short story
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深夜。
ソファでうたた寝していたつもりが、時刻はすっかり深夜だった。
時計の針は1時を指し、夕飯時にいたはずの新八と神楽の姿はなかった。
各々就寝したり、家に帰ったのだろう。
気だるい身体を起こせば、肩からずり落ちる毛布。
ノルディック柄の、万事屋に似つかわしくないくらい可愛らしい毛布は見覚えがあった。
『衝動買いしちゃった』と笑いながら名無しが買ってきたものだ。
つーか毛布なんて必需品なんだから、それは衝動買い・っていうのか?
「あ。銀時、起きた?」
台所からひょこりと顔を出すのは、可愛らしい幼馴染。
少し大きめの半纏に袖を通し、手には彼女のお気に入りマグカップだ。
「あー…いつから寝てた?」
「夕飯食べてすぐだから…5時間くらい?」
「げ。」
そんなに寝ていたのか・と銀時は思わず頭を抱えた。
成長期ならまだしも、もう彼もアラサーだ。変な時間に寝てしまったら、今度は夜に眠れなくなるのであって。
「お風呂はどうする?」
「んー…明日入るわ」
不精だと自覚はしているが、今から入れば湯冷めすること間違いなしだろう。
それを分かっているからか「仕方ないなぁ」と名無しは笑いながら肩を竦めた。
「これ飲む?」
「いる。」
可愛いネコのマグカップに並々と入っているのは、ふわふわと甘い匂いを放つ飲み物。
ぷかりと浮かんだ小さいマシュマロがこれまた美味そうだ。
「ココアなんて久しぶりに飲むわ」
「今日診療した女性に、ココアの粉を缶で貰ったの」
なるほど。
「でもこれお前が飲むんじゃなかったのか?」
「まぁまぁ。私のは新しく入れるし。」
ふにゃふにゃと笑いながら名無しが肩を竦める。
ペタペタと裸足で台所に再び戻る彼女の背中を、後追いするように銀時がついて行った。
「どうしたの?」
「名無しちゃんのココアは銀さんが作ってやろうじゃねーか」
――恐らく。いや、確信に近い。
こんな深夜に、マシュマロ浮かべたココアだなんて。
(俺が起きるまで待ってるつもりだったんだろうなァ、コイツ)
そう思うと言葉に出来ない愛しさが腹の奥から湧き上がる。
火をかけていなかったら、今すぐここで思い切り抱きしめてやりたい。
そんな衝動に駆られるが、銀時も一応大人だ。万が一家事になったら方々からお叱りを受けるのだろう。それはご遠慮願いたい。
なけなしの理性で、ぐっと衝動を抑えた。
小鍋でコトコト牛乳を温めて、少し多めにココアの粉を混ぜてやる。
それを覗き込みながら「ねぇ銀時、粉多くない?」と名無しが首を傾げた。
「いーんだよ、濃い方がうめぇだろ?」
甘い彼女には、とびきり甘いご褒美を。
もちろん、愛情は溢れるほどに込めて。
しあわせのレシピ
(一緒に夜更かしできるように、マシュマロも多めに浮かべよう。)
ソファでうたた寝していたつもりが、時刻はすっかり深夜だった。
時計の針は1時を指し、夕飯時にいたはずの新八と神楽の姿はなかった。
各々就寝したり、家に帰ったのだろう。
気だるい身体を起こせば、肩からずり落ちる毛布。
ノルディック柄の、万事屋に似つかわしくないくらい可愛らしい毛布は見覚えがあった。
『衝動買いしちゃった』と笑いながら名無しが買ってきたものだ。
つーか毛布なんて必需品なんだから、それは衝動買い・っていうのか?
「あ。銀時、起きた?」
台所からひょこりと顔を出すのは、可愛らしい幼馴染。
少し大きめの半纏に袖を通し、手には彼女のお気に入りマグカップだ。
「あー…いつから寝てた?」
「夕飯食べてすぐだから…5時間くらい?」
「げ。」
そんなに寝ていたのか・と銀時は思わず頭を抱えた。
成長期ならまだしも、もう彼もアラサーだ。変な時間に寝てしまったら、今度は夜に眠れなくなるのであって。
「お風呂はどうする?」
「んー…明日入るわ」
不精だと自覚はしているが、今から入れば湯冷めすること間違いなしだろう。
それを分かっているからか「仕方ないなぁ」と名無しは笑いながら肩を竦めた。
「これ飲む?」
「いる。」
可愛いネコのマグカップに並々と入っているのは、ふわふわと甘い匂いを放つ飲み物。
ぷかりと浮かんだ小さいマシュマロがこれまた美味そうだ。
「ココアなんて久しぶりに飲むわ」
「今日診療した女性に、ココアの粉を缶で貰ったの」
なるほど。
「でもこれお前が飲むんじゃなかったのか?」
「まぁまぁ。私のは新しく入れるし。」
ふにゃふにゃと笑いながら名無しが肩を竦める。
ペタペタと裸足で台所に再び戻る彼女の背中を、後追いするように銀時がついて行った。
「どうしたの?」
「名無しちゃんのココアは銀さんが作ってやろうじゃねーか」
――恐らく。いや、確信に近い。
こんな深夜に、マシュマロ浮かべたココアだなんて。
(俺が起きるまで待ってるつもりだったんだろうなァ、コイツ)
そう思うと言葉に出来ない愛しさが腹の奥から湧き上がる。
火をかけていなかったら、今すぐここで思い切り抱きしめてやりたい。
そんな衝動に駆られるが、銀時も一応大人だ。万が一家事になったら方々からお叱りを受けるのだろう。それはご遠慮願いたい。
なけなしの理性で、ぐっと衝動を抑えた。
小鍋でコトコト牛乳を温めて、少し多めにココアの粉を混ぜてやる。
それを覗き込みながら「ねぇ銀時、粉多くない?」と名無しが首を傾げた。
「いーんだよ、濃い方がうめぇだろ?」
甘い彼女には、とびきり甘いご褒美を。
もちろん、愛情は溢れるほどに込めて。
しあわせのレシピ
(一緒に夜更かしできるように、マシュマロも多めに浮かべよう。)