short story
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「ただいまァ…っと。」
「おかえり、銀時。手洗いうがいは?」
「したした。即行したに決まってんだろ?」
そう。
そう言わなければ目の前の生真面目なお医者様は眉を顰めるから。
あと、仕事を頑張った『ご褒美』もおねだりさせてくれないから。
「なぁ名無し、」
「なに?」
「おかえりのチュー。」
四捨五入してしまえば完全なアラサーの男が言うセリフではないのは重々承知だ。
それでもほら、たまには恋人からキスしてほしいというか何というか。
…欲望が過ぎる・って?ほっといてくれ。
「へ。そ、そんな習慣、ウチにはないよ!?」
「いいじゃねーか。
手洗いうがいも完璧。仕事を頑張ってきた恋人にご褒美だと思って、100回や200回くらい…」
「多くない!?せめて1回か2回だよね、ケタが違うから!」
「ん?1回か2回ならしてくれんの?」
ニタニタと底意地の悪い笑顔で見下ろせば、名無しは『しまった』と言わんばかりの顔で口元を慌てて抑える。
誘導尋問?いやいや、人聞きの悪い。駆け引きと言ってほしい。
「…ほっぺなら、」
「口に決まってんだろ?なんのためにうがいしたと思ってんだよ」
「風邪予防のためだよね?」
まぁ普通はそうだろう。
けど俺は大前提に『名無しに風邪をうつさないため』と付け足しておいて欲しい。
うーうーと真っ赤な顔で唸る名無しが腹を括ったように、その柔らかそうな唇でボソボソと言葉を紡ぐ。
「……じゃ、じゃあ、しゃがんでよ、」
「ん。」
名無しが背伸びすれば届く高さまで屈んでやれば、狼狽えたように視線が揺らぐ赤い瞳。
…俺からキスした時の反応も可愛いけれど、やっぱりいつまで経っても初々しい名無しの反応も見ていて飽きない。
だからこそ、ついついおねだりしてしまうのだけど。
02.3センチ
目を瞑った瞬間、唇へ掠めるように当たる『それ』。
リップクリームでベタベタしているわけでもない、もちろん乾燥しているわけでもない。
程よいしっとりとした肌触りの、まるでマシュマロのような唇が光の速さで離れてしまう。
目を開ければ、鼻先3センチ程向こうに名無しの顔。
頬を紅潮させて、気恥しそうに口元をモゴモゴさせていた。なんなのこの生き物。可愛すぎだろ。
「こ、これでおしま」
「もう1回。」
言いかけた言葉を塞ぐように、今度は俺からキスをお見舞いする。
柔らかい。
甘い。
いい匂い。
――あぁ。こんなささやかな距離、一瞬で縮めてしまえばいい。
「おかえり、銀時。手洗いうがいは?」
「したした。即行したに決まってんだろ?」
そう。
そう言わなければ目の前の生真面目なお医者様は眉を顰めるから。
あと、仕事を頑張った『ご褒美』もおねだりさせてくれないから。
「なぁ名無し、」
「なに?」
「おかえりのチュー。」
四捨五入してしまえば完全なアラサーの男が言うセリフではないのは重々承知だ。
それでもほら、たまには恋人からキスしてほしいというか何というか。
…欲望が過ぎる・って?ほっといてくれ。
「へ。そ、そんな習慣、ウチにはないよ!?」
「いいじゃねーか。
手洗いうがいも完璧。仕事を頑張ってきた恋人にご褒美だと思って、100回や200回くらい…」
「多くない!?せめて1回か2回だよね、ケタが違うから!」
「ん?1回か2回ならしてくれんの?」
ニタニタと底意地の悪い笑顔で見下ろせば、名無しは『しまった』と言わんばかりの顔で口元を慌てて抑える。
誘導尋問?いやいや、人聞きの悪い。駆け引きと言ってほしい。
「…ほっぺなら、」
「口に決まってんだろ?なんのためにうがいしたと思ってんだよ」
「風邪予防のためだよね?」
まぁ普通はそうだろう。
けど俺は大前提に『名無しに風邪をうつさないため』と付け足しておいて欲しい。
うーうーと真っ赤な顔で唸る名無しが腹を括ったように、その柔らかそうな唇でボソボソと言葉を紡ぐ。
「……じゃ、じゃあ、しゃがんでよ、」
「ん。」
名無しが背伸びすれば届く高さまで屈んでやれば、狼狽えたように視線が揺らぐ赤い瞳。
…俺からキスした時の反応も可愛いけれど、やっぱりいつまで経っても初々しい名無しの反応も見ていて飽きない。
だからこそ、ついついおねだりしてしまうのだけど。
02.3センチ
目を瞑った瞬間、唇へ掠めるように当たる『それ』。
リップクリームでベタベタしているわけでもない、もちろん乾燥しているわけでもない。
程よいしっとりとした肌触りの、まるでマシュマロのような唇が光の速さで離れてしまう。
目を開ければ、鼻先3センチ程向こうに名無しの顔。
頬を紅潮させて、気恥しそうに口元をモゴモゴさせていた。なんなのこの生き物。可愛すぎだろ。
「こ、これでおしま」
「もう1回。」
言いかけた言葉を塞ぐように、今度は俺からキスをお見舞いする。
柔らかい。
甘い。
いい匂い。
――あぁ。こんなささやかな距離、一瞬で縮めてしまえばいい。