恋愛ビギナー
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「悪化してません?」
アレンがハンバーガーを頬張りながら首を傾げる。
「何がさ?」
「神田と名無しですよ。」
「あー。」
隣で食後のコーヒーを傾けていたラビが小さく唸る。
「異性として見られてることに気がついてなかったからでしょ?」
「…………アレでさ?」
「好意に対しては鈍いもの。あの子。」
デザートの杏仁豆腐をつつきながらリナリーが答える。
余談だがこの三人、同時に食事とりはじめたのだが……。
アレンの周りには未だてんこ盛りの主食・主菜・副菜が盛られていた。まだ食べるらしい。
「自己評価が低すぎるのも考えものさね」
「全くだわ。」
努力家といえば聞こえばいいが、どう頑張っても自分を褒めてあげられない性格だ。
噛み砕いて説明するなら、きっと自分の事が好きではない。そういうことだ。
「神田は昔『人との関わりなんかいらねぇ』って感じだったけど、名無しの場合はこう、一定の線引きをしてそれ以上踏み込ませない感じがするよねぇ」
「昔のアレン君そっくりね。」
「昔のアレンまんまさね。」
「え。」
大分敬語が抜け、言葉が砕けてきたとは言え、ある程度の線引きを未だにするのは彼も同じである。
名無しがどことなく神田と似ているというならば。
神田とアレンも似た者同士なので、必然的なこの三人は『似ている』ということになる。
ラタトゥイユをスプーンで掬いながら、アレンが今までの自分を顧みれば「………確かに、似てなくは、ないですけど」と気まずそうに答えた。
「なるほどな。どっかで既視感あるなとは思ったらアレンそっくりなんさー」
「なんか納得しちゃった」
うんうんと頷く年上二人に対し、アレンはぐうの音も出なかった。
それで今まで散々迷惑をかけてしまった経緯もある。
否定しようにも否定出来ず、ただ気まずそうにバターロールを頬張った。
「しかしあれじゃあ子犬にじゃれつこうとしているオオカミさー」
「…神田が今までと何も変わってないのが面白いですけどね。」
一見、彼の行動は何も変わっていない。
元々過保護気味で、なんだかんだできちんと『師匠』をしているのだ。
そこに元々親愛の情と、彼には似つかわしくない程に柔らかな愛情があっただけで。
まさに気づいていなかったのは本人のみ、ということだ。
しかし今や、気づいて、意識して、慌てふためいて。
神田の一挙一動に翻弄され、顔を赤らめる名無しは……
一言で言えば『初々しい』。悪くいえば『恋愛偏差値0』なのだ。
「いいんじゃない?だって元々、神田ったら我慢できる性格じゃないんだし。」
グイグイ行った方が丁度いいくらいだわ。
優雅にジャスミンティーを飲みながらリナリーが答える。
「えぇー…いいんさ?リナリー。可愛い妹分が脳筋むっつりスケベに『いただきます、ごちそうさま』されちゃうんだぞ?」
「だって名無しも神田のこと好きでしょ?」
しれっと。
息を吐くように爆弾発言を落とす中国美人に、これにはラビとアレンも面食らった。
「…それは知らなかったなぁ」
「女の勘ってヤツさ?」
「見ればわかるじゃない。」
『まぁ、でも本人的には認めたくないんでしょうけど』と内心そっと息を吐く。
自制心よりも酷い、自分へのブレーキ。
それは『公私混同だから』という理由をつけるには歪で、自分を諦めさせるための言い訳のようで。
それでもリナリーは知っている。
(だって、一番嬉しそうに笑うの、神田の前だもの)
悔しいが、事実だ。
綻ぶように笑う彼女の、一番の笑顔は――幼なじみの前だけで見せるのだから。
今まで彼女の中で恋慕を親愛に上手く置き換えていたようだが……さて、あの強引男がいつまで許すのやら。
「神田も名無しも大事な家族だもの。」
何もいらないと突っぱねていた青年が、初めて欲しがっている女の子なのだ。
幸せを願わずにはいられない。
両片思いであるなら、尚更。
恋愛ビギナー#02
「まぁそれでも泣かすようなことがあったら容赦しないけど。」
「リナリー…笑顔が怖いよ…」
アレンがハンバーガーを頬張りながら首を傾げる。
「何がさ?」
「神田と名無しですよ。」
「あー。」
隣で食後のコーヒーを傾けていたラビが小さく唸る。
「異性として見られてることに気がついてなかったからでしょ?」
「…………アレでさ?」
「好意に対しては鈍いもの。あの子。」
デザートの杏仁豆腐をつつきながらリナリーが答える。
余談だがこの三人、同時に食事とりはじめたのだが……。
アレンの周りには未だてんこ盛りの主食・主菜・副菜が盛られていた。まだ食べるらしい。
「自己評価が低すぎるのも考えものさね」
「全くだわ。」
努力家といえば聞こえばいいが、どう頑張っても自分を褒めてあげられない性格だ。
噛み砕いて説明するなら、きっと自分の事が好きではない。そういうことだ。
「神田は昔『人との関わりなんかいらねぇ』って感じだったけど、名無しの場合はこう、一定の線引きをしてそれ以上踏み込ませない感じがするよねぇ」
「昔のアレン君そっくりね。」
「昔のアレンまんまさね。」
「え。」
大分敬語が抜け、言葉が砕けてきたとは言え、ある程度の線引きを未だにするのは彼も同じである。
名無しがどことなく神田と似ているというならば。
神田とアレンも似た者同士なので、必然的なこの三人は『似ている』ということになる。
ラタトゥイユをスプーンで掬いながら、アレンが今までの自分を顧みれば「………確かに、似てなくは、ないですけど」と気まずそうに答えた。
「なるほどな。どっかで既視感あるなとは思ったらアレンそっくりなんさー」
「なんか納得しちゃった」
うんうんと頷く年上二人に対し、アレンはぐうの音も出なかった。
それで今まで散々迷惑をかけてしまった経緯もある。
否定しようにも否定出来ず、ただ気まずそうにバターロールを頬張った。
「しかしあれじゃあ子犬にじゃれつこうとしているオオカミさー」
「…神田が今までと何も変わってないのが面白いですけどね。」
一見、彼の行動は何も変わっていない。
元々過保護気味で、なんだかんだできちんと『師匠』をしているのだ。
そこに元々親愛の情と、彼には似つかわしくない程に柔らかな愛情があっただけで。
まさに気づいていなかったのは本人のみ、ということだ。
しかし今や、気づいて、意識して、慌てふためいて。
神田の一挙一動に翻弄され、顔を赤らめる名無しは……
一言で言えば『初々しい』。悪くいえば『恋愛偏差値0』なのだ。
「いいんじゃない?だって元々、神田ったら我慢できる性格じゃないんだし。」
グイグイ行った方が丁度いいくらいだわ。
優雅にジャスミンティーを飲みながらリナリーが答える。
「えぇー…いいんさ?リナリー。可愛い妹分が脳筋むっつりスケベに『いただきます、ごちそうさま』されちゃうんだぞ?」
「だって名無しも神田のこと好きでしょ?」
しれっと。
息を吐くように爆弾発言を落とす中国美人に、これにはラビとアレンも面食らった。
「…それは知らなかったなぁ」
「女の勘ってヤツさ?」
「見ればわかるじゃない。」
『まぁ、でも本人的には認めたくないんでしょうけど』と内心そっと息を吐く。
自制心よりも酷い、自分へのブレーキ。
それは『公私混同だから』という理由をつけるには歪で、自分を諦めさせるための言い訳のようで。
それでもリナリーは知っている。
(だって、一番嬉しそうに笑うの、神田の前だもの)
悔しいが、事実だ。
綻ぶように笑う彼女の、一番の笑顔は――幼なじみの前だけで見せるのだから。
今まで彼女の中で恋慕を親愛に上手く置き換えていたようだが……さて、あの強引男がいつまで許すのやら。
「神田も名無しも大事な家族だもの。」
何もいらないと突っぱねていた青年が、初めて欲しがっている女の子なのだ。
幸せを願わずにはいられない。
両片思いであるなら、尚更。
恋愛ビギナー#02
「まぁそれでも泣かすようなことがあったら容赦しないけど。」
「リナリー…笑顔が怖いよ…」