日常篇//壱
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「あ、小太郎。何してるの、こんなとこで」
「む。名無しか。」
エリザベスと並んで年越しそばを食べていると、コンビニの袋を持った名無しが通りかかった。
寒そうに鼻先を真っ赤にした彼女はふわりと白い息を吐き出す。
「わぁ、年越しそば。美味しそう」
「食べてから帰ればいいだろう。大将、年越しそばもう一丁」
桂が注文すれば、名無しは自然と彼の隣にストンと座った。
背中に背負っていた木箱で出来た薬箱を下ろせば、背中が寒くなったのか小さく身震いする。
「こんな時間まで仕事か?」
「うん。年末年始にね、息子さんのところに遊びに行く年配の女性に、念の為お薬を届けに。」
大晦日だというのに忙しそうな名無しは、相変わらずふにゃふにゃと笑うばかりだ。
頼られるのは嫌じゃないのだろうが、働きすぎな気もする。
「へい、お待ち」
「わ。美味しそう!いただきまーす」
器を持ってはふはふと蕎麦を食べる姿は、子供の頃とあまりにも似ていて思わず頬が綻ぶ。
彼女自身が童顔とはいえ、あまり変わっていない雰囲気に懐かしさを覚えた。
「銀時はどうした?」
「記憶はちゃんと戻ったよ。今は…新八くんのところでゴロゴロしてるか、どっか遊びに行ってるんじゃないかな」
ホクホクとした顔で蕎麦を啜る名無し。
…彼女は働いているというのに、少しはヤツも見習うべきなのでは?
「相変わらずだな」
「その相変わらず、がいいのよ」
そう言って名無しは無邪気に笑う。
一年の最後に彼女に会えたのは、なんだか得した気分だった。
鈍い除夜の鐘が煩悩の数だけ鳴り響く。
「小太郎、あけましておめでとう」
「あぁ。今年もよろしく頼む」
「…頼むって…テロは手伝わないよ?」
むう、とした顔で眉を寄せる彼女を見て、つい苦笑いが零れる。
「友人として、だ」
「それなら大歓迎。今年は穏やかに過ごせるといいなぁ」
食べ終わった蕎麦の器を店主に返し、名無しがマフラーに顔を埋めてホクホクと笑う。
「お。名無し…と、なんだ、ヅラかよ」
「ヅラじゃない。桂だ」
「あ、銀時。」
真っ赤なマフラーに顔を埋めながら、ぶらりとやってきたのは銀時だ。
…何故か物凄くボロボロになっているが。
「新年早々何やってんの…」
「いや、忍者とジャンプ取り合ったらよ、合併号だったんだよ」
意味がわからない。
多分名無しも同じことを思ったのだろう。眉がぎゅっと寄せられ、訝しげな表情になっていた。
「ったく、新年早々このメンツかよ」
「貴様がやってきたのだろう」「銀時がきたんじゃない」
「えっ、俺主人公なのにこの扱いって酷くね?」
さも当たり前かのように名無しの隣に座る銀時。
あまり大きくない椅子だからか、間の名無しは俺と銀時にぎゅっと挟まれた。
「ちょっと、銀時狭いよ」
「おーおー、じゃあ俺の膝にでもくるか?」
「行きませーん」
楽しそうに笑いながら名無しがふわりと息を吐く。
モヤのような吐息が冬の寒空に溶けた。
「なんと言うか、」
「?」
「あったかいね」
ふにゃふにゃと笑う名無しの目元がとろりと蕩ける。
シシッと照れたように笑う彼女が俺と銀時の腕をそっと引き寄せた。
まるでおしくらまんじゅうのようだ。
そう考えたら何だか昔を思い出して、新年早々なんだか懐かしい気分になった。
茜色ドロップ#行く年来る年
「よし、銀時、名無し。初詣でも行くか」
「お前…自分が指名手配犯って分かってンのか?」
「む。名無しか。」
エリザベスと並んで年越しそばを食べていると、コンビニの袋を持った名無しが通りかかった。
寒そうに鼻先を真っ赤にした彼女はふわりと白い息を吐き出す。
「わぁ、年越しそば。美味しそう」
「食べてから帰ればいいだろう。大将、年越しそばもう一丁」
桂が注文すれば、名無しは自然と彼の隣にストンと座った。
背中に背負っていた木箱で出来た薬箱を下ろせば、背中が寒くなったのか小さく身震いする。
「こんな時間まで仕事か?」
「うん。年末年始にね、息子さんのところに遊びに行く年配の女性に、念の為お薬を届けに。」
大晦日だというのに忙しそうな名無しは、相変わらずふにゃふにゃと笑うばかりだ。
頼られるのは嫌じゃないのだろうが、働きすぎな気もする。
「へい、お待ち」
「わ。美味しそう!いただきまーす」
器を持ってはふはふと蕎麦を食べる姿は、子供の頃とあまりにも似ていて思わず頬が綻ぶ。
彼女自身が童顔とはいえ、あまり変わっていない雰囲気に懐かしさを覚えた。
「銀時はどうした?」
「記憶はちゃんと戻ったよ。今は…新八くんのところでゴロゴロしてるか、どっか遊びに行ってるんじゃないかな」
ホクホクとした顔で蕎麦を啜る名無し。
…彼女は働いているというのに、少しはヤツも見習うべきなのでは?
「相変わらずだな」
「その相変わらず、がいいのよ」
そう言って名無しは無邪気に笑う。
一年の最後に彼女に会えたのは、なんだか得した気分だった。
鈍い除夜の鐘が煩悩の数だけ鳴り響く。
「小太郎、あけましておめでとう」
「あぁ。今年もよろしく頼む」
「…頼むって…テロは手伝わないよ?」
むう、とした顔で眉を寄せる彼女を見て、つい苦笑いが零れる。
「友人として、だ」
「それなら大歓迎。今年は穏やかに過ごせるといいなぁ」
食べ終わった蕎麦の器を店主に返し、名無しがマフラーに顔を埋めてホクホクと笑う。
「お。名無し…と、なんだ、ヅラかよ」
「ヅラじゃない。桂だ」
「あ、銀時。」
真っ赤なマフラーに顔を埋めながら、ぶらりとやってきたのは銀時だ。
…何故か物凄くボロボロになっているが。
「新年早々何やってんの…」
「いや、忍者とジャンプ取り合ったらよ、合併号だったんだよ」
意味がわからない。
多分名無しも同じことを思ったのだろう。眉がぎゅっと寄せられ、訝しげな表情になっていた。
「ったく、新年早々このメンツかよ」
「貴様がやってきたのだろう」「銀時がきたんじゃない」
「えっ、俺主人公なのにこの扱いって酷くね?」
さも当たり前かのように名無しの隣に座る銀時。
あまり大きくない椅子だからか、間の名無しは俺と銀時にぎゅっと挟まれた。
「ちょっと、銀時狭いよ」
「おーおー、じゃあ俺の膝にでもくるか?」
「行きませーん」
楽しそうに笑いながら名無しがふわりと息を吐く。
モヤのような吐息が冬の寒空に溶けた。
「なんと言うか、」
「?」
「あったかいね」
ふにゃふにゃと笑う名無しの目元がとろりと蕩ける。
シシッと照れたように笑う彼女が俺と銀時の腕をそっと引き寄せた。
まるでおしくらまんじゅうのようだ。
そう考えたら何だか昔を思い出して、新年早々なんだか懐かしい気分になった。
茜色ドロップ#行く年来る年
「よし、銀時、名無し。初詣でも行くか」
「お前…自分が指名手配犯って分かってンのか?」