新月メランコリー
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「神田さん!完治しました!」
医務室から小走りに駆けてくる名無し。
包帯はすっかり取れ、くるりと丸まった瞳を嬉しそうに細めている。
「後遺症は?」
「何もなさそうです。ヘブラスカさんにも見てもらったので、多分大丈夫です。」
にこにこと機嫌よく笑う名無しが、久しぶりに隣を歩く。
ふわりと香ってくる匂いは、残念ながらリナリーが使っているシャンプーの匂いだが。
『名無しの胸周り、意外と着痩せするタイプだったって、神田知ってた?』
勝ち誇った顔で報告してきた幼馴染は、それはもう悪い顔をしていた。
……警戒しなければいけない人物が増えてしまったことは、正直頭が痛い。
「神田さん?」
「あ?」
「難しい顔してますけど、どうされました?」
「何でもねぇよ。」
心配そうにこちらを見上げてくる弟子の頭をひと撫ですれば、擽ったそうに破顔する。
「ふふっ」
「…何だ。」
「いえ。やっぱりこうやって神田さんが見えるのは、嬉しいなーって思って。」
ふにゃふにゃと無邪気に笑う名無しを見て、神田は息が詰まるような気持ちになった。
無意識に言っているのだろう。
本人に他意はないのだから、本当にタチが悪い。
師匠らしく。師匠らしく。
小さく溜息をついて、形のいい頭をもう一度くしゃりと撫で回した。
「あまり心配かけさせるなよ」
「はい!」
新月メランコリー#07
また負傷して困るようなことがあれば、なるべく面倒を自分が見よう。
そう心にそっと決めた神田なのであった。
医務室から小走りに駆けてくる名無し。
包帯はすっかり取れ、くるりと丸まった瞳を嬉しそうに細めている。
「後遺症は?」
「何もなさそうです。ヘブラスカさんにも見てもらったので、多分大丈夫です。」
にこにこと機嫌よく笑う名無しが、久しぶりに隣を歩く。
ふわりと香ってくる匂いは、残念ながらリナリーが使っているシャンプーの匂いだが。
『名無しの胸周り、意外と着痩せするタイプだったって、神田知ってた?』
勝ち誇った顔で報告してきた幼馴染は、それはもう悪い顔をしていた。
……警戒しなければいけない人物が増えてしまったことは、正直頭が痛い。
「神田さん?」
「あ?」
「難しい顔してますけど、どうされました?」
「何でもねぇよ。」
心配そうにこちらを見上げてくる弟子の頭をひと撫ですれば、擽ったそうに破顔する。
「ふふっ」
「…何だ。」
「いえ。やっぱりこうやって神田さんが見えるのは、嬉しいなーって思って。」
ふにゃふにゃと無邪気に笑う名無しを見て、神田は息が詰まるような気持ちになった。
無意識に言っているのだろう。
本人に他意はないのだから、本当にタチが悪い。
師匠らしく。師匠らしく。
小さく溜息をついて、形のいい頭をもう一度くしゃりと撫で回した。
「あまり心配かけさせるなよ」
「はい!」
新月メランコリー#07
また負傷して困るようなことがあれば、なるべく面倒を自分が見よう。
そう心にそっと決めた神田なのであった。