とあるカルデアの一幕
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それはまだ、俺がここに来たばかりの話だ。
言葉に形があるのなら
「ロビン、包帯解けてるよ」
俺の左腕を見た彼女は、そう言った。
「ん?あぁ、」
ボロボロの布切れになった包帯は、まぁ一言で言うと見窄らしいの一言に尽きた。
ヨレヨレになっているし、薄汚れている。
それでも俺は別に気にはしなかった。…というより、俺なんかによく気がつくものだ・と目の前のマスターに対して呆れさえした。
「怪我している…わけじゃないんだよね?」
「サポーターみたいなモンですよ」
そう適当に答えれば、数秒考えた後にマスターは小さく頷いて顔を上げた。
「そっか、片手じゃ巻きにくいもんね。マシュ、包帯ってあったっけ?」
「はい!ありますよ。先輩」
淡い桃色の髪を揺らして盾の嬢ちゃんが包帯を差し出す。
基本的にこういう医療道具は、生身の人間である目の前の彼女用だ。
いやいや、こんなとこで無駄遣いしてどうすんのさ。
「いや、それアンタ用でしょうが」
「大丈夫だよ。今日はロビンがいるし」
どういう理屈なんだ。
解けかかっていた包帯をスルスルと解き、手早く巻く…かと思いきや、意外とモタモタと巻いている。
慣れていないのだろう。彼女はつい先日まで一般人だったと聞いている。
平和な世の中で包帯を巻く・だなんて、医者でもなければ滅多にないはずだ。
それでも丁寧に、解けないようにきちんと巻き直すあたり、彼女の誠実で几帳面な性格が出ているようだった。
「ほら、私が後方指示、ロビンが後方支援。他の人達が前衛ファイト…だったっけ?」
クスクスと目の前の彼女が悪戯っぽく笑う。
あぁ、確かにそんなことも言った気がする。
どこかの赤い弓兵はマスターを守る気が更々ないのか、短剣を握って前線で戦っているが。
「いつもありがとうね、ロビン」
フードの影の下で、マスターがふわりと微笑む。
蜂蜜色の大きな瞳がとろりと弓形になる顔が、俺は嫌いじゃなかった。
もっと見ていたい。
いや、俺なんかに頼るもんじゃない。
相反する自分の中の感情がせめぎ合って、渦巻いて、俺は上手いこと言葉にできなかった。
「…おたくも物好きだねぇ」
「そうかな?」
皮肉ったような物言いも通じていないのか、彼女ははにかんで笑う。
草木が多い茂る森の中で立ち上がり、うんと背伸びをするマスター。
木々の隙間から降り注ぐ木漏れ日が、茜色の髪をキラキラと照らす。
あぁ、まるでこの色は、太陽だ。
「さて、休憩終わり!続き、行こうか。マシュ!」
くるりと踵を返して、少し離れた場所で休んでいた後輩に声を掛ける。
盾を携えた少女が立ち上がれば、周りにいた他の英霊もゆっくりと腰を上げた。
讃えられた英霊ばかりで相変わらず居心地は少し悪いこの場所も、
(礼を言うのは、俺の方だろ)
彼女の隣は悪くない。
ほんの少しだけ、そう思ってしまった。
綺麗に巻き直された包帯をひと撫でして、俺は木の根元からゆっくりと立ち上がった。
言葉に形があるのなら
「ロビン、包帯解けてるよ」
俺の左腕を見た彼女は、そう言った。
「ん?あぁ、」
ボロボロの布切れになった包帯は、まぁ一言で言うと見窄らしいの一言に尽きた。
ヨレヨレになっているし、薄汚れている。
それでも俺は別に気にはしなかった。…というより、俺なんかによく気がつくものだ・と目の前のマスターに対して呆れさえした。
「怪我している…わけじゃないんだよね?」
「サポーターみたいなモンですよ」
そう適当に答えれば、数秒考えた後にマスターは小さく頷いて顔を上げた。
「そっか、片手じゃ巻きにくいもんね。マシュ、包帯ってあったっけ?」
「はい!ありますよ。先輩」
淡い桃色の髪を揺らして盾の嬢ちゃんが包帯を差し出す。
基本的にこういう医療道具は、生身の人間である目の前の彼女用だ。
いやいや、こんなとこで無駄遣いしてどうすんのさ。
「いや、それアンタ用でしょうが」
「大丈夫だよ。今日はロビンがいるし」
どういう理屈なんだ。
解けかかっていた包帯をスルスルと解き、手早く巻く…かと思いきや、意外とモタモタと巻いている。
慣れていないのだろう。彼女はつい先日まで一般人だったと聞いている。
平和な世の中で包帯を巻く・だなんて、医者でもなければ滅多にないはずだ。
それでも丁寧に、解けないようにきちんと巻き直すあたり、彼女の誠実で几帳面な性格が出ているようだった。
「ほら、私が後方指示、ロビンが後方支援。他の人達が前衛ファイト…だったっけ?」
クスクスと目の前の彼女が悪戯っぽく笑う。
あぁ、確かにそんなことも言った気がする。
どこかの赤い弓兵はマスターを守る気が更々ないのか、短剣を握って前線で戦っているが。
「いつもありがとうね、ロビン」
フードの影の下で、マスターがふわりと微笑む。
蜂蜜色の大きな瞳がとろりと弓形になる顔が、俺は嫌いじゃなかった。
もっと見ていたい。
いや、俺なんかに頼るもんじゃない。
相反する自分の中の感情がせめぎ合って、渦巻いて、俺は上手いこと言葉にできなかった。
「…おたくも物好きだねぇ」
「そうかな?」
皮肉ったような物言いも通じていないのか、彼女ははにかんで笑う。
草木が多い茂る森の中で立ち上がり、うんと背伸びをするマスター。
木々の隙間から降り注ぐ木漏れ日が、茜色の髪をキラキラと照らす。
あぁ、まるでこの色は、太陽だ。
「さて、休憩終わり!続き、行こうか。マシュ!」
くるりと踵を返して、少し離れた場所で休んでいた後輩に声を掛ける。
盾を携えた少女が立ち上がれば、周りにいた他の英霊もゆっくりと腰を上げた。
讃えられた英霊ばかりで相変わらず居心地は少し悪いこの場所も、
(礼を言うのは、俺の方だろ)
彼女の隣は悪くない。
ほんの少しだけ、そう思ってしまった。
綺麗に巻き直された包帯をひと撫でして、俺は木の根元からゆっくりと立ち上がった。