short story
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「男4人集まって、何も起こらないはずもなく」
…と言っても、たまたまだ。本当にたまたまなのだ。
食堂にて一人で昼食を食べていた神田のところへ、ラビが意気揚々と突撃し、ラビが一方的に絡んでいたところへアレンとクロウリーが興味本位で席についた。
そう。たまたまこの面子が集まっただけで、別にハッテン場になるわけではない。決して。
「フェチの話をしようさ」
神田元帥の受難
「昼間だぞ。壁に埋まりすぎて頭でも沸いたか、発情ウサギ。」
「ユウ、それは禁句さ!」
「神田。ラビが常に発情してるのはいつものことだよ」
みたらし団子をハムスターのように頬張り、アレンが冷ややかに援護射撃する。
ここにラビの味方はいないのか。
「『ふぇち』とは、なんであるか?」
「クロちゃん!!」
純粋無垢な顔で首を傾げるクロウリーに、ラビは半泣きで握手をする。よかったね、ラビ。
「女の子の『ここが好き〜』ってことさ!ちなみに俺は胸。大きさも大事だけど、何より形さ。あと感度。」
「ラビ。クロウリーになんてことを教えてるの。教育に悪いですよ」
昼間だというのに、にこにこと満面の笑みで暴露するラビに対して、やはりアレンは呆れ顔だ。
……教育に悪いとは言うが、この四人の中で最年長はクロウリーである。しかしそれは誰も触れなかった。なんてことだ。
「……………………私は唇であるな。」
ポツリ、と。
ほんの少しだけ頬を赤らめながら告白したクロウリーに、ラビとアレンは一瞬フリーズした。
二人が知っている彼の想い人だったアクマは、確かにぷるりとした、特徴的な唇をしていた。
……誰を指しているかなど、言うまでもない。
「アレンはなんであるか?」
意外にもクロウリーは興味津々である。
下世話なラビなら一蹴するところだが、クロウリーは純粋な興味100%だ。
無下に黙秘権を行使するのも憚られ、アレンは「うーん」と考え込む。
「僕は足かな」
「なんかアレン、おっさんぽいさー」
「ラビは少し黙ってて。」
やいのやいのとフェチの話をしてる三人を横目で見つつ、神田は食べていた天ぷら蕎麦を平らげる。
こういうことには関わらない方がいい。三十六計逃げるにしかず、だ。
「ちょっと。何逃げようとしてるんですか神田。」
「ぐっ!」
ススッと席を離れようとした神田のポニーテールを、容赦なく掴むアレン。
思わず後ろにつんのめった神田は、心底後ろめたそうにアレンを睨みつける……が、『ぬけがけは許さない』と言わんばかりの笑顔で返された。
アレンさん、笑顔の圧がすごいです。
「ユウは簡単さー。名無しに当てはめてしまえば分かるから。」
頬杖をつきながら、それはもう『ニタニタ』といった様子でラビが笑う。
アレンと、クロウリーですら否定するつもりは無いらしく、二人とも『なるほど』といった様子で頷く。
「俺には分かるさ。名無しは細い割にかなり胸がある!団服だと尚わかりやすいさ!ということでユウは胸フェチだ!」
「普段どんな目で見てんだ。刀の錆にするぞ。」
神田の目が本気だ。本気と書いてマジと読む。
ついでに補足すれば瞳孔が開ききっている。
……ラビが肉塊になるのも時間の問題かもしれない。
「足もすらりとしてるもんね」
「お前らそういう目で見てたのか…」
大福を頬張るアレンに対して、怒り半分、呆れ半分でこめかみを押さえる神田。
今日も元帥は頭痛が絶えないご様子。
(……名無しの唇は少し薄すぎるから『ふぇち』には当てはまらないであるな)
にこにこと黙ってその様子を眺めているクロウリー。
静観する姿勢は大正解だろう。本人が何を考えていようとも。
「えー。じゃあ手フェチさ?」
「興味ねぇな。」
「神田はムッツリですから。ずばり、お尻!」
「似非紳士気取ってるヤツが何言ってんだ。ちげーよ」
「アレン〜。ムッツリといえばアレさ。うなじ。」
「あー、なるほど。」
「『なるほど』じゃねぇ。」
「じゃあ何さ!ドスケベムッツリ元帥の性癖が全然分からないさ!」
「元帥権限で無給にしてやろうか?」
失言の多いラビに対して青筋が今にもはち切れそうな神田。
のんびりコーヒーを傾けていたクロウリーが、ふと思いついたように呟く。
「…………腰であるか?」
いつからこんなに分かりやすい男になったのだろう。
六幻に掛けていた手をピクリと止め、じとりとクロウリーを見遣る神田。
睨んでいたわけではないのだが、切れ長の目と視線があっただけで「ひぃ!」と声を上げ、クロウリーはアレンの後ろに隠れてしまった。
「ははーん、なるほど。ユウは名無しの腰が好きなんさ?」
「黙れ発情ウサギ。」
「あー、確かに細くて抱き心地は良さそうですけど。」
「良さそう、じゃなくて良いんだよ。」
何勝手に想像してやがる。
チッと露骨な舌打ちを零し、眉間のシワを三割増にする神田。
――そんな彼の後ろに立つ人物を、誰も指摘しなかったのは『意地が悪い』の一言では…決して片付けられないだろう。
「あ……あの……神田さん…」
ごにょごにょと声を掛けるのは、話の渦中にいた名無し。
遠慮している・と例えるには、あまりにも消え入りそうな声だ。
勢いよく振り返る神田の視界に入ったのは、耳まで真っ赤にして、両手で顔を覆っている可哀想な弟子だった。
「こ、コムイさんが、呼んでいたので、あの、私、何も聞いていませんから……!」
気遣いが逆に気まずい。
嘘をつくのが壊滅的に下手くそな名無しは、ありありと顔に出ている。
要件を伝えると脱兎の如く逃げ出す愛弟子。
修行の成果か、随分と逃げ足が早くなった。
「オイ、待て!名無し!」
食べ終わった蕎麦の皿をそのままに、慌てて走り出す神田。
追いついたところで誤解を解くわけでも、言い訳をするわけでもないのだが――追いかけざるを得なかった。
もちろん、去り際に六幻の鞘で、ラビの派手な頭をひと叩きするのも忘れずに。
「なんでさ!!」
頭を押さえながら抗議するラビの声だけが、虚しく食堂に響き渡った。
…と言っても、たまたまだ。本当にたまたまなのだ。
食堂にて一人で昼食を食べていた神田のところへ、ラビが意気揚々と突撃し、ラビが一方的に絡んでいたところへアレンとクロウリーが興味本位で席についた。
そう。たまたまこの面子が集まっただけで、別にハッテン場になるわけではない。決して。
「フェチの話をしようさ」
神田元帥の受難
「昼間だぞ。壁に埋まりすぎて頭でも沸いたか、発情ウサギ。」
「ユウ、それは禁句さ!」
「神田。ラビが常に発情してるのはいつものことだよ」
みたらし団子をハムスターのように頬張り、アレンが冷ややかに援護射撃する。
ここにラビの味方はいないのか。
「『ふぇち』とは、なんであるか?」
「クロちゃん!!」
純粋無垢な顔で首を傾げるクロウリーに、ラビは半泣きで握手をする。よかったね、ラビ。
「女の子の『ここが好き〜』ってことさ!ちなみに俺は胸。大きさも大事だけど、何より形さ。あと感度。」
「ラビ。クロウリーになんてことを教えてるの。教育に悪いですよ」
昼間だというのに、にこにこと満面の笑みで暴露するラビに対して、やはりアレンは呆れ顔だ。
……教育に悪いとは言うが、この四人の中で最年長はクロウリーである。しかしそれは誰も触れなかった。なんてことだ。
「……………………私は唇であるな。」
ポツリ、と。
ほんの少しだけ頬を赤らめながら告白したクロウリーに、ラビとアレンは一瞬フリーズした。
二人が知っている彼の想い人だったアクマは、確かにぷるりとした、特徴的な唇をしていた。
……誰を指しているかなど、言うまでもない。
「アレンはなんであるか?」
意外にもクロウリーは興味津々である。
下世話なラビなら一蹴するところだが、クロウリーは純粋な興味100%だ。
無下に黙秘権を行使するのも憚られ、アレンは「うーん」と考え込む。
「僕は足かな」
「なんかアレン、おっさんぽいさー」
「ラビは少し黙ってて。」
やいのやいのとフェチの話をしてる三人を横目で見つつ、神田は食べていた天ぷら蕎麦を平らげる。
こういうことには関わらない方がいい。三十六計逃げるにしかず、だ。
「ちょっと。何逃げようとしてるんですか神田。」
「ぐっ!」
ススッと席を離れようとした神田のポニーテールを、容赦なく掴むアレン。
思わず後ろにつんのめった神田は、心底後ろめたそうにアレンを睨みつける……が、『ぬけがけは許さない』と言わんばかりの笑顔で返された。
アレンさん、笑顔の圧がすごいです。
「ユウは簡単さー。名無しに当てはめてしまえば分かるから。」
頬杖をつきながら、それはもう『ニタニタ』といった様子でラビが笑う。
アレンと、クロウリーですら否定するつもりは無いらしく、二人とも『なるほど』といった様子で頷く。
「俺には分かるさ。名無しは細い割にかなり胸がある!団服だと尚わかりやすいさ!ということでユウは胸フェチだ!」
「普段どんな目で見てんだ。刀の錆にするぞ。」
神田の目が本気だ。本気と書いてマジと読む。
ついでに補足すれば瞳孔が開ききっている。
……ラビが肉塊になるのも時間の問題かもしれない。
「足もすらりとしてるもんね」
「お前らそういう目で見てたのか…」
大福を頬張るアレンに対して、怒り半分、呆れ半分でこめかみを押さえる神田。
今日も元帥は頭痛が絶えないご様子。
(……名無しの唇は少し薄すぎるから『ふぇち』には当てはまらないであるな)
にこにこと黙ってその様子を眺めているクロウリー。
静観する姿勢は大正解だろう。本人が何を考えていようとも。
「えー。じゃあ手フェチさ?」
「興味ねぇな。」
「神田はムッツリですから。ずばり、お尻!」
「似非紳士気取ってるヤツが何言ってんだ。ちげーよ」
「アレン〜。ムッツリといえばアレさ。うなじ。」
「あー、なるほど。」
「『なるほど』じゃねぇ。」
「じゃあ何さ!ドスケベムッツリ元帥の性癖が全然分からないさ!」
「元帥権限で無給にしてやろうか?」
失言の多いラビに対して青筋が今にもはち切れそうな神田。
のんびりコーヒーを傾けていたクロウリーが、ふと思いついたように呟く。
「…………腰であるか?」
いつからこんなに分かりやすい男になったのだろう。
六幻に掛けていた手をピクリと止め、じとりとクロウリーを見遣る神田。
睨んでいたわけではないのだが、切れ長の目と視線があっただけで「ひぃ!」と声を上げ、クロウリーはアレンの後ろに隠れてしまった。
「ははーん、なるほど。ユウは名無しの腰が好きなんさ?」
「黙れ発情ウサギ。」
「あー、確かに細くて抱き心地は良さそうですけど。」
「良さそう、じゃなくて良いんだよ。」
何勝手に想像してやがる。
チッと露骨な舌打ちを零し、眉間のシワを三割増にする神田。
――そんな彼の後ろに立つ人物を、誰も指摘しなかったのは『意地が悪い』の一言では…決して片付けられないだろう。
「あ……あの……神田さん…」
ごにょごにょと声を掛けるのは、話の渦中にいた名無し。
遠慮している・と例えるには、あまりにも消え入りそうな声だ。
勢いよく振り返る神田の視界に入ったのは、耳まで真っ赤にして、両手で顔を覆っている可哀想な弟子だった。
「こ、コムイさんが、呼んでいたので、あの、私、何も聞いていませんから……!」
気遣いが逆に気まずい。
嘘をつくのが壊滅的に下手くそな名無しは、ありありと顔に出ている。
要件を伝えると脱兎の如く逃げ出す愛弟子。
修行の成果か、随分と逃げ足が早くなった。
「オイ、待て!名無し!」
食べ終わった蕎麦の皿をそのままに、慌てて走り出す神田。
追いついたところで誤解を解くわけでも、言い訳をするわけでもないのだが――追いかけざるを得なかった。
もちろん、去り際に六幻の鞘で、ラビの派手な頭をひと叩きするのも忘れずに。
「なんでさ!!」
頭を押さえながら抗議するラビの声だけが、虚しく食堂に響き渡った。