short story
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「土方さん、またタバコをカートンで買いましたね?」
それはそれは見惚れてしまう程に完璧な笑顔。
無邪気に笑ういつものソレではなく、営業スマイルでもない。
一片の文句もつけようのない笑顔は、怒っている証だ。俺はそれを身をもって知っている。
「んなわけ、」
「沖田さんから聞きましたけど。」
総悟ォォォあの野郎ォォォ!!
「………………………口寂しいのが悪いんだよ」
「タバコ吸うよりかは、マヨネーズ吸ってる方がまだ身体にいいのでは?」
「オイ。仕事中にマヨネーズ吸ってる副長なんざ、威厳もあったもんじゃねぇだろうが」
「お昼ご飯にマヨネーズ丼食べているのも大概ですけどね。」
ピシャリと。尤もらしい反論に俺はぐうの音も出なかった。
マヨネーズもタバコも必需品だ。言わばガソリンみたいなものなんだから仕方ねぇだろうが。
「普段怒りっぽいし、血圧だって高めなんですから。上手いことストレス発散方法見つけなきゃ身体に毒ですよ?」
「分かってらァ、ンなこと」
強いて言うなら彼女が回診に来る日がストレス発散日だろうか。
口が堅いし、何より医者らしい小言がなければ、俺の周りにいる中でも貴重な『常識人らしいまともな女』のひとりだ。
…いや、むしろ彼女くらいだろう。まともな女は。
「まずはタバコの本数を減らせるように心掛けましょう!」
そう言って名無しは小指を俺の目の前に突き出してくる。
…なんで小指なんだ?
「なんだよ。」
「血判付きの誓約書を書かせてもいいんですけど、まずは指切りからしましょう。なるべく気軽な気持ちで取り組んだ方がストレスになりにくいですし」
血判って。
攘夷志士の名簿ですら、最近は血判なんかしねーぞ。
「指切りって、ガキじゃあるめェし、」
「はい、つべこべ言わない。」
有無を言わさぬ声。
俺の右手を取り、絡められる細い指。
冷たいような温かいような。
曖昧な体温の名無しの小指はさらりと指触りがよく、程よく柔らかかった。
(女の、手だ)
思わず高鳴った鼓動に気づかないフリをして、俺はされるがままに指切りをさせられた。
14.指切り
「指切りげーんまん、嘘ついたら大通りで切~腹、」
「オイィィィ!血判付きの誓約書の方がマシじゃねーか!」
前言撤回、やっぱり俺の周りの女はまともなヤツがいない。
それはそれは見惚れてしまう程に完璧な笑顔。
無邪気に笑ういつものソレではなく、営業スマイルでもない。
一片の文句もつけようのない笑顔は、怒っている証だ。俺はそれを身をもって知っている。
「んなわけ、」
「沖田さんから聞きましたけど。」
総悟ォォォあの野郎ォォォ!!
「………………………口寂しいのが悪いんだよ」
「タバコ吸うよりかは、マヨネーズ吸ってる方がまだ身体にいいのでは?」
「オイ。仕事中にマヨネーズ吸ってる副長なんざ、威厳もあったもんじゃねぇだろうが」
「お昼ご飯にマヨネーズ丼食べているのも大概ですけどね。」
ピシャリと。尤もらしい反論に俺はぐうの音も出なかった。
マヨネーズもタバコも必需品だ。言わばガソリンみたいなものなんだから仕方ねぇだろうが。
「普段怒りっぽいし、血圧だって高めなんですから。上手いことストレス発散方法見つけなきゃ身体に毒ですよ?」
「分かってらァ、ンなこと」
強いて言うなら彼女が回診に来る日がストレス発散日だろうか。
口が堅いし、何より医者らしい小言がなければ、俺の周りにいる中でも貴重な『常識人らしいまともな女』のひとりだ。
…いや、むしろ彼女くらいだろう。まともな女は。
「まずはタバコの本数を減らせるように心掛けましょう!」
そう言って名無しは小指を俺の目の前に突き出してくる。
…なんで小指なんだ?
「なんだよ。」
「血判付きの誓約書を書かせてもいいんですけど、まずは指切りからしましょう。なるべく気軽な気持ちで取り組んだ方がストレスになりにくいですし」
血判って。
攘夷志士の名簿ですら、最近は血判なんかしねーぞ。
「指切りって、ガキじゃあるめェし、」
「はい、つべこべ言わない。」
有無を言わさぬ声。
俺の右手を取り、絡められる細い指。
冷たいような温かいような。
曖昧な体温の名無しの小指はさらりと指触りがよく、程よく柔らかかった。
(女の、手だ)
思わず高鳴った鼓動に気づかないフリをして、俺はされるがままに指切りをさせられた。
14.指切り
「指切りげーんまん、嘘ついたら大通りで切~腹、」
「オイィィィ!血判付きの誓約書の方がマシじゃねーか!」
前言撤回、やっぱり俺の周りの女はまともなヤツがいない。