anemone days//short story
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「すげぇ…箱がいっぱいあるな」
「ある意味壮観だよねぇ」
現世に滞在中、雨に見舞われて洗濯物が乾かなかった。
近くの『コインランドリー』とやらで、俺と名無しは大量の洗濯物を持ってやって来ていた。
カゴ2つ分の洗濯物の中身は、土埃まみれになった茶渡の服から浦原さんの作務衣、鉄裁さんのエプロンまである。
ちなみに名無しが持っているカゴは女物の服が入っているらしい。
「ここに洗濯物を入れて、洗剤と…あと柔軟剤と、お金を入れて…」
用意していた小銭を入れれば、動き出す洗濯機。
無人の店舗で機械が延々と動く空間は何だか異質だ。
しかも夜なら尚更。
「俺の着替えなんか綺麗なもんなのによ、ったく」
「茶渡くんにジャンケンで負けるのが悪いんだよー」
備え付けの長椅子に座れば、笑いながら名無しが飲み物を差し出してくる。
そこの『自販機』とやらで買ったらしい。
キンキンに冷えたペットボトルの緑茶は普通に美味いから驚きだ。
「悪ィな」
「いーえ」
同じペットボトルを持った名無しが、人一人分ほど空けて俺の隣に座った。
僅かに揺れる椅子。
ゴウンゴウンと音を立てるドラム式洗濯機が二台。
特に話をするわけでもなく、静まり返った沈黙が流れる。
(まるで別人だな)
修行中は、まさに苛烈とも言える手段を取ってくる名無し。
今のように呑気にペットボトルの成分表示を眺めている姿とは似ても似つかない。
勿論、外見が変わるわけではないのだが、それでも纏う空気だけでいえば別人なのだ。
どちらが名無しの本質なのか、俺にはよく分からなかった。
恐らく、どちらも本物なのだろうけど。
「ふふっ」
「なんだよ」
「副隊長がコインランドリーにいるって、凄いシチュエーションだな、って」
クスクスと笑いながら名無しがペットボトル片手に笑う。
確かに安っぽい内装だし、あまり格が良さそうな雰囲気ではない。
まさに一般大衆向け、といった施設だ。
考えてみろ、こんなとこ吉良や雛森、ましてや伊勢副隊長が来ると思うか?
まぁ、来ないだろうな。
「俺は元々庶民派なんだよ。うちの隊長と一緒にするなよ」
「え、なにそれ。ヤバい、白哉くんいるの想像したら超笑える」
……………。
笑えるというか、シュールというか。
ヤバい、ジワジワくる。
「オイ、こっちまで笑えてくるだろうが。」
「えぇー、でも洗濯機とか興味津々で見てそう」
「ウチの隊長を何だと思ってんだ」
幼い頃の隊長を見たことがある、とは言っていたが、それにしても怖いもの知らずというか何というか。
確かにこのカラクリを延々と眺めてそうではあるけれども。
無邪気な子供のように笑う名無しを見て、俺は思わず溜息が零れてしまった。
コインランドリー・ナイト
「で、ルキアちゃんとどうなの?」
「オイ、何で突然ルキアの話になるんだよ!」
洗濯機が止まるまで俺は尋問を受ける羽目になったのは、また別の話。
「ある意味壮観だよねぇ」
現世に滞在中、雨に見舞われて洗濯物が乾かなかった。
近くの『コインランドリー』とやらで、俺と名無しは大量の洗濯物を持ってやって来ていた。
カゴ2つ分の洗濯物の中身は、土埃まみれになった茶渡の服から浦原さんの作務衣、鉄裁さんのエプロンまである。
ちなみに名無しが持っているカゴは女物の服が入っているらしい。
「ここに洗濯物を入れて、洗剤と…あと柔軟剤と、お金を入れて…」
用意していた小銭を入れれば、動き出す洗濯機。
無人の店舗で機械が延々と動く空間は何だか異質だ。
しかも夜なら尚更。
「俺の着替えなんか綺麗なもんなのによ、ったく」
「茶渡くんにジャンケンで負けるのが悪いんだよー」
備え付けの長椅子に座れば、笑いながら名無しが飲み物を差し出してくる。
そこの『自販機』とやらで買ったらしい。
キンキンに冷えたペットボトルの緑茶は普通に美味いから驚きだ。
「悪ィな」
「いーえ」
同じペットボトルを持った名無しが、人一人分ほど空けて俺の隣に座った。
僅かに揺れる椅子。
ゴウンゴウンと音を立てるドラム式洗濯機が二台。
特に話をするわけでもなく、静まり返った沈黙が流れる。
(まるで別人だな)
修行中は、まさに苛烈とも言える手段を取ってくる名無し。
今のように呑気にペットボトルの成分表示を眺めている姿とは似ても似つかない。
勿論、外見が変わるわけではないのだが、それでも纏う空気だけでいえば別人なのだ。
どちらが名無しの本質なのか、俺にはよく分からなかった。
恐らく、どちらも本物なのだろうけど。
「ふふっ」
「なんだよ」
「副隊長がコインランドリーにいるって、凄いシチュエーションだな、って」
クスクスと笑いながら名無しがペットボトル片手に笑う。
確かに安っぽい内装だし、あまり格が良さそうな雰囲気ではない。
まさに一般大衆向け、といった施設だ。
考えてみろ、こんなとこ吉良や雛森、ましてや伊勢副隊長が来ると思うか?
まぁ、来ないだろうな。
「俺は元々庶民派なんだよ。うちの隊長と一緒にするなよ」
「え、なにそれ。ヤバい、白哉くんいるの想像したら超笑える」
……………。
笑えるというか、シュールというか。
ヤバい、ジワジワくる。
「オイ、こっちまで笑えてくるだろうが。」
「えぇー、でも洗濯機とか興味津々で見てそう」
「ウチの隊長を何だと思ってんだ」
幼い頃の隊長を見たことがある、とは言っていたが、それにしても怖いもの知らずというか何というか。
確かにこのカラクリを延々と眺めてそうではあるけれども。
無邪気な子供のように笑う名無しを見て、俺は思わず溜息が零れてしまった。
コインランドリー・ナイト
「で、ルキアちゃんとどうなの?」
「オイ、何で突然ルキアの話になるんだよ!」
洗濯機が止まるまで俺は尋問を受ける羽目になったのは、また別の話。