新月メランコリー
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「お風呂困るでしょ?一緒に入りましょう、名無し。」
夜。
お風呂の道具を抱えたリナリーがやってきた。
ベッドの上でゴロゴロしていた名無しと、その傍で六幻の手入れをしていた神田。
夕飯後の、このゆるりとした時間を実は楽しみにしている神田としては『邪魔者が入った』といったところか。
「あっ、うん。確かに…。いってきますね、神田さん」
「……あぁ。」
手探りで風呂の用意をしようとする名無し。
それをやんわりと制し、「大丈夫よ、私のを貸してあげるから」とリナリーが笑う。
一見すれば親切心100%のように見えるだろう。
だが神田は見てしまった。
リナリーがふふんと勝ち誇り、
(羨ましいでしょ、神田)
なんて口パクでこちらに向かって喋っているのを。
「〜〜〜ッリナ!」
「それじゃあお先に、神田」
何が何を『お先に』だ。
思わず昔馴染みの呼び方で声を上げてしまう神田。
男ばかりが敵だと思っていたが、そうではなかったらしい。
善意(と下心)で手を差し伸べる幼馴染がいるということを、失念してしまっていた。
新月メランコリー#06
「あの、リナリー。洗うのは一人で出来るよ?」
「いいじゃない。たまには頼ってくれても」
くしゃくしゃと洗われる髪は、確かに心地がいい。
丁寧に地肌から泡立ててくれるモコモコのシャンプーは、溢れた泡からぽとりぽとりと落ちていった。
「じゃあ、その…迷惑じゃなければ」
「迷惑だなんて。いつもいつも神田に独占されてるんだから、たまには意趣返しをしないとね」
「意趣返し?」
「こっちの話よ。」
見えない視界の向こうで、リナリーがクスクスと笑う声が聞こえる。
いつもと違うシャンプーの匂いは少しだけ甘く、何だか不思議な感覚だった。
「…お姉ちゃんがいたらこんな感じなのかな」
「あら?私は名無しのこと、可愛い妹だと思っていたのに」
シャワーの流水音の向こうで、優しいながらも弾んだ声が風呂場に響く。
なんだかシャワーと言葉がくすぐったくて、名無しは思わずふにゃりと破顔した。
目が見えなくなるのも、悪いことばかりではないらしい。
夜。
お風呂の道具を抱えたリナリーがやってきた。
ベッドの上でゴロゴロしていた名無しと、その傍で六幻の手入れをしていた神田。
夕飯後の、このゆるりとした時間を実は楽しみにしている神田としては『邪魔者が入った』といったところか。
「あっ、うん。確かに…。いってきますね、神田さん」
「……あぁ。」
手探りで風呂の用意をしようとする名無し。
それをやんわりと制し、「大丈夫よ、私のを貸してあげるから」とリナリーが笑う。
一見すれば親切心100%のように見えるだろう。
だが神田は見てしまった。
リナリーがふふんと勝ち誇り、
(羨ましいでしょ、神田)
なんて口パクでこちらに向かって喋っているのを。
「〜〜〜ッリナ!」
「それじゃあお先に、神田」
何が何を『お先に』だ。
思わず昔馴染みの呼び方で声を上げてしまう神田。
男ばかりが敵だと思っていたが、そうではなかったらしい。
善意(と下心)で手を差し伸べる幼馴染がいるということを、失念してしまっていた。
新月メランコリー#06
「あの、リナリー。洗うのは一人で出来るよ?」
「いいじゃない。たまには頼ってくれても」
くしゃくしゃと洗われる髪は、確かに心地がいい。
丁寧に地肌から泡立ててくれるモコモコのシャンプーは、溢れた泡からぽとりぽとりと落ちていった。
「じゃあ、その…迷惑じゃなければ」
「迷惑だなんて。いつもいつも神田に独占されてるんだから、たまには意趣返しをしないとね」
「意趣返し?」
「こっちの話よ。」
見えない視界の向こうで、リナリーがクスクスと笑う声が聞こえる。
いつもと違うシャンプーの匂いは少しだけ甘く、何だか不思議な感覚だった。
「…お姉ちゃんがいたらこんな感じなのかな」
「あら?私は名無しのこと、可愛い妹だと思っていたのに」
シャワーの流水音の向こうで、優しいながらも弾んだ声が風呂場に響く。
なんだかシャワーと言葉がくすぐったくて、名無しは思わずふにゃりと破顔した。
目が見えなくなるのも、悪いことばかりではないらしい。