茜色ノ小鬼//人に焦がれた鬼
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「ひぇぇっ!」
「何をそんなに怖がるんですか」
外は雨。
稲光した後に腹の底まで響くような轟音が鳴り響く。
目の前の彼女は、まるで警戒している猫のように目を見開いている。
珍しく私の袈裟にしがみつき、普段では聞けないような情けない声を出していた。
「たかだか雷ですよ?」
「うう…天災ほど怖いものはありませんよ…」
いつも笑っている彼女にしては珍しく、顰め面で抗議してくる。
何かを掴んでいなければやってられないのか、袈裟を握る手に込められる力は徐々に強くなるばかりだ。
彼女がいる甘えてくるなんて、初めてではないだろうか。
得も言えぬ、この湧き上がる感情はなんだろう。
「困りましたね。流石に雷は斬れませんから」
何だか可笑しくて、最近覚えたぎこちない笑顔を浮かべて私は言った。
私が笑えば大抵彼女もつられて笑うのだが、今回はそうもいかないらしい。
八の字に寄せられ、刻まれた眉間の皺がなくなくることはなかった。
お手上げだ。
「どうしたら怖くなくなります?」
直球で聞いてみれば、少し躊躇するように口篭る彼女。
珍しく小声で、遠慮がちに見上げてくる表情は素直に可愛らしいと思ってしまった。
「…我儘言ってもいいですか?」
「どうぞ」
促せば、ぽつりと呟かれる一言。
「その、抱いてもらえますか?」
恥ずかしそうに頬を染めて、上目遣いで聞いてくる彼女。
まぁ経験は、ないことはない。
が。今までと違うのは、胸を躍らせる高揚感と満ち足りたような感情で満たされている、ということ。
自然と頬が綻ぶのが自分でも分かった。
「いいですよ。手加減できるかどうかは分かりませんが」
「へ、手加減?」
素っ頓狂な声を上げる彼女を、私が着ていた外套の上に寝そべらせる。
目を白黒させる彼女の表情を見て、何となく勘違いを察するが、もう遅い。
初めてだった。こんなにも人肌が恋しいと思うのは。
触れたいと、願うのは。
「痛かったら爪を立ててもいいですからね。すぐ治りますから」
最初は本当に勘違いだったが、もうこの際だ。無知を装って身体を重ねてしまおう。
彼女の白い鎖骨に唇を落とせば、遠くで雷鳴が聞こえてたような気がした。
茜色ノ小鬼//人に焦がれた鬼#四
「い、意味が違いますよ…!」
「おや、そうでしたか。それは悪いことをしました。でも雷は気にならなかったでしょう?」
一糸纏わぬ姿になった彼女は真っ赤な顔で抗議する。
手繰り寄せるように私の外套で身体を隠しているのものの、チラチラと見える白い肌には赤い鬱血痕が咲いていた。
初めて、口吸いをした。意外と悪くない感覚だ。むしろ少しクセになるかもしれない。
きっと相手が彼女だからだろうけど。
「気になる、というか、それどころじゃなかったと申しますか…」
「あぁ。初めての割には良さそうでしたもんね」
「うわあぁぁぁ……」
最初は痛がっていたが、最後には甘い声を上げていた。
熱に浮かされたような黒い瞳は今思い出しても鼓動が跳ね上がる。
初めて知った、愛おしいという感情。
「さて、まだ雷は止んでいませんし、もう一度しましょうか」
「へ!?ま、待ってください、もう腰が痛くて、」
「大丈夫ですよ、優しくしますから。多分」
まぁ、この約束は守ることが出来なかったのだけれども。
「何をそんなに怖がるんですか」
外は雨。
稲光した後に腹の底まで響くような轟音が鳴り響く。
目の前の彼女は、まるで警戒している猫のように目を見開いている。
珍しく私の袈裟にしがみつき、普段では聞けないような情けない声を出していた。
「たかだか雷ですよ?」
「うう…天災ほど怖いものはありませんよ…」
いつも笑っている彼女にしては珍しく、顰め面で抗議してくる。
何かを掴んでいなければやってられないのか、袈裟を握る手に込められる力は徐々に強くなるばかりだ。
彼女がいる甘えてくるなんて、初めてではないだろうか。
得も言えぬ、この湧き上がる感情はなんだろう。
「困りましたね。流石に雷は斬れませんから」
何だか可笑しくて、最近覚えたぎこちない笑顔を浮かべて私は言った。
私が笑えば大抵彼女もつられて笑うのだが、今回はそうもいかないらしい。
八の字に寄せられ、刻まれた眉間の皺がなくなくることはなかった。
お手上げだ。
「どうしたら怖くなくなります?」
直球で聞いてみれば、少し躊躇するように口篭る彼女。
珍しく小声で、遠慮がちに見上げてくる表情は素直に可愛らしいと思ってしまった。
「…我儘言ってもいいですか?」
「どうぞ」
促せば、ぽつりと呟かれる一言。
「その、抱いてもらえますか?」
恥ずかしそうに頬を染めて、上目遣いで聞いてくる彼女。
まぁ経験は、ないことはない。
が。今までと違うのは、胸を躍らせる高揚感と満ち足りたような感情で満たされている、ということ。
自然と頬が綻ぶのが自分でも分かった。
「いいですよ。手加減できるかどうかは分かりませんが」
「へ、手加減?」
素っ頓狂な声を上げる彼女を、私が着ていた外套の上に寝そべらせる。
目を白黒させる彼女の表情を見て、何となく勘違いを察するが、もう遅い。
初めてだった。こんなにも人肌が恋しいと思うのは。
触れたいと、願うのは。
「痛かったら爪を立ててもいいですからね。すぐ治りますから」
最初は本当に勘違いだったが、もうこの際だ。無知を装って身体を重ねてしまおう。
彼女の白い鎖骨に唇を落とせば、遠くで雷鳴が聞こえてたような気がした。
茜色ノ小鬼//人に焦がれた鬼#四
「い、意味が違いますよ…!」
「おや、そうでしたか。それは悪いことをしました。でも雷は気にならなかったでしょう?」
一糸纏わぬ姿になった彼女は真っ赤な顔で抗議する。
手繰り寄せるように私の外套で身体を隠しているのものの、チラチラと見える白い肌には赤い鬱血痕が咲いていた。
初めて、口吸いをした。意外と悪くない感覚だ。むしろ少しクセになるかもしれない。
きっと相手が彼女だからだろうけど。
「気になる、というか、それどころじゃなかったと申しますか…」
「あぁ。初めての割には良さそうでしたもんね」
「うわあぁぁぁ……」
最初は痛がっていたが、最後には甘い声を上げていた。
熱に浮かされたような黒い瞳は今思い出しても鼓動が跳ね上がる。
初めて知った、愛おしいという感情。
「さて、まだ雷は止んでいませんし、もう一度しましょうか」
「へ!?ま、待ってください、もう腰が痛くて、」
「大丈夫ですよ、優しくしますから。多分」
まぁ、この約束は守ることが出来なかったのだけれども。
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