short story
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頭が痛い。
物理的な痛みではなく、これはストレスからくる精神的な痛みだ。
それは科学班に対して。
そして目の前で、純粋無垢な瞳をキラキラさせている弟子に対して。
「かっ……かわ…………かわいい……っ!」
興奮気味で、振り絞るように出てきた声。
『可愛い』だなんて一番言われたくない相手。それが名無しだった。
***
「神田さん、ココア飲みますか?」
自室に避難して、弟子に差し出された飲み物。
ほわほわと湯気を立てるそれは、普段なら『甘すぎる』と飲む前に一蹴するところだが――味覚まで子供になったらしい。
悔しいが美味かった。
「……コムイのやつ…あんな失敗作処分しとけよ…」
「ってことはもしかして前科持ちですか、コムイさん。」
「被害被ったのは二度目だ。」
以前の教団本部から引越しする際に酷い目にあった。
『コムビタンD』がない分、今回の方が被害状況としてはマシだろうが……。
よりによって。弟子に。見られるとは。
「で、さっきから何してんだ。」
俺を膝の上に乗せて、猫を撫でるようにひたすら頭を撫でてくる名無し。
なんなら頬も両手で揉まれる。
とりあえずなすがまま、好き放題させてはいたが……いい加減やめさせるために声をかけた。
「子供の神田さんを堪能してるんです。髪の毛サラサラだし、頭ちっちゃくて可愛いし、ほっぺもムニムニモチモチで最高ですね…一日中触っていたくなります…」
うっとりと。
それはもう、とてもうっとりと。
ほぅ、とため息をつきながら、蕩けた笑顔で答える名無し。
そんなにモチモチの頬を楽しみたければ自分の頬を触れ、と言いたいところだが、可愛い弟子の手前グッと言葉を呑み込んだ。
……あと一日中頬を揉まれるのは勘弁して欲しい。頬がちぎれる。
「いつになったら戻れるんでしょうね?」
「さぁな。前は一日程経ったら戻ったが…」
今回もそれくらいだろう。むしろそう願いたい。一生これは勘弁して欲しい。
じーっ、と。
上から降り注がれる視線が、何となく居心地が悪い。
いつもは見上げられているはずなのに、今は上から見られているというのが、あまりに不自然で…やはり居た堪れない。
どこかそわそわした雰囲気を醸し出す名無しに、ため息混じりで問うた。
「………………どうした?」
「今、神田さんって私より歳下ですよね?」
「見りゃわかるだろ。」
「……………………………………ユウくん。」
なんちゃって。
恥ずかしそうに、照れくさそうに。
はにかみ笑いを浮かべ、言った本人が一番擽ったいのか、俺を乗せている膝をパタパタと揺らした。
(…………心臓に、悪い!)
前言撤回だ。
一番クリティカルヒットしているのは、どうやらこの小さな元帥らしい。
いい加減名前呼びでも……と時々思っていたが、やはり却下だ。
破壊力が絶大で、大人でコレをされたら理性が忘却の彼方に吹き飛ぶこと間違いない。
「えへへ。早く戻れるといいですね。」
ヘラヘラと楽しそうに笑いながら、一回りも二回りも小さくなった身体を後ろから抱きしめる名無し。
……胸が、頭に、当たってる。
Critical Attack!
(大人に戻ったら無茶苦茶抱く。)
そんな物騒なことを考えているだなんて露知らず。
機嫌よく鼻歌を歌う名無しと、悶々とする小さな神田の穏やかな(?)時間は、まったりと過ぎていったのであった。
物理的な痛みではなく、これはストレスからくる精神的な痛みだ。
それは科学班に対して。
そして目の前で、純粋無垢な瞳をキラキラさせている弟子に対して。
「かっ……かわ…………かわいい……っ!」
興奮気味で、振り絞るように出てきた声。
『可愛い』だなんて一番言われたくない相手。それが名無しだった。
***
「神田さん、ココア飲みますか?」
自室に避難して、弟子に差し出された飲み物。
ほわほわと湯気を立てるそれは、普段なら『甘すぎる』と飲む前に一蹴するところだが――味覚まで子供になったらしい。
悔しいが美味かった。
「……コムイのやつ…あんな失敗作処分しとけよ…」
「ってことはもしかして前科持ちですか、コムイさん。」
「被害被ったのは二度目だ。」
以前の教団本部から引越しする際に酷い目にあった。
『コムビタンD』がない分、今回の方が被害状況としてはマシだろうが……。
よりによって。弟子に。見られるとは。
「で、さっきから何してんだ。」
俺を膝の上に乗せて、猫を撫でるようにひたすら頭を撫でてくる名無し。
なんなら頬も両手で揉まれる。
とりあえずなすがまま、好き放題させてはいたが……いい加減やめさせるために声をかけた。
「子供の神田さんを堪能してるんです。髪の毛サラサラだし、頭ちっちゃくて可愛いし、ほっぺもムニムニモチモチで最高ですね…一日中触っていたくなります…」
うっとりと。
それはもう、とてもうっとりと。
ほぅ、とため息をつきながら、蕩けた笑顔で答える名無し。
そんなにモチモチの頬を楽しみたければ自分の頬を触れ、と言いたいところだが、可愛い弟子の手前グッと言葉を呑み込んだ。
……あと一日中頬を揉まれるのは勘弁して欲しい。頬がちぎれる。
「いつになったら戻れるんでしょうね?」
「さぁな。前は一日程経ったら戻ったが…」
今回もそれくらいだろう。むしろそう願いたい。一生これは勘弁して欲しい。
じーっ、と。
上から降り注がれる視線が、何となく居心地が悪い。
いつもは見上げられているはずなのに、今は上から見られているというのが、あまりに不自然で…やはり居た堪れない。
どこかそわそわした雰囲気を醸し出す名無しに、ため息混じりで問うた。
「………………どうした?」
「今、神田さんって私より歳下ですよね?」
「見りゃわかるだろ。」
「……………………………………ユウくん。」
なんちゃって。
恥ずかしそうに、照れくさそうに。
はにかみ笑いを浮かべ、言った本人が一番擽ったいのか、俺を乗せている膝をパタパタと揺らした。
(…………心臓に、悪い!)
前言撤回だ。
一番クリティカルヒットしているのは、どうやらこの小さな元帥らしい。
いい加減名前呼びでも……と時々思っていたが、やはり却下だ。
破壊力が絶大で、大人でコレをされたら理性が忘却の彼方に吹き飛ぶこと間違いない。
「えへへ。早く戻れるといいですね。」
ヘラヘラと楽しそうに笑いながら、一回りも二回りも小さくなった身体を後ろから抱きしめる名無し。
……胸が、頭に、当たってる。
Critical Attack!
(大人に戻ったら無茶苦茶抱く。)
そんな物騒なことを考えているだなんて露知らず。
機嫌よく鼻歌を歌う名無しと、悶々とする小さな神田の穏やかな(?)時間は、まったりと過ぎていったのであった。