店主と彼女の事情シリーズ
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「こんにちは、マユリさん。商品を仕入れに来ました!」
「よく来たネ。例の物は持ってきたかネ?」
「はい!私特製のカレーライスです!」
寸胴鍋を両手に抱えて、かつての十二番隊隊舎の住人が自慢げに笑った。
店主と少女の事情・涅マユリの場合
「今日の隠し味を当ててみてください」
商品の仕入れに、浦原喜助の代わりに時々顔を出すようになった名無し。
手土産と言わんばかりに毎度食事を差し入れてくる。有難い話だネ。
なにせ、100年以上前に味わった彼女の手料理で、舌がこの味に慣れてしまってからは尸魂界の料理はどこか味気なく感じていた。
「今日も脳にキくね、このカレーという料理は」
「すっかりお気に入りですね。辛いのが苦手な人は卵の黄身を落として、ハチミツを少し混ぜると食べやすくなりますよ〜」
十二番隊の広間で、隊士が集まって食事をする光景は名無しが来た時くらいしか見れない。
ワタシはひとりでゆっくり食事を取りたいと言っているのだが、名無しが「皆さんで召し上がって下さいね」と言うならば仕方ない。
「コーヒー、チョコレート、トマトジュース、醤油だネ」
「凄いですね!全問正解ですよ、流石ですねマユリさん!」
「流石ですね、マユリさま!」
子供用の食器でカレーを食べていた眠八號も名無しの真似をする。
…今米粒が飛んだネ。後で叱っておこう。
「いやぁ、マユリさんは隠し味全部正解するから、作りがいがありますね」
「浦原喜助はどうせ美味い美味いと食べるだけだろうネ」
「間違いじゃないですけど…好き嫌いがないので、それはそれで作りがいがありますよ」
ジン太くんと雨ちゃんが意外と好き嫌いあるんですよね、困ったもんです。とニコニコしながら話をする名無し。
現世に不満があるなら、また十二番隊隊舎で暮らせばいいのにネ。今は正式な隊員なのだから。
「ここに暮らせば一発で悩み解消だヨ」
「それはダメっスよぉ、涅サン」
「あ、喜助さん」
音もなくやってきたのは、憎き天才であり、先代の局長である男。
馴れ馴れしく名無しに抱きつくようになったのを見れば、少しは関係に進展があったらしい。少しだけ、面白くない。
「帰るのが遅いっスよ、名無しサン。ウチの門限は17時ですよぉ」
「いつからそんなの決まったんですか」
「今決めました」
「束縛の強い男は嫌われるヨ。
名無し、ここに住めば三食昼寝付きだヨ。悪い話じゃないだろう?」
「ダメですよ、ウチの看板娘取らないでください、涅サン。それに、三食昼寝付きと薬物投与実験は一日に5回、とかオプションがついちゃうんでしょ?」
「するならとっくにしてるネ」
束縛と、少しだけ醜い嫉妬。
ワタシが昔馴染みだからなのか。
飄々とした目の前の男は、表面上穏やかなものだが、ワタシに対しては意外と嫉妬むき出しで絡んでくる。
名無しが無警戒なのも気に食わないのだろう。
そっちは現世で一緒に暮らしているんだから、それくらい寛容になってもいいと思うんだけどネ。
帰りが遅いと、すぐ迎えに来る。この男は。
四十七室権限で、浦原喜助をもう一度尸魂界永久追放してくれないかと願う日々だ。
「喜助さん、人前でくっつくのはやめてください。マユリさん、すみません。そろそろお暇しますね」
「次は筑前煮が食べたいネ」
「分かりました、またお持ちしますね」
元気よく手を振りながら現世へ帰る名無しと、ヘラヘラ笑いながら帰る浦原喜助。
…羨ましい、など微塵も思ってないヨ。
「…そうだ。眠八號。次名無しに会ったら浦原喜助の前で『お母さん』と呼んでみるといいヨ」
「はい!マユリさま!」
浦原喜助の不満そうな顔が目に浮かぶようだネ。
あぁ、次に彼女が来るのが待ち遠しい。
「よく来たネ。例の物は持ってきたかネ?」
「はい!私特製のカレーライスです!」
寸胴鍋を両手に抱えて、かつての十二番隊隊舎の住人が自慢げに笑った。
店主と少女の事情・涅マユリの場合
「今日の隠し味を当ててみてください」
商品の仕入れに、浦原喜助の代わりに時々顔を出すようになった名無し。
手土産と言わんばかりに毎度食事を差し入れてくる。有難い話だネ。
なにせ、100年以上前に味わった彼女の手料理で、舌がこの味に慣れてしまってからは尸魂界の料理はどこか味気なく感じていた。
「今日も脳にキくね、このカレーという料理は」
「すっかりお気に入りですね。辛いのが苦手な人は卵の黄身を落として、ハチミツを少し混ぜると食べやすくなりますよ〜」
十二番隊の広間で、隊士が集まって食事をする光景は名無しが来た時くらいしか見れない。
ワタシはひとりでゆっくり食事を取りたいと言っているのだが、名無しが「皆さんで召し上がって下さいね」と言うならば仕方ない。
「コーヒー、チョコレート、トマトジュース、醤油だネ」
「凄いですね!全問正解ですよ、流石ですねマユリさん!」
「流石ですね、マユリさま!」
子供用の食器でカレーを食べていた眠八號も名無しの真似をする。
…今米粒が飛んだネ。後で叱っておこう。
「いやぁ、マユリさんは隠し味全部正解するから、作りがいがありますね」
「浦原喜助はどうせ美味い美味いと食べるだけだろうネ」
「間違いじゃないですけど…好き嫌いがないので、それはそれで作りがいがありますよ」
ジン太くんと雨ちゃんが意外と好き嫌いあるんですよね、困ったもんです。とニコニコしながら話をする名無し。
現世に不満があるなら、また十二番隊隊舎で暮らせばいいのにネ。今は正式な隊員なのだから。
「ここに暮らせば一発で悩み解消だヨ」
「それはダメっスよぉ、涅サン」
「あ、喜助さん」
音もなくやってきたのは、憎き天才であり、先代の局長である男。
馴れ馴れしく名無しに抱きつくようになったのを見れば、少しは関係に進展があったらしい。少しだけ、面白くない。
「帰るのが遅いっスよ、名無しサン。ウチの門限は17時ですよぉ」
「いつからそんなの決まったんですか」
「今決めました」
「束縛の強い男は嫌われるヨ。
名無し、ここに住めば三食昼寝付きだヨ。悪い話じゃないだろう?」
「ダメですよ、ウチの看板娘取らないでください、涅サン。それに、三食昼寝付きと薬物投与実験は一日に5回、とかオプションがついちゃうんでしょ?」
「するならとっくにしてるネ」
束縛と、少しだけ醜い嫉妬。
ワタシが昔馴染みだからなのか。
飄々とした目の前の男は、表面上穏やかなものだが、ワタシに対しては意外と嫉妬むき出しで絡んでくる。
名無しが無警戒なのも気に食わないのだろう。
そっちは現世で一緒に暮らしているんだから、それくらい寛容になってもいいと思うんだけどネ。
帰りが遅いと、すぐ迎えに来る。この男は。
四十七室権限で、浦原喜助をもう一度尸魂界永久追放してくれないかと願う日々だ。
「喜助さん、人前でくっつくのはやめてください。マユリさん、すみません。そろそろお暇しますね」
「次は筑前煮が食べたいネ」
「分かりました、またお持ちしますね」
元気よく手を振りながら現世へ帰る名無しと、ヘラヘラ笑いながら帰る浦原喜助。
…羨ましい、など微塵も思ってないヨ。
「…そうだ。眠八號。次名無しに会ったら浦原喜助の前で『お母さん』と呼んでみるといいヨ」
「はい!マユリさま!」
浦原喜助の不満そうな顔が目に浮かぶようだネ。
あぁ、次に彼女が来るのが待ち遠しい。
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