short story
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珍しい。
いや、本当に珍しい。名無しがうたた寝しているではないか。
万事屋のソファに座ったまま、首を擡げて寝息を立てている名無し。
暖かくなってきたとはいえ、まだ昼寝するには肌寒い季節だ。
定春がいるのなら大きな湯たんぽになるのだろうが、生憎万事屋のマスコットキャラクターは飼い主の神楽と散歩中だった。
「…仕方ねぇ、毛布でも掛けてやるか。」
普段俺がうたた寝をして、名無しが毛布を掛けてくれるのがいつものパターンだ。
まさか逆の立場になる日が来ようとは。
ふわふわの毛足が心地いいブランケットを取り出し、少しでも温かくなるように二つ折りにする。
これで肌寒いということはないだろう。中々の厚みになるのだから。
冷えやすい腹部から足元に掛けた、時だった。
「んぅ…」
「う、お!?」
不意に掴まれた腕。
バランスを崩した俺はそのままなす術もなく、呆気なく押し倒されてしまった。
時々忘れてしまうが、中々名無しは腕が立つ。
…少なくとも獰猛な動物を簡単に仕留めてしまう程には。野生児か。
うっかり打ってしまった腰と頭が痛い。
悶絶する程ではないにせよ、思わず声を上げてしまうくらいには。
「ってぇ……」
「…すぅ…すぅ……」
俺の腹の上で、腰に抱きつくような形で熟睡する名無し。本当に寝付きがいいなチクショウ。
まさか押し倒されるシチュエーションまで逆転するとは、夢にも思わなかったが。
「…オーイ、名無しちゃーん…?」
「……すぅ…」
あ。ダメだこりゃ。起きねぇな。
毛布より俺で暖をとる方が心地いいのだろうか。猫のように頬擦りをして熟睡する様は、可愛いの一言に尽きた。
そんな顔をするなんて、本当に彼女はズルいヤツだ。
「…名無し~、銀さんレンタルは高くつくからな~」
延滞料金は身体で払ってもらうとするか。
一方的に理不尽な契約を取り決めて、俺は床に落ちたブランケットを彼女の背中に掛けるのだった。
16.うたた寝
たまには押し倒されるのも悪くないな・と心の中でほくそ笑みながら。
いや、本当に珍しい。名無しがうたた寝しているではないか。
万事屋のソファに座ったまま、首を擡げて寝息を立てている名無し。
暖かくなってきたとはいえ、まだ昼寝するには肌寒い季節だ。
定春がいるのなら大きな湯たんぽになるのだろうが、生憎万事屋のマスコットキャラクターは飼い主の神楽と散歩中だった。
「…仕方ねぇ、毛布でも掛けてやるか。」
普段俺がうたた寝をして、名無しが毛布を掛けてくれるのがいつものパターンだ。
まさか逆の立場になる日が来ようとは。
ふわふわの毛足が心地いいブランケットを取り出し、少しでも温かくなるように二つ折りにする。
これで肌寒いということはないだろう。中々の厚みになるのだから。
冷えやすい腹部から足元に掛けた、時だった。
「んぅ…」
「う、お!?」
不意に掴まれた腕。
バランスを崩した俺はそのままなす術もなく、呆気なく押し倒されてしまった。
時々忘れてしまうが、中々名無しは腕が立つ。
…少なくとも獰猛な動物を簡単に仕留めてしまう程には。野生児か。
うっかり打ってしまった腰と頭が痛い。
悶絶する程ではないにせよ、思わず声を上げてしまうくらいには。
「ってぇ……」
「…すぅ…すぅ……」
俺の腹の上で、腰に抱きつくような形で熟睡する名無し。本当に寝付きがいいなチクショウ。
まさか押し倒されるシチュエーションまで逆転するとは、夢にも思わなかったが。
「…オーイ、名無しちゃーん…?」
「……すぅ…」
あ。ダメだこりゃ。起きねぇな。
毛布より俺で暖をとる方が心地いいのだろうか。猫のように頬擦りをして熟睡する様は、可愛いの一言に尽きた。
そんな顔をするなんて、本当に彼女はズルいヤツだ。
「…名無し~、銀さんレンタルは高くつくからな~」
延滞料金は身体で払ってもらうとするか。
一方的に理不尽な契約を取り決めて、俺は床に落ちたブランケットを彼女の背中に掛けるのだった。
16.うたた寝
たまには押し倒されるのも悪くないな・と心の中でほくそ笑みながら。