とあるカルデアの一幕
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ルルハワに来てからというものの、リツカと目が合わない。
というより、視線を逸らされる。
「オーイ、リツカ」
珍しく一人で売店に立ち寄っていた彼女を呼び止めれば、一瞬視線が絡む。
が、それはすぐに地面に向けられた。…俺、何かしたっけ?
「ど、どうしたの?ロビン」
「いやぁ、別に用という用はないっすけど。」
ナンパは…結局ルルハワに来てからしていない。
というかサーヴァントばかりのここでナンパなんかしようとは思えない。
女性サーヴァントはアクが強いのが多すぎる。
手なんか出したらとんでもない目に会うことなんて、火を見るより明らかなのだから。
というより目の前に本命がいるのだから。
開放的な雰囲気は後腐れのなさそうな関係が出来そう〜なんて、言うだけ言ってみたが、やはりナンパなんか出来るはずもなくて。
「あの、ほら。今回は原稿が早めに終わったし、ロビンも遊んでくればいいんだよ?」
件のジャンヌオルタは今は泥のようにホテルの一室で寝ている。
いや、確かに余裕を持って今回はサバフェスの原稿が終わったけれども。
「なーんかマスター、この間から俺のこと避けてません?」
身を屈めて顔を覗き込めばバチりと合う視線。
それも一瞬で逸らされる。
(…あれ?なんか顔、)
赤い。
「…BBちゃんのせいだ…」
「は?BB?」
右手で口元を隠して、斜め左下へ視線を落とすリツカ。
少し恨みがましくボソボソと呟いた彼女の声を、俺が聞き逃すはずもなく。
「………………、」
無言で俺のパーカーを掴んだかと思えば、これまた手早くファスナーを上まで上げられた。
なんでだ!
「ちょ、マスター。流石にこれは暑いんっすけど」
「…み、見えてるんだもん」
ごにょごにょとこれまた彼女にしては珍しく、歯切れが悪そうに口篭る。
何が・とは聞かない。
あぁ、何となく察したさ。
「いやいや、野郎の胸見てもなんともないっしょ。円卓の英霊だって、シャツ全開ですし」
「彼らは色物だから何ともないの。」
色物。
かの有名な円卓の騎士達が聞いたら泣きだすぞ。
いや、確かに第六特異点ではかなり苦労をかけさせられたが。
…彼らの素は、まぁ確かにちょっと頭のネジが二・三本取れていると言っても過言ではないのが悲しい事実だ。
残念なくらいに庶民派のウチのマスターからしたら、あまりにも騎士らしい態度は未だに慣れないらしい。
庶民よりの俺からしたら安心なのだが。
いや、そんなことよりこの暑い格好をどうにかしなければ。
「別にいいっしょ、ここはルルハワだぜ?」
「ロビンの肌はエッチなの。スケベなの。…霊基再臨する度に薄着になっていくし、」
どういう理屈だ。
人を歩く猥褻物みたいに言わないで欲しい。
それを言うならメルトリリスに言ってくれ。あとそこら辺を闊歩している、水着の女性サーヴァントに。
「えぇ…言いがかりじゃないですか。」
「普段厚着をしている人がね、突然二の腕とか胸板晒したら、見慣れていない分エッチに見えるの!」
きいきいと力説するマスターを眺めながら、あぁなるほど・と納得してしまった。
普段着込んでいるカルデアの制服や魔術協会の制服をはじめとして、彼女の普段の格好はきっちりしている。
それがどうだ。
今は礼装とはいえ水着だ。
布面積が普段の10分の1かもしれないこの姿は、眼福を通り越して目に毒だ。
「なるほどね、見慣れていない分やらしく見える、と。」
「分かってくれて何より。」
ほっと溜息をつくマスターを見て、俺は思わず口元が緩んだ。
だったら尚更。
「じゃあ、ほら。」
「へ、」
不本意ながらBBチョイスのパーカーをリツカの肩にかけてやれば、面白いほどに狼狽える彼女。
小さい身体に、大きな男物のパーカー。
…ある意味これも目に毒かもしれない。
なるほど、以前黒髭のオッサンが言っていた着衣エロってヤツか。
「ろ、ロビン?話、聞いてた!?」
「聞いてたぜー?だからオタクに着せてんの」
まぁ年頃の娘がやたらめったらに肌を晒すよりはいいだろう。
数瞬考えた後、意味が理解できたのかカッと染まる頬。
あぁ、他のヤツらにそんな顔見せてくれるなよ、マスター。
「見慣れてないなら、見慣れれば何ともないっしょ」
「そ、そういう問題なの?」
「そーゆー問題なんですよ、と。」
習うより慣れろ・じゃないが、見慣れさせてしまえばこっちのものだ。
確かに羽織一枚なくなってしまっては、なんとなく心許ないが…まぁ良しとしよう。
「日差しも強いしな。いいから着ときなさい」
「ええっと、その、あ…ありがとう…」
どうせ自分の事に頓着のない彼女のことだ。
気の利く後輩が声をかけなければ日焼け止めもマメに塗り直したりしていないのだろう。
「ほら。早く戻らねーとマシュ嬢ちゃんが心配しますよ」
「う、うん。」
くしゃりと頭をひと撫ですれば、大きくひとつ頷いて走り出すリツカ。
あぁ、砂浜でそんなに走ったらコケてしまわないだろうか。
俺は気が気じゃなくて、彼女の後ろ姿が見えなくなるまでつい見送ってしまった。
ふわりと風に靡く常夏柄のパーカーが、何だか普段より眩しく見えた。
サマー・マーキング
「まるで『俺の女』アピールみたいですねぇ、ロビンさん」
「げ、BB。見てたのかよ」
というより、視線を逸らされる。
「オーイ、リツカ」
珍しく一人で売店に立ち寄っていた彼女を呼び止めれば、一瞬視線が絡む。
が、それはすぐに地面に向けられた。…俺、何かしたっけ?
「ど、どうしたの?ロビン」
「いやぁ、別に用という用はないっすけど。」
ナンパは…結局ルルハワに来てからしていない。
というかサーヴァントばかりのここでナンパなんかしようとは思えない。
女性サーヴァントはアクが強いのが多すぎる。
手なんか出したらとんでもない目に会うことなんて、火を見るより明らかなのだから。
というより目の前に本命がいるのだから。
開放的な雰囲気は後腐れのなさそうな関係が出来そう〜なんて、言うだけ言ってみたが、やはりナンパなんか出来るはずもなくて。
「あの、ほら。今回は原稿が早めに終わったし、ロビンも遊んでくればいいんだよ?」
件のジャンヌオルタは今は泥のようにホテルの一室で寝ている。
いや、確かに余裕を持って今回はサバフェスの原稿が終わったけれども。
「なーんかマスター、この間から俺のこと避けてません?」
身を屈めて顔を覗き込めばバチりと合う視線。
それも一瞬で逸らされる。
(…あれ?なんか顔、)
赤い。
「…BBちゃんのせいだ…」
「は?BB?」
右手で口元を隠して、斜め左下へ視線を落とすリツカ。
少し恨みがましくボソボソと呟いた彼女の声を、俺が聞き逃すはずもなく。
「………………、」
無言で俺のパーカーを掴んだかと思えば、これまた手早くファスナーを上まで上げられた。
なんでだ!
「ちょ、マスター。流石にこれは暑いんっすけど」
「…み、見えてるんだもん」
ごにょごにょとこれまた彼女にしては珍しく、歯切れが悪そうに口篭る。
何が・とは聞かない。
あぁ、何となく察したさ。
「いやいや、野郎の胸見てもなんともないっしょ。円卓の英霊だって、シャツ全開ですし」
「彼らは色物だから何ともないの。」
色物。
かの有名な円卓の騎士達が聞いたら泣きだすぞ。
いや、確かに第六特異点ではかなり苦労をかけさせられたが。
…彼らの素は、まぁ確かにちょっと頭のネジが二・三本取れていると言っても過言ではないのが悲しい事実だ。
残念なくらいに庶民派のウチのマスターからしたら、あまりにも騎士らしい態度は未だに慣れないらしい。
庶民よりの俺からしたら安心なのだが。
いや、そんなことよりこの暑い格好をどうにかしなければ。
「別にいいっしょ、ここはルルハワだぜ?」
「ロビンの肌はエッチなの。スケベなの。…霊基再臨する度に薄着になっていくし、」
どういう理屈だ。
人を歩く猥褻物みたいに言わないで欲しい。
それを言うならメルトリリスに言ってくれ。あとそこら辺を闊歩している、水着の女性サーヴァントに。
「えぇ…言いがかりじゃないですか。」
「普段厚着をしている人がね、突然二の腕とか胸板晒したら、見慣れていない分エッチに見えるの!」
きいきいと力説するマスターを眺めながら、あぁなるほど・と納得してしまった。
普段着込んでいるカルデアの制服や魔術協会の制服をはじめとして、彼女の普段の格好はきっちりしている。
それがどうだ。
今は礼装とはいえ水着だ。
布面積が普段の10分の1かもしれないこの姿は、眼福を通り越して目に毒だ。
「なるほどね、見慣れていない分やらしく見える、と。」
「分かってくれて何より。」
ほっと溜息をつくマスターを見て、俺は思わず口元が緩んだ。
だったら尚更。
「じゃあ、ほら。」
「へ、」
不本意ながらBBチョイスのパーカーをリツカの肩にかけてやれば、面白いほどに狼狽える彼女。
小さい身体に、大きな男物のパーカー。
…ある意味これも目に毒かもしれない。
なるほど、以前黒髭のオッサンが言っていた着衣エロってヤツか。
「ろ、ロビン?話、聞いてた!?」
「聞いてたぜー?だからオタクに着せてんの」
まぁ年頃の娘がやたらめったらに肌を晒すよりはいいだろう。
数瞬考えた後、意味が理解できたのかカッと染まる頬。
あぁ、他のヤツらにそんな顔見せてくれるなよ、マスター。
「見慣れてないなら、見慣れれば何ともないっしょ」
「そ、そういう問題なの?」
「そーゆー問題なんですよ、と。」
習うより慣れろ・じゃないが、見慣れさせてしまえばこっちのものだ。
確かに羽織一枚なくなってしまっては、なんとなく心許ないが…まぁ良しとしよう。
「日差しも強いしな。いいから着ときなさい」
「ええっと、その、あ…ありがとう…」
どうせ自分の事に頓着のない彼女のことだ。
気の利く後輩が声をかけなければ日焼け止めもマメに塗り直したりしていないのだろう。
「ほら。早く戻らねーとマシュ嬢ちゃんが心配しますよ」
「う、うん。」
くしゃりと頭をひと撫ですれば、大きくひとつ頷いて走り出すリツカ。
あぁ、砂浜でそんなに走ったらコケてしまわないだろうか。
俺は気が気じゃなくて、彼女の後ろ姿が見えなくなるまでつい見送ってしまった。
ふわりと風に靡く常夏柄のパーカーが、何だか普段より眩しく見えた。
サマー・マーキング
「まるで『俺の女』アピールみたいですねぇ、ロビンさん」
「げ、BB。見てたのかよ」