aster days
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「名無し、お主の飯が美味いと喜助から聞いたぞ!儂らにも振舞ってくれ!」
今日の最初の客人は、夜一と砕蜂だった。
aster days#09.5
「今日の夕飯は鯖の味噌煮ですけど、いいですか?」
「うむ。儂も砕蜂も魚が好きじゃからの」
つい先日、知り合った砕蜂は物珍しそうに部屋を眺めている。
確か浦原さんと仲が悪い…というか一方的に嫌っているとは聞いたけども、実際のところはどうなのだろう。
「戻りましたよ…っと夜一サン、砕蜂サン。こんばんは」
「あ、浦原さん。お疲れ様です」
「邪魔しておるぞ」
空になった弁当を受け取る。手に取った軽さからして、きちんと昼食を食べたらしい。
少し安心した。
夜一は気安く片手を上げ、砕蜂は嫌そうに眉を寄せてそっぽを向いてしまった。
「今日の夕飯は何ですか?」
「鯖の味噌煮ですよ」
「あぁ、それで」
魚がメニューだからやってきたのか、と納得する浦原。
それにしても、夕飯のメニューなんてどこから聞きつけたのだろう。
「支度するので、少し待っててくださいね」
***
「美味い…」
感嘆したようにしみじみ呟く砕蜂サン。
夜一サンは満足そうに頬張っている辺り、お気に召したらしい。
「おかわりありますから、しっかり召し上がってくださいね」
「すまない、ありがとう。あっ!夜一様、それは私の鯖」
「固いこと言うでない、砕蜂」
「夜一さん、ダメですよ。育ち盛りの子のおかずを取っちゃあ」
「む、儂だって育ち盛りじゃぞ」
自分の胸を掴んで、ほれと見せてくる。
…それはまだ育っているんスか。
「もう一品作ってきますから、待っててください」
箸を置いて、座布団から腰をあげる名無しサン。
一家の母親は…あんな感じなのだろうか。
「浦原、貴様弁当も作って貰っているのか」
「そうっスよ。ありがたい話ですよ、いやホント」
研究に没頭していたら昼食の時間すら惜しいと感じていたため、最初は不思議な感じだった。
しかしあの手この手とメニューを変えてくるものだから、最近はすっかり昼の楽しみになってしまった。
「四楓院の料理人の食事より、こっちの飯の方が儂は好きじゃのぅ」
家庭の味じゃな、と言いながら味噌汁を啜る夜一サン。
まぁ確かに、上流貴族の食事はかなりお上品で満腹感は少ない。彼女はこっちの方が好みだろう。
「弁当か…羨ましい…!」
「そうじゃそうじゃ!儂らにも弁当を作って貰おうぞ、のぅ砕蜂」
「駄目っスよ〜、名無しサンが忙しくなっちゃうじゃないっスか」
「なんの話です?」
小松菜とツナの炒め物を持ってきた名無しサンが食卓へ戻ってきた。
丁寧に机の上に置けば、真っ先に夜一サンが箸を伸ばす。
「いやぁ、何でもないっスよ」
「?、あぁそうだ。羊羹とスコーン作ったんですけど、お土産に持って帰られますか?」
「「すこーん?」」
「はい。洋菓子ですね。今日芋羊羹を作って、山本総隊長に感想を頂くついでに作ったんです。
副隊長の雀部さんが紅茶に最近こってると聞いたのを思い出して」
「名無しサン、いつの間にそんなコミュニティ広がってるんスか」
山本総隊長のところへ挨拶へ連れていったのはここ最近の話だ。
手土産に栗羊羹を作って持っていったのは知っている。それを総隊長がいたく気に入ったのも。
名無しサンが尸魂界へ客人として迎えられたと同時に『妙な研究も程々に』と少しばかり叱られてしまった。
あの総隊長に羊羹の試食の感想を聞きに行くなんて、世界狭しといえど名無しサンくらいだろう。
「ダメですか?」
「いや、いいんスけど」
「こりゃ大物になるのぉ、名無し」
それから瀞霊廷で『名無しサンのご飯』が爆発的に流行ることになるのは、もう少し先の話。
今日の最初の客人は、夜一と砕蜂だった。
aster days#09.5
「今日の夕飯は鯖の味噌煮ですけど、いいですか?」
「うむ。儂も砕蜂も魚が好きじゃからの」
つい先日、知り合った砕蜂は物珍しそうに部屋を眺めている。
確か浦原さんと仲が悪い…というか一方的に嫌っているとは聞いたけども、実際のところはどうなのだろう。
「戻りましたよ…っと夜一サン、砕蜂サン。こんばんは」
「あ、浦原さん。お疲れ様です」
「邪魔しておるぞ」
空になった弁当を受け取る。手に取った軽さからして、きちんと昼食を食べたらしい。
少し安心した。
夜一は気安く片手を上げ、砕蜂は嫌そうに眉を寄せてそっぽを向いてしまった。
「今日の夕飯は何ですか?」
「鯖の味噌煮ですよ」
「あぁ、それで」
魚がメニューだからやってきたのか、と納得する浦原。
それにしても、夕飯のメニューなんてどこから聞きつけたのだろう。
「支度するので、少し待っててくださいね」
***
「美味い…」
感嘆したようにしみじみ呟く砕蜂サン。
夜一サンは満足そうに頬張っている辺り、お気に召したらしい。
「おかわりありますから、しっかり召し上がってくださいね」
「すまない、ありがとう。あっ!夜一様、それは私の鯖」
「固いこと言うでない、砕蜂」
「夜一さん、ダメですよ。育ち盛りの子のおかずを取っちゃあ」
「む、儂だって育ち盛りじゃぞ」
自分の胸を掴んで、ほれと見せてくる。
…それはまだ育っているんスか。
「もう一品作ってきますから、待っててください」
箸を置いて、座布団から腰をあげる名無しサン。
一家の母親は…あんな感じなのだろうか。
「浦原、貴様弁当も作って貰っているのか」
「そうっスよ。ありがたい話ですよ、いやホント」
研究に没頭していたら昼食の時間すら惜しいと感じていたため、最初は不思議な感じだった。
しかしあの手この手とメニューを変えてくるものだから、最近はすっかり昼の楽しみになってしまった。
「四楓院の料理人の食事より、こっちの飯の方が儂は好きじゃのぅ」
家庭の味じゃな、と言いながら味噌汁を啜る夜一サン。
まぁ確かに、上流貴族の食事はかなりお上品で満腹感は少ない。彼女はこっちの方が好みだろう。
「弁当か…羨ましい…!」
「そうじゃそうじゃ!儂らにも弁当を作って貰おうぞ、のぅ砕蜂」
「駄目っスよ〜、名無しサンが忙しくなっちゃうじゃないっスか」
「なんの話です?」
小松菜とツナの炒め物を持ってきた名無しサンが食卓へ戻ってきた。
丁寧に机の上に置けば、真っ先に夜一サンが箸を伸ばす。
「いやぁ、何でもないっスよ」
「?、あぁそうだ。羊羹とスコーン作ったんですけど、お土産に持って帰られますか?」
「「すこーん?」」
「はい。洋菓子ですね。今日芋羊羹を作って、山本総隊長に感想を頂くついでに作ったんです。
副隊長の雀部さんが紅茶に最近こってると聞いたのを思い出して」
「名無しサン、いつの間にそんなコミュニティ広がってるんスか」
山本総隊長のところへ挨拶へ連れていったのはここ最近の話だ。
手土産に栗羊羹を作って持っていったのは知っている。それを総隊長がいたく気に入ったのも。
名無しサンが尸魂界へ客人として迎えられたと同時に『妙な研究も程々に』と少しばかり叱られてしまった。
あの総隊長に羊羹の試食の感想を聞きに行くなんて、世界狭しといえど名無しサンくらいだろう。
「ダメですか?」
「いや、いいんスけど」
「こりゃ大物になるのぉ、名無し」
それから瀞霊廷で『名無しサンのご飯』が爆発的に流行ることになるのは、もう少し先の話。