店主と彼女の事情シリーズ
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「名無し、腹周りも頼むぞ」
「はぁい」
ブラッシングはこの妹分が一番上手い。
何より余計な手出しもせず、丁寧な仕事がいい。
砕蜂は隙あらば写真を撮ろうとするから、オチオチ猫の姿でブラッシングは頼めないのが難点だ。
ゴロゴロと名無しの膝の上を陣取って仰向けになれば、にこにこと嫌な顔ひとつせずに名無しが丁寧に梳いた。
聞けば、斬魄刀の本体である狼にもブラッシングをしているのだとか。
道理で上手いはずだ。世話好きな主人で羨ましい限りだ、全く。
「ちょっと夜一サン、そこの膝はボクの特等席っスよぉ」
「たまには譲れ、喜助。おぬしはいつも名無しを独り占めしよって。」
畳に寝転んで恨みがましそうにこちらを見遣るのは、幼馴染兼友人の男。
名無しにかなり絆されたのか、以前の胡散臭さは幾分か薄れ、角が丸くなってきた。
もちろん人当たりは元々悪くはないのだが、まぁ雰囲気の話だ。
甘え上手になってきた、と言えばいいのか。名無し限定だろうが。
なんでもひとりで成し遂げてしまうこの男が、時々少し不安だった。
あたたかな止まり木を見つけるとこが出来たことが、幼馴染として、友人として心より喜ばしいことだ。
まぁ、確かにその理由は分からなくもない。
名無しの隣は酷く落ち着く。
あの気難しい涅が気に入っているのも納得できる。
「浦原さんはブラッシングの必要ないでしょう?」
「えぇ〜ボクだって撫でてもらったりして欲しいっス。ズルいっスよ、夜一サン。猫は仮の姿でしょう?」
「そうケチケチするな、喜助」
腹を仰向けにすれば絶妙な力加減で櫛が毛を撫でていく。
どんな按摩よりもこれは気持ちがいい。
これ程までに猫になれて良かった、と思うこともないだろう。
「ところで名無しよ。」
「はい?どうされました、夜一さん」
「おぬしいつまで喜助を『浦原』呼びを続けるつもりじゃ?」
「へ、」
目を丸くした名無しの頬が、かぁぁっと赤くなる。
そんなに恥ずかしがることはないだろうに。
「そうっスよぉ、名無しサンだって『浦原』じゃないっスか。」
「そ、それとこれとは話が別ですよ」
「まぁまぁ。ほれ、たまには下の名前で呼んでやったらどうじゃ?」
猫の姿で笑えているかは分からないが、口元を上げて見上げれば、ぐっと言葉に詰まる名無しの顔がのぞき込める。
思案するように視線を一巡させた後、ぽそりと小さな声で呟いた。
「…………き……喜助、さん。」
まぁその時の喜助の顔と言ったら。
感極まったのか気持ち悪いくらいに頬を染め、女子のように両手で顔を覆ったではないか。
永らくヤツのことは見てきたが、まさかそんな顔をする時がくるとは。
面白い半分、嬉しい半分、情けない半分。…ん?足りぬな。まぁいいか。
「夜一サン、すぐに名無しサンをむぎゅむぎゅスリスリちゅっちゅしたいんで、そこ退けてください。」
「夜一さん、絶対に離れないでください。今までにない程の身の危険を感じてます。」
目が本気の喜助と、怯えた表情なのに顔を真っ赤にさせている名無しの視線が一気に突き刺さる。
さて、どうしてやろうか。
「そうじゃの、マタタビを持ってきてくれた方の要望を聞こうではないか」
こんな風にたまには親友に花を持たせてやるのも、悪くはないか。
店主と少女の事情#四楓院夜一の場合
「すぐにご用意するっス!」
「ちょ、浦原さん!私、今動けないんですよ!?ズルいです!」
「名無し、諦めたらどうじゃ。
たまには昼からむぎゅむぎゅスリスリズッコンバッコンすればよかろう。」
「どこからズッコンバッコン来たんですか!やめてください!」
「はぁい」
ブラッシングはこの妹分が一番上手い。
何より余計な手出しもせず、丁寧な仕事がいい。
砕蜂は隙あらば写真を撮ろうとするから、オチオチ猫の姿でブラッシングは頼めないのが難点だ。
ゴロゴロと名無しの膝の上を陣取って仰向けになれば、にこにこと嫌な顔ひとつせずに名無しが丁寧に梳いた。
聞けば、斬魄刀の本体である狼にもブラッシングをしているのだとか。
道理で上手いはずだ。世話好きな主人で羨ましい限りだ、全く。
「ちょっと夜一サン、そこの膝はボクの特等席っスよぉ」
「たまには譲れ、喜助。おぬしはいつも名無しを独り占めしよって。」
畳に寝転んで恨みがましそうにこちらを見遣るのは、幼馴染兼友人の男。
名無しにかなり絆されたのか、以前の胡散臭さは幾分か薄れ、角が丸くなってきた。
もちろん人当たりは元々悪くはないのだが、まぁ雰囲気の話だ。
甘え上手になってきた、と言えばいいのか。名無し限定だろうが。
なんでもひとりで成し遂げてしまうこの男が、時々少し不安だった。
あたたかな止まり木を見つけるとこが出来たことが、幼馴染として、友人として心より喜ばしいことだ。
まぁ、確かにその理由は分からなくもない。
名無しの隣は酷く落ち着く。
あの気難しい涅が気に入っているのも納得できる。
「浦原さんはブラッシングの必要ないでしょう?」
「えぇ〜ボクだって撫でてもらったりして欲しいっス。ズルいっスよ、夜一サン。猫は仮の姿でしょう?」
「そうケチケチするな、喜助」
腹を仰向けにすれば絶妙な力加減で櫛が毛を撫でていく。
どんな按摩よりもこれは気持ちがいい。
これ程までに猫になれて良かった、と思うこともないだろう。
「ところで名無しよ。」
「はい?どうされました、夜一さん」
「おぬしいつまで喜助を『浦原』呼びを続けるつもりじゃ?」
「へ、」
目を丸くした名無しの頬が、かぁぁっと赤くなる。
そんなに恥ずかしがることはないだろうに。
「そうっスよぉ、名無しサンだって『浦原』じゃないっスか。」
「そ、それとこれとは話が別ですよ」
「まぁまぁ。ほれ、たまには下の名前で呼んでやったらどうじゃ?」
猫の姿で笑えているかは分からないが、口元を上げて見上げれば、ぐっと言葉に詰まる名無しの顔がのぞき込める。
思案するように視線を一巡させた後、ぽそりと小さな声で呟いた。
「…………き……喜助、さん。」
まぁその時の喜助の顔と言ったら。
感極まったのか気持ち悪いくらいに頬を染め、女子のように両手で顔を覆ったではないか。
永らくヤツのことは見てきたが、まさかそんな顔をする時がくるとは。
面白い半分、嬉しい半分、情けない半分。…ん?足りぬな。まぁいいか。
「夜一サン、すぐに名無しサンをむぎゅむぎゅスリスリちゅっちゅしたいんで、そこ退けてください。」
「夜一さん、絶対に離れないでください。今までにない程の身の危険を感じてます。」
目が本気の喜助と、怯えた表情なのに顔を真っ赤にさせている名無しの視線が一気に突き刺さる。
さて、どうしてやろうか。
「そうじゃの、マタタビを持ってきてくれた方の要望を聞こうではないか」
こんな風にたまには親友に花を持たせてやるのも、悪くはないか。
店主と少女の事情#四楓院夜一の場合
「すぐにご用意するっス!」
「ちょ、浦原さん!私、今動けないんですよ!?ズルいです!」
「名無し、諦めたらどうじゃ。
たまには昼からむぎゅむぎゅスリスリズッコンバッコンすればよかろう。」
「どこからズッコンバッコン来たんですか!やめてください!」