日常篇//壱
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
近藤さんが倒れた。
布団で横になりウンウンと魘される姿はおいたわしいことこの上ない。
「で、土方さん。何ですかこの手」
「お前が怖いかと思って握ってやってんじゃねーか」
「なんか汗ばんでません?暑いんでやめてください」
目の前の銀時は新八と神楽の手を思い切り両手に握っている。…そういえば、彼は幽霊の類は苦手だったことを思い出した。
まぁそれはいい。彼の可愛らしい弱点だ、と幼馴染として微笑ましく理解しよう。
問題はこの手を握っている男のことだ。
普段口も悪く、目付きも悪い土方が、まさか全力で手を握ってくるとは。
…もしかして、
「土方くぅん?あんまウチの子にベタベタベタベタ触るのやめて頂けます!?」
「うっせー!テメーだってガキ共の手がっちりホールドじゃねーか!」
大の男二人が声を震わせて牽制しあっている。
まぁその姿は無様この上ないのだが、一周回って面白くなってきた。
「お化けが怖くなくなる方法教えてあげようか」
そう言えば同時に名無しを見遣る二人。
目がギンギンになってて、正直少し怖い。
新八と神楽、その様子を我関せずで眺めていた沖田ですら冷めた視線を送っているというのに、彼らは気づかない。
成人男性としてのプライドは、恐らくトイレにでも流したのだろう。下水を泳いで拾ってきてほしいところだ。
「お化けなんて存在しない、って唱えるのよ。そうしたら脳がそう認識するんだって。」
「名無し!B級映画メタル〇ンの博士ネタぶち込むのやめろ!!」
ついこの間、某動画サイトで仕入れたネタを入れれば、声を荒らげてツッコんでくる銀時。
ちなみに味方であるはずの博士は主人公を勝手に改造する、中々のマッドサイエンティストだった。
「名無しは幽霊平気アルか?」
「信じないわけじゃないけど…元を辿れば人間だしね」
神楽が小さく首を傾げながら訊ねると、名無しが笑いながら答える。
その回答に「確かに」と新八が頷くが、銀時と土方はそうもいかない。無理なものは無理なのだろう。
「あ、赤い着物の女」
沖田がぽそりと呟けば、突然離される手。
銀時は押入れの中へ。
土方は床の間に飾っている大きな壺の中へ。
予想以上の怯え様に名無しは小さく苦笑いを零した。
茜色ドロップ#夏と心霊と着物の女と(後篇)
このあと赤い着物の女が本当に出てきて、名無し以外の全員が屯所を逃げ回ることになるのであった。
「なんで名無しの方に行かなかったんだよ、あの天人!」
「蚊に刺されるのが嫌だから家出るときいつも虫除けスプレーしてるもん」
布団で横になりウンウンと魘される姿はおいたわしいことこの上ない。
「で、土方さん。何ですかこの手」
「お前が怖いかと思って握ってやってんじゃねーか」
「なんか汗ばんでません?暑いんでやめてください」
目の前の銀時は新八と神楽の手を思い切り両手に握っている。…そういえば、彼は幽霊の類は苦手だったことを思い出した。
まぁそれはいい。彼の可愛らしい弱点だ、と幼馴染として微笑ましく理解しよう。
問題はこの手を握っている男のことだ。
普段口も悪く、目付きも悪い土方が、まさか全力で手を握ってくるとは。
…もしかして、
「土方くぅん?あんまウチの子にベタベタベタベタ触るのやめて頂けます!?」
「うっせー!テメーだってガキ共の手がっちりホールドじゃねーか!」
大の男二人が声を震わせて牽制しあっている。
まぁその姿は無様この上ないのだが、一周回って面白くなってきた。
「お化けが怖くなくなる方法教えてあげようか」
そう言えば同時に名無しを見遣る二人。
目がギンギンになってて、正直少し怖い。
新八と神楽、その様子を我関せずで眺めていた沖田ですら冷めた視線を送っているというのに、彼らは気づかない。
成人男性としてのプライドは、恐らくトイレにでも流したのだろう。下水を泳いで拾ってきてほしいところだ。
「お化けなんて存在しない、って唱えるのよ。そうしたら脳がそう認識するんだって。」
「名無し!B級映画メタル〇ンの博士ネタぶち込むのやめろ!!」
ついこの間、某動画サイトで仕入れたネタを入れれば、声を荒らげてツッコんでくる銀時。
ちなみに味方であるはずの博士は主人公を勝手に改造する、中々のマッドサイエンティストだった。
「名無しは幽霊平気アルか?」
「信じないわけじゃないけど…元を辿れば人間だしね」
神楽が小さく首を傾げながら訊ねると、名無しが笑いながら答える。
その回答に「確かに」と新八が頷くが、銀時と土方はそうもいかない。無理なものは無理なのだろう。
「あ、赤い着物の女」
沖田がぽそりと呟けば、突然離される手。
銀時は押入れの中へ。
土方は床の間に飾っている大きな壺の中へ。
予想以上の怯え様に名無しは小さく苦笑いを零した。
茜色ドロップ#夏と心霊と着物の女と(後篇)
このあと赤い着物の女が本当に出てきて、名無し以外の全員が屯所を逃げ回ることになるのであった。
「なんで名無しの方に行かなかったんだよ、あの天人!」
「蚊に刺されるのが嫌だから家出るときいつも虫除けスプレーしてるもん」