anemone days//short story
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ここは、浦原商店。
仮面の軍勢の矢胴丸リサと猿柿ひよ里は、所用で浦原喜助の元へ訪ねていた。
どうやら必要な商品を買いに来たらしい。
ちなみになぜこの二人なのかというと、特に意味は無い。ジャンケンで決めたらしい。
その時リサが、思いついたように放った一言が波乱を呼ぶとは、その場にいた誰も予想していなかった。
「名無し。たまにはウチらのところへ泊まりに来たらどうや?」
「あ、いいですね。」
「ダメっス、嫌です!あそこはケダモノの巣窟っすよ!?」
「おどれ喜助ェ!誰がケダモノや!」
「今目の前に立っている女性とおかっぱ金髪のことっス!」
「…………………………あー」
「失礼な!ケダモノやないわ!得意な科目が性教育なだけや!」
浦原の悲鳴のような訴えに、思わずひよ里も閉口した。
残念ながらケダモノその1は、否定する気はさらさらないようだ。
こんばんは、仮面の皆様
「ということで、お邪魔しますね。」
「おぉい!その流れだとケダモノその2はオレやないか!」
「ケダモノでしょう。自己紹介の漢字説明で、真性包茎っていう人いますか?普通。
一般的な女子高生ならドン引きですよ。よかったですね、うちのクラスが変人だらけで。」
思い出すのは平子が高校へ転入してきた時のこと。
まさかのイチモツ。されどイチモツ。
しかも世の男性が悩むデリケートなアレである。…むしろ男子生徒がドン引きしたかもしれない。
「いやいや。絶対喜助のヤツも『助は助平の助っス』とか言いかねンやろ?」
「大丈夫です。浦原さんはケダモノ殿堂入りなんで。キングオブケダモノです。」
「殿堂入りだなんて照れるっスよォ。まるでポケ○ンじゃないっスか」
………………。
「オイ、誰だ。浦原をウチのアジトに入れたヤツは。」
「スミマセン、結界の前で騒がれていたので…つい…」
「ダメだよ、ハッちん〜。ここのケダモノはひらりんとリサちんと拳西で十分なんだからぁ。」
「白、テメェ!シレッと俺を追加してんじゃねぇ!」
名無しは、拳西が白を怒鳴りつける光景を遠目で眺めた後、ちゃっかり隣に座る浦原に視線を移した。
「なんで来てるんですか、浦原さん。」
「だって仮面の軍勢って男所帯じゃないっスか。名無しサンの貞操が心配で…」
「浦原商店にいるよりは貞操の安全が保障されてますのでご心配なく。」
「そんな不届き者がウチにいるんっスか!?………はっ、まさか…ジン太の思春期で…!?」
とんでもない流れ弾である。
ジン太が聞いていたらさぞかし御立腹であろう。
そもそも子供に罪をなすりつけるあたり、やはりこの男は人でなしなのかもしれない。
「キッッッショ!万年思春期どころか発情期なオッサンが何言うとんねん!」
「ラヴ、鏡って持ってるかい?」
「いや。ジャンプならあるけど鏡はねーな。鈍器ならジャンプでいいだろ」
ひよ里が寒イボを立たせながら悲鳴を上げる。
教育的指導をするためか、ローズと羅武が物騒な会話をしているが……果たして教育的指導(物理)は本当に健全なのだろうか。
ローズさん。ジャンプの角の硬さを確かめるのは止めましょう。
「浦原、ウチがついとる限り名無しの貞操は補償するけん安心しぃや」
「補償って何っスか!何を補填されるんっスか!?そこは保証ですよ!何とんでもない誤字かましてるンっスか!」
殊更真剣な表情で浦原の肩に手を置くリサ。
何を失わされ、何を補償されるのか。考えたくもない。
「……うわ。浦原さんがツッコミしてる…」
「名無しの貞操が掛かっとるからマジやな」
「ひよ里ちゃん。あえて触れなかったのにやめよう。頭痛がしてきた」
いつもの気の抜けた笑顔は何処へやら。
浦原の顔は真剣そのものだ。
……ケダモノVSケダモノのキャットファイト、というのは見て見ぬふりをした方がいいだろう。
「頭痛!?大丈夫っスか名無しサン!帰りましょう今すぐ!ボクがおやすみからおはようまでバッチリ看病するんで!」
「何言うとんねん!こういうのは汗かいたら治るっちゅーのが相場や!つまり布団でくんずほぐれつするのが一番手っ取り早いんや!」
「ひよ里ちゃん。明日の朝ごはん相談しながら早く寝てしまおう。」
「せやな。アホは放置に限るわ」
三十六計、逃げるにしかず。
触らぬ神に祟りなし。
臭いものには蓋を。
つまりそういうことだ。
唯一まともな味方をつけ、名無しは就寝することにした。
「ひよ里、待たんかい!漁夫の利は許さんで!」
「ひよ里サン、上官命令っスよ!今すぐ名無しサンをこっちに渡してください!」
まさかの上官命令である。
上官部下なんて関係は百年以上前のことだ。とっくのまに時効だろう。
……というより、今まで『上官命令』なんて浦原は使ったことがなかったというのに。
いいのか、最初で最後の上官命令がこんな下らないことで。「何がくだらないコトっスか?」すみません、撤回します。素晴らしい判断ですネ。
名無しの手を上機嫌で引きながら、ひよ里はゆっくり振り返る。
勝ち誇ったような表情を悠々と浮かべ、
べーーーーー。
べっかんこ。それも特別、可愛らしく、憎らしい笑みで。
「「この卑怯者!」」
ケダモノの遠吠えが、虚しく響いた。
「……真子サン、止めなくていいんデスか?」
「アホ。ここでオレが混ざったら間違いなく喜助に殺されるわ。」
「それに寝静まった後に、というのもアリやろ?」
「真子、そこになおりィ」
「平子サン、毒殺と斬殺と涅隊長、どれがお望みっスか?」
「嘘!冗談や、ジョーーーク!というか喜助ェ!選択肢にマユリを入れるなや!
リサ!虚化するのはやめェ!お互い為にならん、そうやろう二人共!?
話せば分かるって昔のお偉いさんも言うとっtギャーーーーー!」
ケダモノ(その2)の悲鳴がもう一度、痛ましい程に反響したのは言うまでもないだろう。
仮面の軍勢の矢胴丸リサと猿柿ひよ里は、所用で浦原喜助の元へ訪ねていた。
どうやら必要な商品を買いに来たらしい。
ちなみになぜこの二人なのかというと、特に意味は無い。ジャンケンで決めたらしい。
その時リサが、思いついたように放った一言が波乱を呼ぶとは、その場にいた誰も予想していなかった。
「名無し。たまにはウチらのところへ泊まりに来たらどうや?」
「あ、いいですね。」
「ダメっス、嫌です!あそこはケダモノの巣窟っすよ!?」
「おどれ喜助ェ!誰がケダモノや!」
「今目の前に立っている女性とおかっぱ金髪のことっス!」
「…………………………あー」
「失礼な!ケダモノやないわ!得意な科目が性教育なだけや!」
浦原の悲鳴のような訴えに、思わずひよ里も閉口した。
残念ながらケダモノその1は、否定する気はさらさらないようだ。
こんばんは、仮面の皆様
「ということで、お邪魔しますね。」
「おぉい!その流れだとケダモノその2はオレやないか!」
「ケダモノでしょう。自己紹介の漢字説明で、真性包茎っていう人いますか?普通。
一般的な女子高生ならドン引きですよ。よかったですね、うちのクラスが変人だらけで。」
思い出すのは平子が高校へ転入してきた時のこと。
まさかのイチモツ。されどイチモツ。
しかも世の男性が悩むデリケートなアレである。…むしろ男子生徒がドン引きしたかもしれない。
「いやいや。絶対喜助のヤツも『助は助平の助っス』とか言いかねンやろ?」
「大丈夫です。浦原さんはケダモノ殿堂入りなんで。キングオブケダモノです。」
「殿堂入りだなんて照れるっスよォ。まるでポケ○ンじゃないっスか」
………………。
「オイ、誰だ。浦原をウチのアジトに入れたヤツは。」
「スミマセン、結界の前で騒がれていたので…つい…」
「ダメだよ、ハッちん〜。ここのケダモノはひらりんとリサちんと拳西で十分なんだからぁ。」
「白、テメェ!シレッと俺を追加してんじゃねぇ!」
名無しは、拳西が白を怒鳴りつける光景を遠目で眺めた後、ちゃっかり隣に座る浦原に視線を移した。
「なんで来てるんですか、浦原さん。」
「だって仮面の軍勢って男所帯じゃないっスか。名無しサンの貞操が心配で…」
「浦原商店にいるよりは貞操の安全が保障されてますのでご心配なく。」
「そんな不届き者がウチにいるんっスか!?………はっ、まさか…ジン太の思春期で…!?」
とんでもない流れ弾である。
ジン太が聞いていたらさぞかし御立腹であろう。
そもそも子供に罪をなすりつけるあたり、やはりこの男は人でなしなのかもしれない。
「キッッッショ!万年思春期どころか発情期なオッサンが何言うとんねん!」
「ラヴ、鏡って持ってるかい?」
「いや。ジャンプならあるけど鏡はねーな。鈍器ならジャンプでいいだろ」
ひよ里が寒イボを立たせながら悲鳴を上げる。
教育的指導をするためか、ローズと羅武が物騒な会話をしているが……果たして教育的指導(物理)は本当に健全なのだろうか。
ローズさん。ジャンプの角の硬さを確かめるのは止めましょう。
「浦原、ウチがついとる限り名無しの貞操は補償するけん安心しぃや」
「補償って何っスか!何を補填されるんっスか!?そこは保証ですよ!何とんでもない誤字かましてるンっスか!」
殊更真剣な表情で浦原の肩に手を置くリサ。
何を失わされ、何を補償されるのか。考えたくもない。
「……うわ。浦原さんがツッコミしてる…」
「名無しの貞操が掛かっとるからマジやな」
「ひよ里ちゃん。あえて触れなかったのにやめよう。頭痛がしてきた」
いつもの気の抜けた笑顔は何処へやら。
浦原の顔は真剣そのものだ。
……ケダモノVSケダモノのキャットファイト、というのは見て見ぬふりをした方がいいだろう。
「頭痛!?大丈夫っスか名無しサン!帰りましょう今すぐ!ボクがおやすみからおはようまでバッチリ看病するんで!」
「何言うとんねん!こういうのは汗かいたら治るっちゅーのが相場や!つまり布団でくんずほぐれつするのが一番手っ取り早いんや!」
「ひよ里ちゃん。明日の朝ごはん相談しながら早く寝てしまおう。」
「せやな。アホは放置に限るわ」
三十六計、逃げるにしかず。
触らぬ神に祟りなし。
臭いものには蓋を。
つまりそういうことだ。
唯一まともな味方をつけ、名無しは就寝することにした。
「ひよ里、待たんかい!漁夫の利は許さんで!」
「ひよ里サン、上官命令っスよ!今すぐ名無しサンをこっちに渡してください!」
まさかの上官命令である。
上官部下なんて関係は百年以上前のことだ。とっくのまに時効だろう。
……というより、今まで『上官命令』なんて浦原は使ったことがなかったというのに。
いいのか、最初で最後の上官命令がこんな下らないことで。「何がくだらないコトっスか?」すみません、撤回します。素晴らしい判断ですネ。
名無しの手を上機嫌で引きながら、ひよ里はゆっくり振り返る。
勝ち誇ったような表情を悠々と浮かべ、
べーーーーー。
べっかんこ。それも特別、可愛らしく、憎らしい笑みで。
「「この卑怯者!」」
ケダモノの遠吠えが、虚しく響いた。
「……真子サン、止めなくていいんデスか?」
「アホ。ここでオレが混ざったら間違いなく喜助に殺されるわ。」
「それに寝静まった後に、というのもアリやろ?」
「真子、そこになおりィ」
「平子サン、毒殺と斬殺と涅隊長、どれがお望みっスか?」
「嘘!冗談や、ジョーーーク!というか喜助ェ!選択肢にマユリを入れるなや!
リサ!虚化するのはやめェ!お互い為にならん、そうやろう二人共!?
話せば分かるって昔のお偉いさんも言うとっtギャーーーーー!」
ケダモノ(その2)の悲鳴がもう一度、痛ましい程に反響したのは言うまでもないだろう。
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