日常篇//壱
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「全く、近藤さんどうしてこんな生傷だらけなんですか。こんなんじゃ体がいくつあっても足りませんよ?」
「そう言うな、名無しちゃん。愛を求めればな、必然と茨の道になるもんなんだよ」
真面目な顔で語っているものの、彼の行動パターンはもうすっかり把握済みだ。
「どうせまたお妙さんに半殺しにされたんでしょう」
「半分合ってるが、半分は乙女座のせいだから。占いのせいだから。」
「何言ってるんですか、私だって今日は占い最下位だったんですよ。別に何も起き、」
ボトッ。
後ろから突然、何かが落ちるような音。
目の前の近藤は顔を引き攣らせている。それはもう、やばいモノを目撃した、と言わんばかりに。
「名無しちゃん、うしろ、」
嫌な予感がしてゆっくり振り返った瞬間、男と女の悲鳴が真選組屯所に響き渡った。
***
遠くで悲鳴が聞こえてきたが、気のせいだろう。
目の前に積まれた書類の山に土方は煙草を消しながら溜息をついた。
出前で頼んだカツ丼にいつも通りのマヨネーズをトッピングする。
先日これを総悟に『犬のエサ』と言われたが、全く失礼な話だ。
割り箸を割って、束の間の休息をさぁ取ろうとした時だった。
「トシィィィィ!大変だ、ゴキブリが出たァァァ!」
「土方さんンンン!助けて下さい!!」
血相を変えてやってきた近藤さんと名無し。
近藤さんが血相を変えてやってくるのはしょっちゅうだが、先日の赤い着物女騒動の時に眉ひとつ動かさなかった名無しも今回ばかりは半泣きだった。
「近藤さん、ゴキブリくらいでビビんなよ。
名無し、テメーは心霊だって平気だっただろうが」
「ひひひ、ひひ、土方さん!心霊と虫けらを一緒にしないでください!普通サイズでもヤバいのに、あれは見たら死にますから。絶対今夜夢に出てくるヤツですから!」
「そうだぞ、トシ!あれはヤバいって!
えっ、屯所ってそんなに汚かったっけ!?」
名無しに至っては近藤さんの背中にしがみついてまるで背後霊のようだ。
近藤さんもそのまま背負って、必死に走ってきたのだろう。
シチュエーションはどうあれ、女に抱きつかれているというのに喜んでいる素振りは一切ない。
「そりゃあな。男所帯だとゴキブリの一匹二匹くらい…」
出るだろ。
そう言いながら目の前の土方スペシャルに視線を戻す。
すると、黒光りする『ソレ』がクチャクチャとマヨネーズを啜っていた。
「うおおおおお!出前で取り寄せた土方スペシャルがァァァ!!つーかゴキブリデケェェェェ!」
「いやァァァ!でたぁぁぁぁ!!」
「トシィィィィ!カツ丼どころじゃないから!」
***
「ゴキブリってマヨネーズが好物だったんですね、知りませんでした」
「トシ…お前の好物って…ゴキブリと一緒だったんだな…」
「ゴキブリは雑食に決まってんだろーが!」
近藤さん、人をゴキブリと同列に扱うのはやめてくれ。
名無し、お前は余計なことを言うな。
空き部屋になっている角部屋を密室にして、俺達は籠城していた。
これなら大丈夫だろうが、俺も近藤さんも刀を部屋に置いてきた。絶対後でアルコール消毒しとこう。
「だからって普通マヨネーズ食べます!?絶対あれマヨネーズ食べて大きくなったでしょう!?」
「マヨネーズに罪はねぇ!」
「ありますよ、土方さんのコレステロール値が上がります!」
確かにコレステロール値は上がっていたが、まだ許容範囲だろうが!
いつにもなく取り乱した名無しは、顔色が真っ青だ。どうやらゴキブリは苦手らしい。
こいつも一応ちゃんと女らしく動じたりするんだな、と思うと少しだけホッとした。
「こらこら、待て待て。落ち着け、二人共。
喧嘩はよくないぞ、ここは一度冷静に態勢を整えて、」
ボトッ
最もらしいことを言っていた近藤さんの頭にゴキブリが天井を突き抜けて落ちてきた。
結構な質量がある昆虫の出現に、俺も名無しも慄いた。
腰を落ち着けていた名無しは驚いた猫のように飛び退き、タックルをかますように抱きついてきた。
「いやァァァ!!ゴキブリィィィ!」
「ば、馬鹿!くっ付くんじゃねェ!
近藤さん、大丈夫か!?」
胸。胸が当たってる。
名無しが顔面蒼白になるのと反比例して、俺の頬が思わず熱くなった。
これは不可抗力だ、生理現象だ!
ちなみに近藤さんからは返事がない。ゴキブリの下敷きになって白目を剥いていた。
突如轟音と共に吹き飛ばされるゴキブリ。ついでに近藤さんもぶっ飛んだ。
粉々になった襖の向こうからはバズーカを持った総悟が気だるげに立っていた。
「何デレデレしてるんですかィ、土方さん。ゴキブリ如きで情けねェ」
「デレデレしてねェし!言いがかりしてくるんじゃねーよ!」
「キシャァァァ」
トドメを刺されたゴキブリが奇声を上げる。
…ゴキブリってこんな風に鳴いたっけか?
「し…死んだの?」
「多分な。オーイ、近藤さん。大丈夫ですかィ?」
俺にしがみついたまま恐る恐る声を上げる名無し。いつになったら解放されるんだ、俺。
近藤さんの上に乗ったままのゴキブリの死骸を足で蹴り退ける総悟。
近藤さんは気絶したままだ。…多分バズーカで死んだわけではない、はず。
総悟が気絶した近藤さんを起こした時に、更なる悲劇は起きた。
彼がバズーカで吹き飛ばした襖から、仲間の敵討ちと言わんばかりにワラワラとやってくるゴキブリの大軍。
その光景は悍ましい、の一言につきる。
畳が見えない。黒光りしたカサカサとした生き物で覆い尽くされていた。
「あぁぁぁ!増えたァァァ!」
「ゴキブリAは仲間を呼んだ、ってことですかねィ」
「呑気に解説してんじゃねェェ!」
心底怯えた名無し。
呑気な総悟。
気絶した近藤さん。
身動き取れない俺。
真選組の命運や如何に?
続かない。
茜色ドロップ#コンバットは戦うという意味らしい
ニュースになっていた女王ゴキブリはどこかの誰かに退治され、町に平和が戻った。
が、近藤さんの怪我は(沖田のせいでもあるが)酷くなり、暫く名無しの世話になることになったのは、また別の話。
「お…おはようございます…」
「ちょ、名無しちゃん!?どうして距離置くの!」
「だって、ゴキブリon近藤さんだったし…お風呂、入られましたよね…?」
「入ってる!入ってるから!露骨に嫌がらないでェェェ!!」
「そう言うな、名無しちゃん。愛を求めればな、必然と茨の道になるもんなんだよ」
真面目な顔で語っているものの、彼の行動パターンはもうすっかり把握済みだ。
「どうせまたお妙さんに半殺しにされたんでしょう」
「半分合ってるが、半分は乙女座のせいだから。占いのせいだから。」
「何言ってるんですか、私だって今日は占い最下位だったんですよ。別に何も起き、」
ボトッ。
後ろから突然、何かが落ちるような音。
目の前の近藤は顔を引き攣らせている。それはもう、やばいモノを目撃した、と言わんばかりに。
「名無しちゃん、うしろ、」
嫌な予感がしてゆっくり振り返った瞬間、男と女の悲鳴が真選組屯所に響き渡った。
***
遠くで悲鳴が聞こえてきたが、気のせいだろう。
目の前に積まれた書類の山に土方は煙草を消しながら溜息をついた。
出前で頼んだカツ丼にいつも通りのマヨネーズをトッピングする。
先日これを総悟に『犬のエサ』と言われたが、全く失礼な話だ。
割り箸を割って、束の間の休息をさぁ取ろうとした時だった。
「トシィィィィ!大変だ、ゴキブリが出たァァァ!」
「土方さんンンン!助けて下さい!!」
血相を変えてやってきた近藤さんと名無し。
近藤さんが血相を変えてやってくるのはしょっちゅうだが、先日の赤い着物女騒動の時に眉ひとつ動かさなかった名無しも今回ばかりは半泣きだった。
「近藤さん、ゴキブリくらいでビビんなよ。
名無し、テメーは心霊だって平気だっただろうが」
「ひひひ、ひひ、土方さん!心霊と虫けらを一緒にしないでください!普通サイズでもヤバいのに、あれは見たら死にますから。絶対今夜夢に出てくるヤツですから!」
「そうだぞ、トシ!あれはヤバいって!
えっ、屯所ってそんなに汚かったっけ!?」
名無しに至っては近藤さんの背中にしがみついてまるで背後霊のようだ。
近藤さんもそのまま背負って、必死に走ってきたのだろう。
シチュエーションはどうあれ、女に抱きつかれているというのに喜んでいる素振りは一切ない。
「そりゃあな。男所帯だとゴキブリの一匹二匹くらい…」
出るだろ。
そう言いながら目の前の土方スペシャルに視線を戻す。
すると、黒光りする『ソレ』がクチャクチャとマヨネーズを啜っていた。
「うおおおおお!出前で取り寄せた土方スペシャルがァァァ!!つーかゴキブリデケェェェェ!」
「いやァァァ!でたぁぁぁぁ!!」
「トシィィィィ!カツ丼どころじゃないから!」
***
「ゴキブリってマヨネーズが好物だったんですね、知りませんでした」
「トシ…お前の好物って…ゴキブリと一緒だったんだな…」
「ゴキブリは雑食に決まってんだろーが!」
近藤さん、人をゴキブリと同列に扱うのはやめてくれ。
名無し、お前は余計なことを言うな。
空き部屋になっている角部屋を密室にして、俺達は籠城していた。
これなら大丈夫だろうが、俺も近藤さんも刀を部屋に置いてきた。絶対後でアルコール消毒しとこう。
「だからって普通マヨネーズ食べます!?絶対あれマヨネーズ食べて大きくなったでしょう!?」
「マヨネーズに罪はねぇ!」
「ありますよ、土方さんのコレステロール値が上がります!」
確かにコレステロール値は上がっていたが、まだ許容範囲だろうが!
いつにもなく取り乱した名無しは、顔色が真っ青だ。どうやらゴキブリは苦手らしい。
こいつも一応ちゃんと女らしく動じたりするんだな、と思うと少しだけホッとした。
「こらこら、待て待て。落ち着け、二人共。
喧嘩はよくないぞ、ここは一度冷静に態勢を整えて、」
ボトッ
最もらしいことを言っていた近藤さんの頭にゴキブリが天井を突き抜けて落ちてきた。
結構な質量がある昆虫の出現に、俺も名無しも慄いた。
腰を落ち着けていた名無しは驚いた猫のように飛び退き、タックルをかますように抱きついてきた。
「いやァァァ!!ゴキブリィィィ!」
「ば、馬鹿!くっ付くんじゃねェ!
近藤さん、大丈夫か!?」
胸。胸が当たってる。
名無しが顔面蒼白になるのと反比例して、俺の頬が思わず熱くなった。
これは不可抗力だ、生理現象だ!
ちなみに近藤さんからは返事がない。ゴキブリの下敷きになって白目を剥いていた。
突如轟音と共に吹き飛ばされるゴキブリ。ついでに近藤さんもぶっ飛んだ。
粉々になった襖の向こうからはバズーカを持った総悟が気だるげに立っていた。
「何デレデレしてるんですかィ、土方さん。ゴキブリ如きで情けねェ」
「デレデレしてねェし!言いがかりしてくるんじゃねーよ!」
「キシャァァァ」
トドメを刺されたゴキブリが奇声を上げる。
…ゴキブリってこんな風に鳴いたっけか?
「し…死んだの?」
「多分な。オーイ、近藤さん。大丈夫ですかィ?」
俺にしがみついたまま恐る恐る声を上げる名無し。いつになったら解放されるんだ、俺。
近藤さんの上に乗ったままのゴキブリの死骸を足で蹴り退ける総悟。
近藤さんは気絶したままだ。…多分バズーカで死んだわけではない、はず。
総悟が気絶した近藤さんを起こした時に、更なる悲劇は起きた。
彼がバズーカで吹き飛ばした襖から、仲間の敵討ちと言わんばかりにワラワラとやってくるゴキブリの大軍。
その光景は悍ましい、の一言につきる。
畳が見えない。黒光りしたカサカサとした生き物で覆い尽くされていた。
「あぁぁぁ!増えたァァァ!」
「ゴキブリAは仲間を呼んだ、ってことですかねィ」
「呑気に解説してんじゃねェェ!」
心底怯えた名無し。
呑気な総悟。
気絶した近藤さん。
身動き取れない俺。
真選組の命運や如何に?
続かない。
茜色ドロップ#コンバットは戦うという意味らしい
ニュースになっていた女王ゴキブリはどこかの誰かに退治され、町に平和が戻った。
が、近藤さんの怪我は(沖田のせいでもあるが)酷くなり、暫く名無しの世話になることになったのは、また別の話。
「お…おはようございます…」
「ちょ、名無しちゃん!?どうして距離置くの!」
「だって、ゴキブリon近藤さんだったし…お風呂、入られましたよね…?」
「入ってる!入ってるから!露骨に嫌がらないでェェェ!!」