Re:pray
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SFのようなゲートを潜れば、そこは物々しい洋館…いや、城の中だった。
吹き抜ける高い天井。
人工灯と燭台の光で照らされた内装は、映画の世界のようだった。
「…外国、だぁ…」
「当たり前だ。今の教団の所在地はイギリスだからな。」
「イギリス。」
ということは、殆どここにいる人は外国人なのでは。
あぁ、日本語が通じる神田さんが最初に知り合った人で本当によかった。
***
「名無し名無しちゃん、か。僕はコムイ・リー。この教団の室長をやっているんだ。よろしくね」
拙い英語で辛うじて自己紹介をすれば、分かりやすくゆっくりとした英語で、コムイと名乗った男性は喋ってくれた。
松葉杖を一瞬手放し、握手で差し出された手を握れば、レンズ越しの目元が柔らかく笑う。
歓迎されているようで少しだけほっとした。
『早速だけど、神田くん。ヘブくんのとこに連れて行ってあげてくれるかい?』
『分かった。』
スラスラと流暢な英語が左から右へ通り抜ける。
…神田さんの名前しか聞き取れないのは大問題かつ死活問題だ。早く覚えよう。
***
「69%ってテストの点数でいうと…あまり良くないですよねぇ」
「普段使ってなかったんだ。上出来だろ」
たくさんの人がひしめく、教団の食堂。
飛び交う会話は全て英語で意味を理解することはおろか、聞き取ることも難しい。
――入団検査、といえばいいのだろうか。
『ヘブラスカ』と名乗った、蛇と女性が掛け合わされたような姿のヒト。
イノセンスとのシンクロ率を調べるという名目で検査を受けたが…『何か』が身体の中を這うようなあの感覚は、あまり心地いいものではなかった。
『…イノセンスを発動していなかったからか、随分と錆び付いてしまっている。』
逆をいえば、使い込めばその『シンクロ率』も上がるのだろう。
つまるところ、習うより慣れろ・ということだ。実にシンプルでいい。
…とまぁ、これが先程あった出来事だ。
セルフ形式の食堂は、厨房カウンターの前にずらりと人が並んでいる。
元バイト先の比にならないくらい、人が多いにも 関わらず行列が次々と捌けていく。
その早さは目を見張るものがあった。
「何食う?」
「えーとえーと…」
ずらりと並んだメニューの中で、読めるメニューは限られている。
その中で私でも分かるメニューと言えば、
「じゃあ、おうどんで。」
「ん。」
どうやら今日はメニューを一緒に注文してくれるらしい。
…毎度神田さんがこうしてついてくれるわけではないだろう。早く慣れなければ。
『あらァ、神田。帰って来れたのね。おかえり〜』
『まぁな。蕎麦とうどんを頼む』
筋肉隆々のコックさんと神田さんが慣れ親しんだ雰囲気で言葉を交わす。
サングラスをかけ、やや褐色の肌。雰囲気は…東南アジアあたりの人だろうか。
サングラス越しに視線が合うと、にこりと微笑むコックさん。
慌てて会釈して曖昧に笑い返せば満足そうに彼は笑みを深めた。
『こうして見ると兄妹みたいねぇ。可愛らしい子じゃないの、新しい入団者?』
『エクソシスト候補だ。』
『あらぁ。もしかして【神田元帥】初の弟子になる感じ?』
『さぁな。』
手早く調理しながらも、楽しそうな会話は途切れない。
英語が分かるようになればこの会話に入ることが出来るのだろうか。…それは少し楽しみだ。
『はい、おまたせ。天ぷら蕎麦とキツネうどん』
外国人の人が作ったとは思えない、完璧な出来栄えの和食が二つ。
ほかほかと湯気を立たせた出汁の香りは食欲をそそるに十分だった。
コックさんが思い出したように冷蔵庫をおもむろに開け、トレーの端にトンと追加で乗せたものは――つるりとした杏仁豆腐。
「service!」
にこりと微笑みサングラスをちらりと上げる。
ばちりと素敵なウインクを添えられて、彼は小粋に笑った。
「あ…さ、thank you!」
伝わるだろうか。変じゃないだろうか。
咄嗟に喋った簡単な英語。
なんだかとても照れくさくて、嬉しくて、思わず頬が緩んでしまった。
Re:pray#01
『…神田、あなたいい子拾ったわねぇ。可愛いし。』
『…あまり甘やかすな』
『甘やかすのは自分の特権だ、って言いたいのぉ?いいな〜アタシも弟子欲しいわぁ』
『いいから仕事しろ、ジェリー。』
吹き抜ける高い天井。
人工灯と燭台の光で照らされた内装は、映画の世界のようだった。
「…外国、だぁ…」
「当たり前だ。今の教団の所在地はイギリスだからな。」
「イギリス。」
ということは、殆どここにいる人は外国人なのでは。
あぁ、日本語が通じる神田さんが最初に知り合った人で本当によかった。
***
「名無し名無しちゃん、か。僕はコムイ・リー。この教団の室長をやっているんだ。よろしくね」
拙い英語で辛うじて自己紹介をすれば、分かりやすくゆっくりとした英語で、コムイと名乗った男性は喋ってくれた。
松葉杖を一瞬手放し、握手で差し出された手を握れば、レンズ越しの目元が柔らかく笑う。
歓迎されているようで少しだけほっとした。
『早速だけど、神田くん。ヘブくんのとこに連れて行ってあげてくれるかい?』
『分かった。』
スラスラと流暢な英語が左から右へ通り抜ける。
…神田さんの名前しか聞き取れないのは大問題かつ死活問題だ。早く覚えよう。
***
「69%ってテストの点数でいうと…あまり良くないですよねぇ」
「普段使ってなかったんだ。上出来だろ」
たくさんの人がひしめく、教団の食堂。
飛び交う会話は全て英語で意味を理解することはおろか、聞き取ることも難しい。
――入団検査、といえばいいのだろうか。
『ヘブラスカ』と名乗った、蛇と女性が掛け合わされたような姿のヒト。
イノセンスとのシンクロ率を調べるという名目で検査を受けたが…『何か』が身体の中を這うようなあの感覚は、あまり心地いいものではなかった。
『…イノセンスを発動していなかったからか、随分と錆び付いてしまっている。』
逆をいえば、使い込めばその『シンクロ率』も上がるのだろう。
つまるところ、習うより慣れろ・ということだ。実にシンプルでいい。
…とまぁ、これが先程あった出来事だ。
セルフ形式の食堂は、厨房カウンターの前にずらりと人が並んでいる。
元バイト先の比にならないくらい、人が多いにも 関わらず行列が次々と捌けていく。
その早さは目を見張るものがあった。
「何食う?」
「えーとえーと…」
ずらりと並んだメニューの中で、読めるメニューは限られている。
その中で私でも分かるメニューと言えば、
「じゃあ、おうどんで。」
「ん。」
どうやら今日はメニューを一緒に注文してくれるらしい。
…毎度神田さんがこうしてついてくれるわけではないだろう。早く慣れなければ。
『あらァ、神田。帰って来れたのね。おかえり〜』
『まぁな。蕎麦とうどんを頼む』
筋肉隆々のコックさんと神田さんが慣れ親しんだ雰囲気で言葉を交わす。
サングラスをかけ、やや褐色の肌。雰囲気は…東南アジアあたりの人だろうか。
サングラス越しに視線が合うと、にこりと微笑むコックさん。
慌てて会釈して曖昧に笑い返せば満足そうに彼は笑みを深めた。
『こうして見ると兄妹みたいねぇ。可愛らしい子じゃないの、新しい入団者?』
『エクソシスト候補だ。』
『あらぁ。もしかして【神田元帥】初の弟子になる感じ?』
『さぁな。』
手早く調理しながらも、楽しそうな会話は途切れない。
英語が分かるようになればこの会話に入ることが出来るのだろうか。…それは少し楽しみだ。
『はい、おまたせ。天ぷら蕎麦とキツネうどん』
外国人の人が作ったとは思えない、完璧な出来栄えの和食が二つ。
ほかほかと湯気を立たせた出汁の香りは食欲をそそるに十分だった。
コックさんが思い出したように冷蔵庫をおもむろに開け、トレーの端にトンと追加で乗せたものは――つるりとした杏仁豆腐。
「service!」
にこりと微笑みサングラスをちらりと上げる。
ばちりと素敵なウインクを添えられて、彼は小粋に笑った。
「あ…さ、thank you!」
伝わるだろうか。変じゃないだろうか。
咄嗟に喋った簡単な英語。
なんだかとても照れくさくて、嬉しくて、思わず頬が緩んでしまった。
Re:pray#01
『…神田、あなたいい子拾ったわねぇ。可愛いし。』
『…あまり甘やかすな』
『甘やかすのは自分の特権だ、って言いたいのぉ?いいな〜アタシも弟子欲しいわぁ』
『いいから仕事しろ、ジェリー。』
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