NOAH's Tea party
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「ロード。」
「ん?」
「勝手に呼び込むな。あの娘に何かあったらお前らの処遇も変わってくるだろうが。」
お客様が帰った途端にこれだ。
クロスの小言は正直聞き飽きた。
「いいじゃん。女子会くらいさせろよ。あ、とばっちりでアレンも叱られちゃうかもしれないから、その心配?」
「あの馬鹿弟子はどうでもいい。上からの文句が面倒なだけだ」
そんなこと言って。
本当にこの男は素直じゃない。
「仕方ないじゃん。墓守なんて、退屈なんだもーん。ティッキー代わってよぉ」
「あのなぁ…俺はただの人間になったんだぞ?無理無理。まぁ茶菓子くらいなら薄給をやり繰りしてなんとか差し入れしてやるからよ。」
ノアの記憶 がなくなったティッキーは、厳密に言うと家族ではなくなった。
それでもボクの様子を気にしてくれるあたり、ホントお人好しだ。
「お前らの手綱を握る側にもなってみろ。俺が一番損する立場じゃねぇか。」
本日何本目かの煙草に火をつけ、苦々しくクロスが 溜息を吐き捨てた。
NOAH's Tea party#06
雑にゲートから放り出された神田さんと私は、神田さんの軽やかな着地で傷どころか舌を噛みそうになるような衝撃すらなかった。
ノアの方舟へ放り入れられた時、肩から落ちて側頭部を打ち、たんこぶを作ったことは恥ずかしくて口が裂けても言えない。
「神田さん、」
遠慮がちに声を掛ければ、吹き抜けるような蒼の双眸が向けられる。
じっと見下ろしてくる視線が少し居心地悪く、謝罪の言葉を絞り出した喉が、息苦しく感じた。
「あの、ご心配お掛けして申し訳ございませんでした。」
頭を深々と下げれば、小さく溜息を落とされてしまった。
両頬を両手で包み込まれ、俯いていた顔を上向きに直される。
「……本当に何もされていないんだな?」
『嘘は許さない』と言わんばかりの視線。これは一種の尋問ではないだろうか。
ロードと名乗った少女から向けられた、ちょっとやそっとの嫌味はカウントに入れるまでもないだろう。
「はい。住んでいた世界の話を聞かせて欲しいと言われたくらいで…。ほら、ちゃんと『眼 』も無傷ですし、五体満足ですよ。」
険しい顔を崩さない神田さんに少しでも安心して貰いたくて、目を見せ、腕をぐるりと回す。
そんな誤魔化しは通用したのかしていないのか、呆れたように溜息を吐き出した神田さんの肺活量たるや。
長い。そして重い。
「……肝が冷えた。」
「本当に申し訳ございませんでした…」
「一番タチが悪いノアだったから、尚更だ。」と彼は毒づき、利き手を私の頬へスっと伸ばした。
「つーか、なに気に入られてんだよ。」
「い、いひゃいでふ…」
理不尽だ。気に入られる気に入られないは私の裁量でどうにかなるものではないはず。
摘まれた頬肉がむいっと伸ばさられれば、自ずと鈍痛がはしる。
「普通に、あちらの世界の生活についてお話しただけですよ。気に入られたなんて、気のせいでしょう」
解放された頬でぎこちなく笑えば、神田さんの重い溜息が肺の底から絞り出される。
しまい込まれるように抱きしめられ、私の頭頂部に頬を寄せられた。
「俺から、離れるな。」
発せられた声音は、切実で、縋るようで。
私は彼の身体に頬を寄せ、腕の中で小さく頷いた。
「大丈夫です。ずっと一緒ですよ。」
「ん?」
「勝手に呼び込むな。あの娘に何かあったらお前らの処遇も変わってくるだろうが。」
お客様が帰った途端にこれだ。
クロスの小言は正直聞き飽きた。
「いいじゃん。女子会くらいさせろよ。あ、とばっちりでアレンも叱られちゃうかもしれないから、その心配?」
「あの馬鹿弟子はどうでもいい。上からの文句が面倒なだけだ」
そんなこと言って。
本当にこの男は素直じゃない。
「仕方ないじゃん。墓守なんて、退屈なんだもーん。ティッキー代わってよぉ」
「あのなぁ…俺はただの人間になったんだぞ?無理無理。まぁ茶菓子くらいなら薄給をやり繰りしてなんとか差し入れしてやるからよ。」
ノアの
それでもボクの様子を気にしてくれるあたり、ホントお人好しだ。
「お前らの手綱を握る側にもなってみろ。俺が一番損する立場じゃねぇか。」
本日何本目かの煙草に火をつけ、苦々しくクロスが 溜息を吐き捨てた。
NOAH's Tea party#06
雑にゲートから放り出された神田さんと私は、神田さんの軽やかな着地で傷どころか舌を噛みそうになるような衝撃すらなかった。
ノアの方舟へ放り入れられた時、肩から落ちて側頭部を打ち、たんこぶを作ったことは恥ずかしくて口が裂けても言えない。
「神田さん、」
遠慮がちに声を掛ければ、吹き抜けるような蒼の双眸が向けられる。
じっと見下ろしてくる視線が少し居心地悪く、謝罪の言葉を絞り出した喉が、息苦しく感じた。
「あの、ご心配お掛けして申し訳ございませんでした。」
頭を深々と下げれば、小さく溜息を落とされてしまった。
両頬を両手で包み込まれ、俯いていた顔を上向きに直される。
「……本当に何もされていないんだな?」
『嘘は許さない』と言わんばかりの視線。これは一種の尋問ではないだろうか。
ロードと名乗った少女から向けられた、ちょっとやそっとの嫌味はカウントに入れるまでもないだろう。
「はい。住んでいた世界の話を聞かせて欲しいと言われたくらいで…。ほら、ちゃんと『
険しい顔を崩さない神田さんに少しでも安心して貰いたくて、目を見せ、腕をぐるりと回す。
そんな誤魔化しは通用したのかしていないのか、呆れたように溜息を吐き出した神田さんの肺活量たるや。
長い。そして重い。
「……肝が冷えた。」
「本当に申し訳ございませんでした…」
「一番タチが悪いノアだったから、尚更だ。」と彼は毒づき、利き手を私の頬へスっと伸ばした。
「つーか、なに気に入られてんだよ。」
「い、いひゃいでふ…」
理不尽だ。気に入られる気に入られないは私の裁量でどうにかなるものではないはず。
摘まれた頬肉がむいっと伸ばさられれば、自ずと鈍痛がはしる。
「普通に、あちらの世界の生活についてお話しただけですよ。気に入られたなんて、気のせいでしょう」
解放された頬でぎこちなく笑えば、神田さんの重い溜息が肺の底から絞り出される。
しまい込まれるように抱きしめられ、私の頭頂部に頬を寄せられた。
「俺から、離れるな。」
発せられた声音は、切実で、縋るようで。
私は彼の身体に頬を寄せ、腕の中で小さく頷いた。
「大丈夫です。ずっと一緒ですよ。」