short story
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年末。
松下村塾では、毎年恒例で行われている行事がある。
「おい、高杉!いい加減代わらないか!」
「うるせー。いいからさっさと捏ねろよ、ヅラ。」
「ヅラじゃない!桂だ!」
「ってオイ、杵係は次、俺だろうが!」
蒸した餅米を、大きな木製の臼でついては捏ね、捏ねてはついて。
米独特の甘い匂いはどうしてこうも魅力的なのか。
「先生、次のお米蒸せましたけど…」
「あぁ、名無し。まだ終わってないんですよ」
ほら。と指を指しながら、松陽が笑う。
布巾に包んだ餅米を持った名無しが、困ったように肩を小さく竦めた。
笑う門には福来る。#餅つき
「ほら、さっさと準備をしな!」
「お登勢さん…人遣い荒いですよ、もう。」
銀時と新八が重たい石臼を転がしながら店の軒先へ運び出す。
これは先日まで店の倉庫に眠っていたもので、大掃除の際に見つけた代物だった。
勿論、それを綺麗に掃除したのも万事屋の仕事だったのだが。
「私、餅つきなんて初めてアル!」
「私もヨ」
杵を持って嬉しそうにはしゃぐ神楽と、心做しかソワソワと浮き足立っているキャサリンが石臼の周りで待機している。
確かに天人である彼女達にとっては初めての体験かもしれない。
「お登勢さん。準備完了しました」
「蒸したてだから熱いよー。気をつけてね」
スナックお登勢の台所を借りて餅米を蒸した名無しとたまが蒸籠ごと抱えて外に出てくる。
ほわほわと柔らかい蒸気が立ち上り、餅米独特の甘い香りが鼻腔を擽った。
「よっと。」
布巾をひっくり返し石臼に餅米を投入すれば、まだ粒の形がはっきり残ったふわふわのお米が湯気を立てる。
「銀ちゃん、銀ちゃん!もうこれついてもいいアルか!?」
「馬鹿。最初から振り下ろしたら餅米が飛び散るだろーが。最初は丹念に練るんだよ。」
銀時が神楽から杵を取り上げ「貸してみろ」と手本を見せる。
よくテレビで見る餅つきの様子ではなく、それは正直地味なものだった。
「…地味ですね」
「地味アル。」
「これは手早くやらねーといけねーし、腰使うし重労働なんだぞ。」
ブツブツ文句を言いながらも、丁寧に餅米を潰していく銀時。
何だかんだで仕事が丁寧で、様子を見ていた名無しは思わず笑ってしまった。
「なんだよ、名無し」
「いや?そういう妙な所で凝り性なのは銀時らしいな・って。」
「性分だ、性分。ほら、合いの手。」
「はいはい。」
ぬるま湯で手を濡らして手早く餅を畳めば、息がぴったりあった餅つきが始まる。
ついては捏ね、捏ねてはついて。
意外と手馴れた様子に思わずお登勢も食い入るように見入った。
「アンタら、慣れたもんだね」
「当たり前だろー?愛の共同作業はお手の物だぞ?なー名無し。」
「昔、餅つきは毎年していたので。」
「スルーはやめて!名無しちゃん!」
***
「これ楽しいアルネ、新八!」
「ちょっと、そろそろ代わってよ、神楽ちゃん」
「嫌アル。」
「即答!?」
二回目に蒸した餅米を、見様見真似でついていく神楽と新八。
その様子をぼんやり眺めながら銀時はのんびり餅とり粉で餅を丸めていた。
流石にずっと杵でついていたら腕も疲れる。
「銀時、食べる?」
つきたての餅を一口大に丸め、きな粉をまぶしたきな粉餅。
柔らかく、出来たての餅ならではの一品だ。
「食う。」
「ん。」
餌をねだる雛鳥のように口を開ける銀時へきな粉餅を入れてやれば、これまた嬉しそうに目元を綻ばせて咀嚼する。
口の端に黄金色のきな粉がついているのは、ご愛嬌といったところか。
「銀時、きな粉ついてるよ。」
「ん。」
ずいっと顔を突き出してくる銀時に呆れ、指先で拭うようにきな粉を払う。
妙な所で甘えっ子なのも、昔から変わらない。
「あんころ餅、あんの?」
「後で作ろうかと。今あんこをお登勢さんとキャサリンが準備してくれてるよ」
そう答えれば「楽しみだな」と銀時は無邪気に笑う。
昔見た、子供の頃と変わらない。いつも通りの笑顔で。
(その笑顔は反則だよねぇ)
余程あんころ餅が楽しみなのか、先程とは打って変わって機嫌よく餅を丸める銀時。
来年も、再来年も、ずっとずっと笑顔で年越しが出来ますように。……なーんて。
松下村塾では、毎年恒例で行われている行事がある。
「おい、高杉!いい加減代わらないか!」
「うるせー。いいからさっさと捏ねろよ、ヅラ。」
「ヅラじゃない!桂だ!」
「ってオイ、杵係は次、俺だろうが!」
蒸した餅米を、大きな木製の臼でついては捏ね、捏ねてはついて。
米独特の甘い匂いはどうしてこうも魅力的なのか。
「先生、次のお米蒸せましたけど…」
「あぁ、名無し。まだ終わってないんですよ」
ほら。と指を指しながら、松陽が笑う。
布巾に包んだ餅米を持った名無しが、困ったように肩を小さく竦めた。
笑う門には福来る。#餅つき
「ほら、さっさと準備をしな!」
「お登勢さん…人遣い荒いですよ、もう。」
銀時と新八が重たい石臼を転がしながら店の軒先へ運び出す。
これは先日まで店の倉庫に眠っていたもので、大掃除の際に見つけた代物だった。
勿論、それを綺麗に掃除したのも万事屋の仕事だったのだが。
「私、餅つきなんて初めてアル!」
「私もヨ」
杵を持って嬉しそうにはしゃぐ神楽と、心做しかソワソワと浮き足立っているキャサリンが石臼の周りで待機している。
確かに天人である彼女達にとっては初めての体験かもしれない。
「お登勢さん。準備完了しました」
「蒸したてだから熱いよー。気をつけてね」
スナックお登勢の台所を借りて餅米を蒸した名無しとたまが蒸籠ごと抱えて外に出てくる。
ほわほわと柔らかい蒸気が立ち上り、餅米独特の甘い香りが鼻腔を擽った。
「よっと。」
布巾をひっくり返し石臼に餅米を投入すれば、まだ粒の形がはっきり残ったふわふわのお米が湯気を立てる。
「銀ちゃん、銀ちゃん!もうこれついてもいいアルか!?」
「馬鹿。最初から振り下ろしたら餅米が飛び散るだろーが。最初は丹念に練るんだよ。」
銀時が神楽から杵を取り上げ「貸してみろ」と手本を見せる。
よくテレビで見る餅つきの様子ではなく、それは正直地味なものだった。
「…地味ですね」
「地味アル。」
「これは手早くやらねーといけねーし、腰使うし重労働なんだぞ。」
ブツブツ文句を言いながらも、丁寧に餅米を潰していく銀時。
何だかんだで仕事が丁寧で、様子を見ていた名無しは思わず笑ってしまった。
「なんだよ、名無し」
「いや?そういう妙な所で凝り性なのは銀時らしいな・って。」
「性分だ、性分。ほら、合いの手。」
「はいはい。」
ぬるま湯で手を濡らして手早く餅を畳めば、息がぴったりあった餅つきが始まる。
ついては捏ね、捏ねてはついて。
意外と手馴れた様子に思わずお登勢も食い入るように見入った。
「アンタら、慣れたもんだね」
「当たり前だろー?愛の共同作業はお手の物だぞ?なー名無し。」
「昔、餅つきは毎年していたので。」
「スルーはやめて!名無しちゃん!」
***
「これ楽しいアルネ、新八!」
「ちょっと、そろそろ代わってよ、神楽ちゃん」
「嫌アル。」
「即答!?」
二回目に蒸した餅米を、見様見真似でついていく神楽と新八。
その様子をぼんやり眺めながら銀時はのんびり餅とり粉で餅を丸めていた。
流石にずっと杵でついていたら腕も疲れる。
「銀時、食べる?」
つきたての餅を一口大に丸め、きな粉をまぶしたきな粉餅。
柔らかく、出来たての餅ならではの一品だ。
「食う。」
「ん。」
餌をねだる雛鳥のように口を開ける銀時へきな粉餅を入れてやれば、これまた嬉しそうに目元を綻ばせて咀嚼する。
口の端に黄金色のきな粉がついているのは、ご愛嬌といったところか。
「銀時、きな粉ついてるよ。」
「ん。」
ずいっと顔を突き出してくる銀時に呆れ、指先で拭うようにきな粉を払う。
妙な所で甘えっ子なのも、昔から変わらない。
「あんころ餅、あんの?」
「後で作ろうかと。今あんこをお登勢さんとキャサリンが準備してくれてるよ」
そう答えれば「楽しみだな」と銀時は無邪気に笑う。
昔見た、子供の頃と変わらない。いつも通りの笑顔で。
(その笑顔は反則だよねぇ)
余程あんころ餅が楽しみなのか、先程とは打って変わって機嫌よく餅を丸める銀時。
来年も、再来年も、ずっとずっと笑顔で年越しが出来ますように。……なーんて。