short story
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おやつ時。
どうせだからと自室を出て、向かう先は大好きな師匠兼恋人の部屋。
東側に面した彼の部屋は朝焼けがよく見える。
今は太陽が昇りきった午後三時のため、日当たりのいい外とは対照的に静かな日陰になっているはず。
「神田さん、おやつをジェリーさんから頂いたんです。一緒に食べませんか?」
控えめにノックをしてみるが、中から返事はない。
しかし彼が教団から外へ向かった・という話は聞いていない。
そっとドアノブを開けば水を打ったように静かな部屋……の中で、寝息を立てている神田。
元帥として目を通しておく書類があったのだろう、ベッドの上に無造作に広げられた書類のそばで、壁にもたれかかったまま寝ていた。
(…読んでたら眠くなったのかな)
以前書類を捲りながら『眠てぇ…』と忌々しそうに呟いていたのを思い出す。
というより、頭脳労働はあまり好きではないらしい。彼と行動を共にして、それは何となく分かってきたが。
名無しが見てはいけない書類もあるだろう。
そっと裏返して近くの小さなテーブルへ重ねて置いた。とりあえずこれでいいだろう。
「神田さん、神田さん。寝るならちゃんと横になりましょう?」
ベッドに座り、壁を背もたれにしている神田の肩を軽く揺さぶる。
少し鬱陶しそうに眉を顰め、切れ長の目元がそっと開かれた。
「…………名無しか。」
「はい。おはようございます。
このまま寝てたら起きた時、身体バキバキになっちゃいますよ?お昼寝するなら横になりましょう?」
未だ眠気覚めやらず・といった様子の彼は、恐らくこのまま二度寝するだろう。
普段激務なのだ、それは全然構わないのだが…
(おやつはリナリーと食べようかなぁ)
こうなったら仕方ない・と内心そっと息をついた時だった。
膝に乗ってきた重み。
結っていた髪紐を無造作に解いて、これは完全に寝る体勢だ。
しかし、
(これは、俗に言う、膝枕。)
抗議する間もなく数秒で入眠に入る神田。
ごろりと横になるのはいい。そっちの方が質のいい睡眠が取れるだろうから。
膝にのる猫のように、ゴロリと横になる彼の寝姿さえ『あぁ綺麗な顔だな』と思ってしまう自分も大概だが、一言の断りもなく膝を拝借する神田も神田だ。
「…これじゃあ動けないじゃないですか、神田さん」
10.ひざまくら
膝に寝転んだのは無意識だったのだろう。
数時間後に起きた神田がひどく面食らっていたのは、また別の話。
どうせだからと自室を出て、向かう先は大好きな師匠兼恋人の部屋。
東側に面した彼の部屋は朝焼けがよく見える。
今は太陽が昇りきった午後三時のため、日当たりのいい外とは対照的に静かな日陰になっているはず。
「神田さん、おやつをジェリーさんから頂いたんです。一緒に食べませんか?」
控えめにノックをしてみるが、中から返事はない。
しかし彼が教団から外へ向かった・という話は聞いていない。
そっとドアノブを開けば水を打ったように静かな部屋……の中で、寝息を立てている神田。
元帥として目を通しておく書類があったのだろう、ベッドの上に無造作に広げられた書類のそばで、壁にもたれかかったまま寝ていた。
(…読んでたら眠くなったのかな)
以前書類を捲りながら『眠てぇ…』と忌々しそうに呟いていたのを思い出す。
というより、頭脳労働はあまり好きではないらしい。彼と行動を共にして、それは何となく分かってきたが。
名無しが見てはいけない書類もあるだろう。
そっと裏返して近くの小さなテーブルへ重ねて置いた。とりあえずこれでいいだろう。
「神田さん、神田さん。寝るならちゃんと横になりましょう?」
ベッドに座り、壁を背もたれにしている神田の肩を軽く揺さぶる。
少し鬱陶しそうに眉を顰め、切れ長の目元がそっと開かれた。
「…………名無しか。」
「はい。おはようございます。
このまま寝てたら起きた時、身体バキバキになっちゃいますよ?お昼寝するなら横になりましょう?」
未だ眠気覚めやらず・といった様子の彼は、恐らくこのまま二度寝するだろう。
普段激務なのだ、それは全然構わないのだが…
(おやつはリナリーと食べようかなぁ)
こうなったら仕方ない・と内心そっと息をついた時だった。
膝に乗ってきた重み。
結っていた髪紐を無造作に解いて、これは完全に寝る体勢だ。
しかし、
(これは、俗に言う、膝枕。)
抗議する間もなく数秒で入眠に入る神田。
ごろりと横になるのはいい。そっちの方が質のいい睡眠が取れるだろうから。
膝にのる猫のように、ゴロリと横になる彼の寝姿さえ『あぁ綺麗な顔だな』と思ってしまう自分も大概だが、一言の断りもなく膝を拝借する神田も神田だ。
「…これじゃあ動けないじゃないですか、神田さん」
10.ひざまくら
膝に寝転んだのは無意識だったのだろう。
数時間後に起きた神田がひどく面食らっていたのは、また別の話。