short story
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12月。
年末も近づいてきた黒の教団は立地条件もさる事ながら中はかなり冷え切っていた。
面倒な元帥としての会合も終え、いつも通り教団へ帰った時のことだ。
相変わらず方舟のゲートは便利だな、とぼんやり思いながらくぐった瞬間。
教団のゲートが設置してある広間の端で、ちょこんと座り込んで待ちぼうけしている影がひとつ。
「神田さん!おかえりなさい!」
顔をくしゃりと破顔し、主人を見つけた犬宜しく駆け寄ってくる名無し。
風呂に入った後なのか、ゆるりとしたTシャツの上に暖かそうな羽織に袖を通していた。
「あぁ。…オイ、生乾きじゃねぇか。風邪引くぞ。」
短く返事をしながら、彼女の首に掛けられていたタオルを手に取り、生乾きの髪をくしゃりと拭きあげた。
ふわりと。
鼻腔を擽る、甘い柑橘の匂い。
それは香水よりももっと自然で、石鹸の匂いとは違う甘い香りだ。
「……何の匂いだ?」
「柚子湯ですよ!今日は冬至なので、コムイさんが『日本らしく柚子浮かべちゃおう!』って」
「あぁ、」
確かにコムイが好きそうなことだった。
大きな風呂に憧れて、室長権力で前の教団も今の教団も大浴場を作ってしまう位の男だ。
「ジェリーさんも、今日は冬至だから・って、南瓜と小豆の従兄弟煮作ってくださったんですよ。」
「南瓜の天麩羅は?」
「多分作ってくれると思いますよ!」
正直腹減った。
食事は食べたといえば食べたのだが、あんな場所で食べる上品な食事は食べた気がしない。
以前名無しに愚痴ったら『神田さん、テーブルマナーとか面倒臭ェって言っちゃいそうですもんねぇ』とクスクス笑っていた。
「…にしても、結構匂うな」
「柚子ですか?」
「あぁ。」
団服で隠れがちな名無しの白い首筋にスン、と鼻を近づける。
不愉快な匂い、というわけではないが、
「いつもの匂いの方がいい。」
耳元に口付けをひとつ落としてやれば、真っ赤な顔で耳を抑えて仰け反る名無し。
未だ初々しい反応に思わず口元が緩んでしまうのは、仕方がないだろう。
Citron or?
「顔が真っ赤だぞ。湯冷めか?」
「だ、誰のせいだと、思ってるんですか……」
珍しく口篭りながら反論する弟子兼恋人が可愛らしくて、ついつい今日もからかってしまうのであった。
年末も近づいてきた黒の教団は立地条件もさる事ながら中はかなり冷え切っていた。
面倒な元帥としての会合も終え、いつも通り教団へ帰った時のことだ。
相変わらず方舟のゲートは便利だな、とぼんやり思いながらくぐった瞬間。
教団のゲートが設置してある広間の端で、ちょこんと座り込んで待ちぼうけしている影がひとつ。
「神田さん!おかえりなさい!」
顔をくしゃりと破顔し、主人を見つけた犬宜しく駆け寄ってくる名無し。
風呂に入った後なのか、ゆるりとしたTシャツの上に暖かそうな羽織に袖を通していた。
「あぁ。…オイ、生乾きじゃねぇか。風邪引くぞ。」
短く返事をしながら、彼女の首に掛けられていたタオルを手に取り、生乾きの髪をくしゃりと拭きあげた。
ふわりと。
鼻腔を擽る、甘い柑橘の匂い。
それは香水よりももっと自然で、石鹸の匂いとは違う甘い香りだ。
「……何の匂いだ?」
「柚子湯ですよ!今日は冬至なので、コムイさんが『日本らしく柚子浮かべちゃおう!』って」
「あぁ、」
確かにコムイが好きそうなことだった。
大きな風呂に憧れて、室長権力で前の教団も今の教団も大浴場を作ってしまう位の男だ。
「ジェリーさんも、今日は冬至だから・って、南瓜と小豆の従兄弟煮作ってくださったんですよ。」
「南瓜の天麩羅は?」
「多分作ってくれると思いますよ!」
正直腹減った。
食事は食べたといえば食べたのだが、あんな場所で食べる上品な食事は食べた気がしない。
以前名無しに愚痴ったら『神田さん、テーブルマナーとか面倒臭ェって言っちゃいそうですもんねぇ』とクスクス笑っていた。
「…にしても、結構匂うな」
「柚子ですか?」
「あぁ。」
団服で隠れがちな名無しの白い首筋にスン、と鼻を近づける。
不愉快な匂い、というわけではないが、
「いつもの匂いの方がいい。」
耳元に口付けをひとつ落としてやれば、真っ赤な顔で耳を抑えて仰け反る名無し。
未だ初々しい反応に思わず口元が緩んでしまうのは、仕方がないだろう。
Citron or?
「顔が真っ赤だぞ。湯冷めか?」
「だ、誰のせいだと、思ってるんですか……」
珍しく口篭りながら反論する弟子兼恋人が可愛らしくて、ついつい今日もからかってしまうのであった。