Re:pray//short story
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面白いものを見た。
アレンが任務から戻ってきたから、飯に誘って食堂に来た。
相変わらず人がごった返しており、ファインダーから科学班まで様々なスタッフがここに集まっている。
もっとも、夕食の時間より少し早いせいか、これでも人が少ない方なのだけど。
「アレンが帰ってきてる…ってことは、ユウも帰って来てるんさ?」
「えぇ。新しい入団者の子と一緒に。」
アレンに話を聞けば、どうやら『とんだ』世界の先で適合者を見つけたとか。
俺が不用意にイノセンスの抜け殻を触ってしまったのが原因といえば、原因だ。
会ったら謝るつもりなのだが…さて、どこにいるのやら。
「遂にユウにも弟子かぁ。絶対『神田元帥』は、間違いなくスパルタさー」
鍛錬の組手すら手を抜かない性格だ。
連れてきた適合者は、きっと屈強な男性なのだと勝手に想像してしまった。
「大丈夫でしょう。女の子でしたし。」
「へ、」
「あれ?僕言ってませんでしたっけ?」
聞いてない。
…いや、女の子だから大丈夫ってアレンは言うけど、女の子にも容赦ないのがユウだしなぁ。
「あ。ほら、あそこ。」
アレンが指差した先には、黒髪のポニーテール剣士と、黒髪のショートヘアーの女の子。
二人並んで麺類を啜ってる。…一見すると兄妹のようにも見える。
『おうどん、すごく美味しいです!神田さん!』
『よかったな』
『はい!』
飛び交う英語の中、遠くから微かに聞こえてくるのは…恐らく日本語の会話。
にこにこと上機嫌の女の子は…童顔の東洋人であることを加味したら15、6歳くらいだろうか。
ジジイよりも少し背丈が高いくらいであろう、小柄な身長に細い手足。
怪我をしたのだろうか。テーブルには松葉杖が立て掛けられていた。
……大丈夫だろうか。
だって、あのユウさ?
最近はかなり減ったが、言葉より拳や切先を突きつけてくるような、あのユウが。
あんなフワフワした笑顔で笑う女の子を。弟子に。
今日の日記にはこう書こう。明日は天変地異が起きるかもしれない、と。
…いや、まぁ、その弟子予定の女の子にも驚いたのだが、それより何より。
「…ユウが笑ってるさー」
「すっっっっごく分かりにくいけどね。」
口角がほんの少しだけ上がるような、ほほ笑みにも満たない表情。
アレンの言う通り長い付き合いでなければ彼の微妙な表情の変化は読み取りにくい。
…もちろん、不機嫌な時やキレている時はわかりやすいのだが。
それがどうだ。
すごく分かりにくいが、笑っている。
「…今ちょっかい出したら怒られるかねぇ?」
「間違いなく刀の錆になると思うからやめておいた方が身のためだと思うよ、ラビ。」
だって彼女と目を合わせて微笑んだだけで、神田、不機嫌になったし。
アレンが呆れたようにポソリと呟く。
――待った、それどういうことさ。
「アレン、それ詳しく。」
「次の任務先から美味しいお土産買ってきてくれたら教えまーす」
「ベルギーチョコでどうさ?」
「ん。」
その取引内容で満足気に笑う銀髪の青年。
あぁ本当に、ちゃっかりしたイイ性格になったもんさー…。
このささやかで優しい変化は、歴史の語り部として紡ぐことはないだろう。
誰よりも苦悩した灰色の少年は穏やかな安住の地を。
他人を拒絶し続けていた少年は、ほんの一瞬、僅かだが、穏やかに笑う青年になった。
本職としてではなく、『友人』としてそれは酷く喜ばしいことで。
日記の最後はいつも通り、こう締めくくることにしよう。
(今日も教団は平和だった、ってな)
Re:pray#01 Lavi side
「まぁ何より、」
「そうですね。」
「神田を」「ユウを」
「「からかうネタが出来そうな予感。」」
俺と同じように悪い顔をする、爽やか英国似非紳士。
あぁ、やっぱりアレンも同じ事を考えていたかー。
(明日から日記の内容に悩む事はなさそうさぁ)
アレンが任務から戻ってきたから、飯に誘って食堂に来た。
相変わらず人がごった返しており、ファインダーから科学班まで様々なスタッフがここに集まっている。
もっとも、夕食の時間より少し早いせいか、これでも人が少ない方なのだけど。
「アレンが帰ってきてる…ってことは、ユウも帰って来てるんさ?」
「えぇ。新しい入団者の子と一緒に。」
アレンに話を聞けば、どうやら『とんだ』世界の先で適合者を見つけたとか。
俺が不用意にイノセンスの抜け殻を触ってしまったのが原因といえば、原因だ。
会ったら謝るつもりなのだが…さて、どこにいるのやら。
「遂にユウにも弟子かぁ。絶対『神田元帥』は、間違いなくスパルタさー」
鍛錬の組手すら手を抜かない性格だ。
連れてきた適合者は、きっと屈強な男性なのだと勝手に想像してしまった。
「大丈夫でしょう。女の子でしたし。」
「へ、」
「あれ?僕言ってませんでしたっけ?」
聞いてない。
…いや、女の子だから大丈夫ってアレンは言うけど、女の子にも容赦ないのがユウだしなぁ。
「あ。ほら、あそこ。」
アレンが指差した先には、黒髪のポニーテール剣士と、黒髪のショートヘアーの女の子。
二人並んで麺類を啜ってる。…一見すると兄妹のようにも見える。
『おうどん、すごく美味しいです!神田さん!』
『よかったな』
『はい!』
飛び交う英語の中、遠くから微かに聞こえてくるのは…恐らく日本語の会話。
にこにこと上機嫌の女の子は…童顔の東洋人であることを加味したら15、6歳くらいだろうか。
ジジイよりも少し背丈が高いくらいであろう、小柄な身長に細い手足。
怪我をしたのだろうか。テーブルには松葉杖が立て掛けられていた。
……大丈夫だろうか。
だって、あのユウさ?
最近はかなり減ったが、言葉より拳や切先を突きつけてくるような、あのユウが。
あんなフワフワした笑顔で笑う女の子を。弟子に。
今日の日記にはこう書こう。明日は天変地異が起きるかもしれない、と。
…いや、まぁ、その弟子予定の女の子にも驚いたのだが、それより何より。
「…ユウが笑ってるさー」
「すっっっっごく分かりにくいけどね。」
口角がほんの少しだけ上がるような、ほほ笑みにも満たない表情。
アレンの言う通り長い付き合いでなければ彼の微妙な表情の変化は読み取りにくい。
…もちろん、不機嫌な時やキレている時はわかりやすいのだが。
それがどうだ。
すごく分かりにくいが、笑っている。
「…今ちょっかい出したら怒られるかねぇ?」
「間違いなく刀の錆になると思うからやめておいた方が身のためだと思うよ、ラビ。」
だって彼女と目を合わせて微笑んだだけで、神田、不機嫌になったし。
アレンが呆れたようにポソリと呟く。
――待った、それどういうことさ。
「アレン、それ詳しく。」
「次の任務先から美味しいお土産買ってきてくれたら教えまーす」
「ベルギーチョコでどうさ?」
「ん。」
その取引内容で満足気に笑う銀髪の青年。
あぁ本当に、ちゃっかりしたイイ性格になったもんさー…。
このささやかで優しい変化は、歴史の語り部として紡ぐことはないだろう。
誰よりも苦悩した灰色の少年は穏やかな安住の地を。
他人を拒絶し続けていた少年は、ほんの一瞬、僅かだが、穏やかに笑う青年になった。
本職としてではなく、『友人』としてそれは酷く喜ばしいことで。
日記の最後はいつも通り、こう締めくくることにしよう。
(今日も教団は平和だった、ってな)
Re:pray#01 Lavi side
「まぁ何より、」
「そうですね。」
「神田を」「ユウを」
「「からかうネタが出来そうな予感。」」
俺と同じように悪い顔をする、爽やか英国似非紳士。
あぁ、やっぱりアレンも同じ事を考えていたかー。
(明日から日記の内容に悩む事はなさそうさぁ)
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