日常篇//壱
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真選組屯所。
名無しがカルテを持って歩いていると、襖の隙間から部屋の中を覗く沖田達の姿。
「何やっているんですか?沖田さん」
「お、名無しかィ。見ろよ、アレが噂のえいりあんばすたー…の?星海坊主…だっけか?」
「なんで疑問形なんですか。」
沖田のすぐ横からひょこりと顔を覗かせれば、パイロットキャップにゴーグルをつけた男と近藤の姿があった。
「なるほど、娘さんを探されているのですか。失礼ですが、お名前をお伺いしても?」
「神楽って名前なんだけどな、知ってる奴いるのか?こんな男だらけのところによ」
そんな会話を耳にして、沖田と名無しは同時に顔を見合わせた。
茜色ドロップ#家族ノカタチ
「へぇ。で、名無し…っつったか。うちの神楽はいい子にしてんのか?」
「いい子ですよ。いつも明るくて、ちょっと暴れん坊なところはありますけど、素直で優しくて」
「ま、俺の娘だしな。」
目撃情報があった大江戸信用金庫へ走る二人。
近藤に星海坊主の案内を任されたのはいいが…肝心の銀行周りには人集りが出来ていた。
「何かあったんですかね」
「ま、関係ねーな。」
自動ドアをスタスタと入って行き、男は傘を構えた。
「お、いたいた」
銀行の中には不気味に蠢くエイリアン。
それといつもの面々が賑やかしく、そこにいた。
「探したぞ、神楽」
「…パピー?」
***
「で、なんでこうなるの」
神楽と話をするために星海坊主は引き摺るように神楽をファミレスに連れてきた。
星海坊主と二人で話をしたくない、と神楽が半ば無理矢理名無しを引っ張ってきた。
そんな三人を追うように…と見せかけて、パフェを奢ってもらうと付いてきたのが銀時。
仕方がないと追いかけてきたのが新八。
ここまではいい。
帰らそうとする星海坊主と、帰りたくないと駄々をこねる神楽の交渉決裂によって、壮絶な親子喧嘩が始まった。
星海坊主が傘で神楽を殴り、吹き飛ばした先に親子がいた。
誰しもがぶつかる・と目を瞑った時。
ぶつかる前に神楽を受け止める銀時と、追撃しようとした星海坊主の傘を掴んでいる名無し。
「テメーら、親子喧嘩に水差すような真似してんじゃねーよ」
「親子喧嘩?女の子に血を流させるまでぶん殴るのが躾だっていうんですか?」
星海坊主の傘を握る名無しの手のひらから血が滴る。
無理もない、手加減しているとはいえ宇宙最強の男の一撃を止めたのだから。
「いくら身体が丈夫でも、痛いものは痛いんですよ。身内に向けられる刃は、殊更」
ね、星海坊主さん。
それは綺麗すぎる微笑み。
すっと細められた赤い瞳は色味に反して底冷えするような冷たさだった。
忌々しそうに名無しを見遣る星海坊主は、目を疑った。
手のひらの血が、傷が、すっかりなりを潜めていることに。
それは彼には見覚えがあった。嫌という程に。
***
「馬鹿ね、銀時。新八くん怒っちゃったじゃない」
神楽を星海坊主に半ば押し付けるような形で別れを告げた後、万事屋に戻った途端銀時は新八に罵られるように怒られた。
どうして神楽の気持ちを察してやれないのか、と。
「事実だろ。家族なんて、俺には分かんねーんだからよ」
事務所の椅子に深く座り、ユラユラと身体を揺らす銀時。
その横顔はどこか寂しげなようで、どこか諦めたような表情だった。
社長机に行儀悪く腰掛けていた名無しは、堪らず癖毛の頭を撫で回した。
「うぉ、何だよ、」
「天邪鬼。そんな風に割り切れないくせに」
「うるせー」
素直に新八のように寂しいと言えることが出来たら、どんなに彼は楽だろうか。
星海坊主も、銀時も、不器用だからこそ誤解が生まれていることに本人達は気づいていない。
「嫌気が差したならお前も出て行ってもいいんだぞ」
「馬鹿ね、こんな意地っ張りを放っておけるわけないでしょ。いなくなったら寂しいくせに」
からかうように笑えば、銀時は「…まーな」と呟き、拗ねたようにそっぽを向いた。
名無しがカルテを持って歩いていると、襖の隙間から部屋の中を覗く沖田達の姿。
「何やっているんですか?沖田さん」
「お、名無しかィ。見ろよ、アレが噂のえいりあんばすたー…の?星海坊主…だっけか?」
「なんで疑問形なんですか。」
沖田のすぐ横からひょこりと顔を覗かせれば、パイロットキャップにゴーグルをつけた男と近藤の姿があった。
「なるほど、娘さんを探されているのですか。失礼ですが、お名前をお伺いしても?」
「神楽って名前なんだけどな、知ってる奴いるのか?こんな男だらけのところによ」
そんな会話を耳にして、沖田と名無しは同時に顔を見合わせた。
茜色ドロップ#家族ノカタチ
「へぇ。で、名無し…っつったか。うちの神楽はいい子にしてんのか?」
「いい子ですよ。いつも明るくて、ちょっと暴れん坊なところはありますけど、素直で優しくて」
「ま、俺の娘だしな。」
目撃情報があった大江戸信用金庫へ走る二人。
近藤に星海坊主の案内を任されたのはいいが…肝心の銀行周りには人集りが出来ていた。
「何かあったんですかね」
「ま、関係ねーな。」
自動ドアをスタスタと入って行き、男は傘を構えた。
「お、いたいた」
銀行の中には不気味に蠢くエイリアン。
それといつもの面々が賑やかしく、そこにいた。
「探したぞ、神楽」
「…パピー?」
***
「で、なんでこうなるの」
神楽と話をするために星海坊主は引き摺るように神楽をファミレスに連れてきた。
星海坊主と二人で話をしたくない、と神楽が半ば無理矢理名無しを引っ張ってきた。
そんな三人を追うように…と見せかけて、パフェを奢ってもらうと付いてきたのが銀時。
仕方がないと追いかけてきたのが新八。
ここまではいい。
帰らそうとする星海坊主と、帰りたくないと駄々をこねる神楽の交渉決裂によって、壮絶な親子喧嘩が始まった。
星海坊主が傘で神楽を殴り、吹き飛ばした先に親子がいた。
誰しもがぶつかる・と目を瞑った時。
ぶつかる前に神楽を受け止める銀時と、追撃しようとした星海坊主の傘を掴んでいる名無し。
「テメーら、親子喧嘩に水差すような真似してんじゃねーよ」
「親子喧嘩?女の子に血を流させるまでぶん殴るのが躾だっていうんですか?」
星海坊主の傘を握る名無しの手のひらから血が滴る。
無理もない、手加減しているとはいえ宇宙最強の男の一撃を止めたのだから。
「いくら身体が丈夫でも、痛いものは痛いんですよ。身内に向けられる刃は、殊更」
ね、星海坊主さん。
それは綺麗すぎる微笑み。
すっと細められた赤い瞳は色味に反して底冷えするような冷たさだった。
忌々しそうに名無しを見遣る星海坊主は、目を疑った。
手のひらの血が、傷が、すっかりなりを潜めていることに。
それは彼には見覚えがあった。嫌という程に。
***
「馬鹿ね、銀時。新八くん怒っちゃったじゃない」
神楽を星海坊主に半ば押し付けるような形で別れを告げた後、万事屋に戻った途端銀時は新八に罵られるように怒られた。
どうして神楽の気持ちを察してやれないのか、と。
「事実だろ。家族なんて、俺には分かんねーんだからよ」
事務所の椅子に深く座り、ユラユラと身体を揺らす銀時。
その横顔はどこか寂しげなようで、どこか諦めたような表情だった。
社長机に行儀悪く腰掛けていた名無しは、堪らず癖毛の頭を撫で回した。
「うぉ、何だよ、」
「天邪鬼。そんな風に割り切れないくせに」
「うるせー」
素直に新八のように寂しいと言えることが出来たら、どんなに彼は楽だろうか。
星海坊主も、銀時も、不器用だからこそ誤解が生まれていることに本人達は気づいていない。
「嫌気が差したならお前も出て行ってもいいんだぞ」
「馬鹿ね、こんな意地っ張りを放っておけるわけないでしょ。いなくなったら寂しいくせに」
からかうように笑えば、銀時は「…まーな」と呟き、拗ねたようにそっぽを向いた。