店主と彼女の事情シリーズ
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「…以上が、現世で観測されたユーハバッハの残滓による影響の報告になります。」
特例で副隊長も参加の隊首会にて、現世での調査の結果を理路整然と報告する名無し。
背筋をしゃんと伸ばしハキハキと喋る横顔を眺めながら『あぁ、コイツこんな顔も出来るんだな』と俺はぼんやりと思った。
店主と少女の事情#阿散井恋次の場合
「はぁぁぁー、疲れたぁー緊張したぁぁー…」
副隊長の詰所で気が抜けたかのようにダラける名無し。
先程の真面目な雰囲気は微塵もなく、骨が抜かれたかのように完全に脱力していた。
「ご苦労だったな、名無し。一護に手伝わせてしまえばよかったのに」
「いやいや。彼の今の本業は大学だもの。しかも医大…だったけ?大変みたいだし、早々にこんな面倒くさいこと頼めないよ」
ルキアが笑いながら名無しに茶を差し出す。
それを礼を言いつつ受け取り、名無しは困ったように笑うばかりだ。
「早く現世に帰りたいなぁ。」
「ん?まだ用事あるのか?お前。」
呑気に茶を啜りながらボヤく名無しを、俺は静かに見下ろした。
手足をダラしなく投げ出している様を朽木隊長が見れば、苦言のひとつふたつ出てくるだろうが、残念ながらここは副隊長詰所だ。そう滅多に来るところではない。
だからこそ、彼女はダラダラと時間を潰しているのだろうけど。
「マユリさんが浦原さんに渡しておいて欲しいものがあるんだって。だからあと一時間は待っておかなきゃいけないのよ」
「…涅隊長が、浦原さんに…?」
もうその二人の組み合わせだけでも既にヤバい匂いがする。
絶対ロクなものではない。俺はそんな予感がした。
「それなら浦原も連れてくればよかったのではないのか?」
「うーん…確かにそっちの方が報告は楽かもしれないけど」
小さく首を傾げながら問うルキアに対して、歯切れの悪い返事をする名無し。
彼女がこんな風に言い淀むなんて珍しいことだった。
「あの人に会いたいって死神はごまんといるんだぞ?初代技術開発局局長、っていったら有名人だしな」
「だから嫌なの。」
まぁ俺もその一人だったわけだが。
もちろん『初代技術開発局局長』だけが当時の会いたかった理由ではない。
子供みたいにムッと口先を尖らせて眉を寄せる名無し。彼女にしては珍しい表情だ。
不満そうな、不服そうな、ちょっとだけ拗ねたような顔。
「なんだ、お前。ヤキモチ妬いてんのか?」
「…何よ、悪い?」
不機嫌ながらも恥ずかしそうに返事をする彼女。
あぁ、コイツもこんな風にヤキモチ妬いたりするんだな。ちょっとだけ何だか安心した。
「不粋だぞ、恋次。」
「いや、その…意外でな。悪ィ。」
「謝る程のことじゃないけど…」
「いや、阿散井くんに当たるのは良くないよね、分かってるよ、ごめんね」と溜息を吐きながら名無しがテーブルにうつ伏せる。
どちらかと言うと浦原さんの方がゾッコンなイメージだったが、意外とこいつも負けず劣らずというか。
…あまり進展していない俺とルキアから見たら少し羨ましい。ほんの少しだが。
「…浦原さん、なまじ顔がいいからタチ悪い…」
あぁ、ミーハーな女性死神が騒いでいたりしたな。そういえば。
さぞかし隊長時代だった頃はモテたのだろう。
かく言う、目の前で頭を抱えている名無しも男性死神の間で話題に上がっているのは…黙っておこう。
その男性死神の命が危ない。浦原さん程、敵に回したらヤバい人もそういない。
俺の心の内にそっとしまっておこう。
「二人とも。さっきの絶対に浦原さんに内緒ね」
「何故だ?」
「嫉妬してるなんて、子供っぽいでしょ。恥ずかしいじゃない」
呆れられるの、嫌だもの。
(浦原さんなら、知ったら多分呆れるどころか喜ぶと思うけどな)
恐らくルキアもそう思ったのだろう。
可愛い幼馴染と目が合えば、お互いつい苦笑いが零れてしまった。
あとコイツの生きてきた年数考えたら十分子供っぽくても問題ないのだが、彼女なりに精一杯背伸びしているのだろう。
(ここは人生の先輩としてあたたかく見守っといてやるか)
特例で副隊長も参加の隊首会にて、現世での調査の結果を理路整然と報告する名無し。
背筋をしゃんと伸ばしハキハキと喋る横顔を眺めながら『あぁ、コイツこんな顔も出来るんだな』と俺はぼんやりと思った。
店主と少女の事情#阿散井恋次の場合
「はぁぁぁー、疲れたぁー緊張したぁぁー…」
副隊長の詰所で気が抜けたかのようにダラける名無し。
先程の真面目な雰囲気は微塵もなく、骨が抜かれたかのように完全に脱力していた。
「ご苦労だったな、名無し。一護に手伝わせてしまえばよかったのに」
「いやいや。彼の今の本業は大学だもの。しかも医大…だったけ?大変みたいだし、早々にこんな面倒くさいこと頼めないよ」
ルキアが笑いながら名無しに茶を差し出す。
それを礼を言いつつ受け取り、名無しは困ったように笑うばかりだ。
「早く現世に帰りたいなぁ。」
「ん?まだ用事あるのか?お前。」
呑気に茶を啜りながらボヤく名無しを、俺は静かに見下ろした。
手足をダラしなく投げ出している様を朽木隊長が見れば、苦言のひとつふたつ出てくるだろうが、残念ながらここは副隊長詰所だ。そう滅多に来るところではない。
だからこそ、彼女はダラダラと時間を潰しているのだろうけど。
「マユリさんが浦原さんに渡しておいて欲しいものがあるんだって。だからあと一時間は待っておかなきゃいけないのよ」
「…涅隊長が、浦原さんに…?」
もうその二人の組み合わせだけでも既にヤバい匂いがする。
絶対ロクなものではない。俺はそんな予感がした。
「それなら浦原も連れてくればよかったのではないのか?」
「うーん…確かにそっちの方が報告は楽かもしれないけど」
小さく首を傾げながら問うルキアに対して、歯切れの悪い返事をする名無し。
彼女がこんな風に言い淀むなんて珍しいことだった。
「あの人に会いたいって死神はごまんといるんだぞ?初代技術開発局局長、っていったら有名人だしな」
「だから嫌なの。」
まぁ俺もその一人だったわけだが。
もちろん『初代技術開発局局長』だけが当時の会いたかった理由ではない。
子供みたいにムッと口先を尖らせて眉を寄せる名無し。彼女にしては珍しい表情だ。
不満そうな、不服そうな、ちょっとだけ拗ねたような顔。
「なんだ、お前。ヤキモチ妬いてんのか?」
「…何よ、悪い?」
不機嫌ながらも恥ずかしそうに返事をする彼女。
あぁ、コイツもこんな風にヤキモチ妬いたりするんだな。ちょっとだけ何だか安心した。
「不粋だぞ、恋次。」
「いや、その…意外でな。悪ィ。」
「謝る程のことじゃないけど…」
「いや、阿散井くんに当たるのは良くないよね、分かってるよ、ごめんね」と溜息を吐きながら名無しがテーブルにうつ伏せる。
どちらかと言うと浦原さんの方がゾッコンなイメージだったが、意外とこいつも負けず劣らずというか。
…あまり進展していない俺とルキアから見たら少し羨ましい。ほんの少しだが。
「…浦原さん、なまじ顔がいいからタチ悪い…」
あぁ、ミーハーな女性死神が騒いでいたりしたな。そういえば。
さぞかし隊長時代だった頃はモテたのだろう。
かく言う、目の前で頭を抱えている名無しも男性死神の間で話題に上がっているのは…黙っておこう。
その男性死神の命が危ない。浦原さん程、敵に回したらヤバい人もそういない。
俺の心の内にそっとしまっておこう。
「二人とも。さっきの絶対に浦原さんに内緒ね」
「何故だ?」
「嫉妬してるなんて、子供っぽいでしょ。恥ずかしいじゃない」
呆れられるの、嫌だもの。
(浦原さんなら、知ったら多分呆れるどころか喜ぶと思うけどな)
恐らくルキアもそう思ったのだろう。
可愛い幼馴染と目が合えば、お互いつい苦笑いが零れてしまった。
あとコイツの生きてきた年数考えたら十分子供っぽくても問題ないのだが、彼女なりに精一杯背伸びしているのだろう。
(ここは人生の先輩としてあたたかく見守っといてやるか)