように『王鍵』を作ることだろうが……それは例外中の例外だろう。
しかしここは、霊王宮だ。
霊王が、自分自身の御殿に戻るため、鍵など必要だろうか?
答えは否だ。
以前和尚が『何、その斬魄刀さえあればいつでも来れるぞ』と言っていたが、どうやら嘘ではなかったらしい。
誰がこんなところ、と毒づいたものだが……本当に、人生は何が起こるかわかったものじゃない。
今回のイレギュラーは、正直喜ばしいこととは全く言えないのだが。
「しかしこれ、便利っスねぇ。ボクも今度作ってみましょ」
「……ちょっと、浦原さん。どこ触ってるんですか。」
「え?腰っスよ。仕方ないじゃないっスかぁ。外套の中、狭いンっスから。」
霊圧を完全に遮断する外套を羽織った浦原。
……が、羽織る外套の中に、すっぽり収まる名無し。
いくら小柄とはいえ、窮屈なことこの上ない。
離れないようお互い密着しているのだが、浦原が抱き抱えてくる手の……この、置き場所が、とても気になる。
どう気になるかと問われれば…うん、なんというか、手つきがいやらしい。
「いざとなったら置いて戻りますからね。」
「名無しサンったら、またまた〜。」
『ご冗談を』と言わんばかりにヘラヘラと笑う浦原。
置いて行かない、見捨てたりしない。そう確信しているからこそ、茶化すように浦原は楽しそうに笑うのだ。
図星なのだが何だか少しだけ腹が立って、名無しは浦原の足先を思い切り踵で踏んだ。
「痛いっス!」
「浦原さん、うるさいですよ。」
追憶の星#21
「はーーー、ココが霊王宮っスか。」
「いえ。ここは霊王宮…なんですけど、正確には『霊王宮表参道』です。」
宙に浮く円錐のような建物が『霊王大内裏』。
周りに浮かぶ盤のようなものが『零番離殿』だと名無しが説明する。
「つまるところ、バケモノが住まうテーマパークみたいなものですよ。」
「酷い言い様っスねぇ。」
「そりゃそうですよ。正義か悪かと判断するとすれば、彼らは尸魂界にとって正義なんでしょうけど。私がただ生理的に嫌いなだけです。」
ともすれば、毛嫌いしている藍染よりもその点、根が深いだろう。
相棒が苦手としている連中な上、どうしてもその思想が気に食わない。
「零番隊は霊王を守るための『システム』だと思った方が身のためです。『心』があると思って相対すれば、こっちが疲れるだけですから。特にあのハゲ。」
「ハゲとはわしのことか!」
達磨のような風貌をした男が、音もなく、霊圧もなく、浦原と名無しの背後に降り立つ。
怒っているわけでもなく、しかし笑っている訳でもない。
たっぷりとたくわえた髭を撫でながら、物色するようにこちらを眺めていた。
「来るやもとは思っておったが、お主が未来から来た『霊王様の依代』か。」
兵主部一兵衛。通称、まなこ和尚。
丸く見開いた目は一切笑わず、口元だけ愉しそうに歪めて彼はこう言った。
「歓迎しようではないか。なにせ、久しぶりの客人じゃ」