茜色ノ小鬼//short story
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「ゆうかく?」
「そ。女の子とお酒飲んだり、話したりするとこ」
坂本が何処からか根こそぎ集めてきた金が余ったのか、ここから程なく近い遊郭へ遊びに行くと言う銀時達。
冗談半分で「名無しも行くか?」と言ってしまったのが、運のつきだった。
茜色ノ小鬼#男装花魁
「オイ、銀時」
「…んだよ、」
「なんでアイツがついてきてるんだよ」
不機嫌そうに銀時に耳打ちする高杉。
少し後ろで、縁日のような露店を見て顔を輝かせてる名無し。
と、それを微笑ましそうに見守る桂と坂本。
「いやな、女の子と楽しくお話するとこだぞ〜って説明したらアイツもついて行きたいって」
「そりゃお前肝心なこと伝えてねェからだろうが。馬鹿か」
馬鹿かと言われても。
事細かな性教育を松陽から教えられてないのだから仕方ない。
ある意味名無しは松陽という庇護下の、箱入り娘だったからしょうがないと言えばしょうがない。
自分達みたいに川原に落ちてるエロ本を見つけてきて知識を仕入れたわけでもあるまいし。
「まぁ、男装させてるから大丈夫だろ。本当は女は来ちゃダメ、行くなら男のフリしろよ、って言ってるし」
「そこまで言ってなんで言えねーんだよ」
「仕方ないだろーが!おま、アイツに(ピー)するために行くって言えるのか!?」
「…無理だな」
***
暫く歩けば豪華絢爛な建物が目の前で聳え立つ。
まぁ、所謂遊郭だ。
坂本を先頭にして店に入れば煌びやかな内装が目に入った。
「いらっしゃいませ」
三つ指ついて出迎えられる一行。
華美な着物を纏った女性がずらりと並んだ光景は圧巻だった。
「わぁ、凄いな小太郎、みんな美人さんだね」
初めて見る世界にキラキラと目を輝かせる名無し。
もちろん彼、もとい彼女はここで何をするのか知らないからなのだが。
それを見て桂は「そうだな」としか答えられなかった。自称保護者としては複雑な心境だろう。
「どの子にされます?」
店主がそう聞けば、銀時と高杉が同じ娘を指さした。
((名無しに似てる娘を選んだぞアイツら))
桂と坂本はうわぁ、と言わんばかりの顔をし、お互い目配せした。
結局、指名された娘は高杉を選んだわけだが。
「おんしはどうするんじゃ?」
「どの子…って、選ぶの?俺が?」
名無しが困ったように左から右へ視線を巡らす。
「お客さん、遊郭は初めて?」
「は、はい」
「簡単ですよ、お客さんのお好みの娘を選んでやってくださいまし」
近くにいた遊女がニコニコと愛想のいい笑顔でそう答える。
「好みの人、ですか。皆さん美人だから困っちゃいますね」
えへへ、と困ったような顔で頬を染めてはにかむ名無し。
銀時達は彼女が女と分かっている。
分かっているのだが、男装した姿であどけなく笑うその様は垢抜けない少年にしか見えなかった。
遊女達の普段中々発揮する場面のない、母性本能を擽るには十分だった。
「私、初めてでもお上手だとお客さんに褒めて貰えるんです、どうです?」
「いや、私もこの殿方とお話してみたいわ!」
とまぁ、こうなる訳で。
(オイ、なんで俺らより名無しがモテモテなんだよ!)
(遊女だって人畜無害な方がいいに決まっているからな。それに、男装した名無しはそこら辺の美少年より見栄えがいい)
ちゃっかり桂と坂本は指名済みだ。
銀時は心の中でこの天パがなければ、と悔やんだ。ついでに高杉にも呪詛を贈っておいた。
「銀時、今日は特に指名がないなら、皆とお話できるって!銀時も一緒に行こうよ!」
遊女に囲まれてキラキラとした美少年スマイルを浮かべる名無し。
あぁ、無邪気って、罪深い。
「おま…初めてにして複数人とか。レベル高ェな、オイ」
「?、そうなのか?」
きょとんと目を丸めながら首を傾げる名無し。
汚れを知らない瞳で見上げられれば、なんだか罪悪感に見舞われた。
(名無しに似てる女選んだなんて、口が裂けても言えねー)
そういえば、高杉と被ったが…まさかな。たまたまだろう。
「へへ…」
「何笑ってんだよ」
「初めてだから、一人はちょっと怖いなーって思ってんだ」
ふにゃふにゃと笑うコイツは、確信犯なのか。いや、間違いなく天然だ。
遊郭で一緒にアレするなんて、どういうプレイだ。とんだ変態じゃねーか。
名無しちゃん、遊女さん達が勘違いするぞ?
空いていた部屋へ通される銀時と名無しを、高杉が見ていたのは隣に指名された遊女しか知らない。
***
「へぇー、小さい弟さんいるんだ。ってことはお姉さんなんですね、いいなぁ。俺も姉ちゃん欲しかったんですよ」
屈折を知らない笑顔で遊女と会話する名無し。
奥の間に布団が敷かれているのだろうけど、きっとその出番はないだろう。
楽しそうに笑ってるアイツをぼんやり眺めながら、酒の入った杯を傾ける。
「私達でよければいつでもお姉ちゃんになってあげるわよ!」
「わ、こんな美人さんがお姉ちゃんになるなんて嬉しいです」
ナチュラルに褒めて(しかも本心だろう)遊女達の機嫌を取れるんだから、本当にコイツはタチが悪い。
男に生まれていたなら、さぞかしモテ男だっただろう。
「でも名前も顔も女っぽい名前ね、名無しさん」
「よ、よく言われます」
「コイツ、女装もよく似合うぞ」
「へ!?ぎ、銀時!?」
焦ったような名無しの顔。
あ、ヤバイ。
俺、凄く悪い顔してる。
「な、名無し。女物の羽織着せてもらったらどうだ?
ネーチャン達、あれだぞ。弟としても妹としても楽しめて二度美味しいぞ、ソイツ」
「まぁ!せっかくだからお化粧もしましょうよ。ね、名無しさん!」
「え、えぇ…じゃあ…」
押しに弱い名無しが困ったようにオロオロしている。
助けてくれと言わんばかりの視線をこちらに向けてくるが、まぁたまにはいいだろう。
俺だって遊女指名できなかったんだから、少しは鬱憤を晴らしてもバチは当たらないはず。
「まぁ、肌も綺麗」
「目も不思議な色ね、リンゴ飴みたい」
「髪のすごい綺麗!男の子にしておくには勿体無いわね!」
とまぁ、ものの見事に遊女達の玩具になっている。
「こうして髪を結って、簪を仕上げに挿せば…まぁ!」
「やだ、凄く美人!男の子なのが勿体ないくらいだわ!」
群がる遊女で肝心の名無しが全く見えない。
キャーキャーと騒ぐぐらいだから、それなりに綺麗になったのだろう。
元がいいのは知ってる。ただ女っ気がなく、自身に頓着がないのが問題なのであって。
まぁお世辞だろう、とボンヤリ考えながら杯を傾けた。
「ほら、あのお侍さんにも見てもらいなさいな」
「あ、わわっ、」
長い裾で転けそうになりながら出てきたのは、俺の知らない生き物だった。誰コイツ。
着てきた男物の着物の上から羽織っている、女物の華やかな羽織。
無造作に括っていた黒髪はキチンと纏められ、煌びやかな簪が揺れていた。
普段全くしない化粧も、一応男ということを配慮してか薄めにしてはいるがよく映えている。
極めつけはあどけなさが残る薄い唇に、真っ赤な紅をさしているのがヤケに艶かしい。
半ば冗談で女装が似合うぞ、と言ったが…これは予想の斜め上どころか宇宙の果てまで、と言ったレベルだった。
思わず酔いも回ってないのに頬が熱くなるのが分かった。
前言撤回、遊女のお姉さん。
そりゃお世辞じゃなかったわ、ガチのヤツじゃん。
「あ、あんまり見るなよ、恥ずかしいだろ…」
「いや、だってお前、それ似合いすぎだろ…本職か…」
「やぁねぇ、お侍さん。男の子なんだから出来ないじゃない。ある意味女の子に生まれなくて残念というか、よかったというか、惜しいというか」
いや、そいつ女です。とも言えず、とにかく網膜に焼き付けるようにガン見した。
「カメラある?」
「記念撮影?いいわね、素敵!みんなで撮りましょう!」
「は、はぁ!?ちょ、銀時やめろよ、絶対それ小太郎達に見せる気だろ!」
「おぅ」
ウソ、絶対見せない。あ、でも自慢で見せるかもしれない。
なにせこんな名無しの姿、一生に一度拝めるが拝めないかだ。生で見たかったと悔しがるアイツらが目に浮かぶようだった。
出来上がった写真は、にやけ顔を抑える俺と、恥ずかしがって顔が真っ赤の名無しと、周りにはたくさんの美人達。
…これ周り全員女ってことか。スゲーな、俺ハーレムじゃん。将軍でもこんな遊びしねーよ。
後日、出来上がった写真を桂達に見せると、「どこに名無しが写ってるんだ?え、これ!?」という同様の反応が返ってきた。
肝心の行為は結局出来ずじまいだったが、今までで一番衝撃的な遊郭遊びだったそうな。
「そ。女の子とお酒飲んだり、話したりするとこ」
坂本が何処からか根こそぎ集めてきた金が余ったのか、ここから程なく近い遊郭へ遊びに行くと言う銀時達。
冗談半分で「名無しも行くか?」と言ってしまったのが、運のつきだった。
茜色ノ小鬼#男装花魁
「オイ、銀時」
「…んだよ、」
「なんでアイツがついてきてるんだよ」
不機嫌そうに銀時に耳打ちする高杉。
少し後ろで、縁日のような露店を見て顔を輝かせてる名無し。
と、それを微笑ましそうに見守る桂と坂本。
「いやな、女の子と楽しくお話するとこだぞ〜って説明したらアイツもついて行きたいって」
「そりゃお前肝心なこと伝えてねェからだろうが。馬鹿か」
馬鹿かと言われても。
事細かな性教育を松陽から教えられてないのだから仕方ない。
ある意味名無しは松陽という庇護下の、箱入り娘だったからしょうがないと言えばしょうがない。
自分達みたいに川原に落ちてるエロ本を見つけてきて知識を仕入れたわけでもあるまいし。
「まぁ、男装させてるから大丈夫だろ。本当は女は来ちゃダメ、行くなら男のフリしろよ、って言ってるし」
「そこまで言ってなんで言えねーんだよ」
「仕方ないだろーが!おま、アイツに(ピー)するために行くって言えるのか!?」
「…無理だな」
***
暫く歩けば豪華絢爛な建物が目の前で聳え立つ。
まぁ、所謂遊郭だ。
坂本を先頭にして店に入れば煌びやかな内装が目に入った。
「いらっしゃいませ」
三つ指ついて出迎えられる一行。
華美な着物を纏った女性がずらりと並んだ光景は圧巻だった。
「わぁ、凄いな小太郎、みんな美人さんだね」
初めて見る世界にキラキラと目を輝かせる名無し。
もちろん彼、もとい彼女はここで何をするのか知らないからなのだが。
それを見て桂は「そうだな」としか答えられなかった。自称保護者としては複雑な心境だろう。
「どの子にされます?」
店主がそう聞けば、銀時と高杉が同じ娘を指さした。
((名無しに似てる娘を選んだぞアイツら))
桂と坂本はうわぁ、と言わんばかりの顔をし、お互い目配せした。
結局、指名された娘は高杉を選んだわけだが。
「おんしはどうするんじゃ?」
「どの子…って、選ぶの?俺が?」
名無しが困ったように左から右へ視線を巡らす。
「お客さん、遊郭は初めて?」
「は、はい」
「簡単ですよ、お客さんのお好みの娘を選んでやってくださいまし」
近くにいた遊女がニコニコと愛想のいい笑顔でそう答える。
「好みの人、ですか。皆さん美人だから困っちゃいますね」
えへへ、と困ったような顔で頬を染めてはにかむ名無し。
銀時達は彼女が女と分かっている。
分かっているのだが、男装した姿であどけなく笑うその様は垢抜けない少年にしか見えなかった。
遊女達の普段中々発揮する場面のない、母性本能を擽るには十分だった。
「私、初めてでもお上手だとお客さんに褒めて貰えるんです、どうです?」
「いや、私もこの殿方とお話してみたいわ!」
とまぁ、こうなる訳で。
(オイ、なんで俺らより名無しがモテモテなんだよ!)
(遊女だって人畜無害な方がいいに決まっているからな。それに、男装した名無しはそこら辺の美少年より見栄えがいい)
ちゃっかり桂と坂本は指名済みだ。
銀時は心の中でこの天パがなければ、と悔やんだ。ついでに高杉にも呪詛を贈っておいた。
「銀時、今日は特に指名がないなら、皆とお話できるって!銀時も一緒に行こうよ!」
遊女に囲まれてキラキラとした美少年スマイルを浮かべる名無し。
あぁ、無邪気って、罪深い。
「おま…初めてにして複数人とか。レベル高ェな、オイ」
「?、そうなのか?」
きょとんと目を丸めながら首を傾げる名無し。
汚れを知らない瞳で見上げられれば、なんだか罪悪感に見舞われた。
(名無しに似てる女選んだなんて、口が裂けても言えねー)
そういえば、高杉と被ったが…まさかな。たまたまだろう。
「へへ…」
「何笑ってんだよ」
「初めてだから、一人はちょっと怖いなーって思ってんだ」
ふにゃふにゃと笑うコイツは、確信犯なのか。いや、間違いなく天然だ。
遊郭で一緒にアレするなんて、どういうプレイだ。とんだ変態じゃねーか。
名無しちゃん、遊女さん達が勘違いするぞ?
空いていた部屋へ通される銀時と名無しを、高杉が見ていたのは隣に指名された遊女しか知らない。
***
「へぇー、小さい弟さんいるんだ。ってことはお姉さんなんですね、いいなぁ。俺も姉ちゃん欲しかったんですよ」
屈折を知らない笑顔で遊女と会話する名無し。
奥の間に布団が敷かれているのだろうけど、きっとその出番はないだろう。
楽しそうに笑ってるアイツをぼんやり眺めながら、酒の入った杯を傾ける。
「私達でよければいつでもお姉ちゃんになってあげるわよ!」
「わ、こんな美人さんがお姉ちゃんになるなんて嬉しいです」
ナチュラルに褒めて(しかも本心だろう)遊女達の機嫌を取れるんだから、本当にコイツはタチが悪い。
男に生まれていたなら、さぞかしモテ男だっただろう。
「でも名前も顔も女っぽい名前ね、名無しさん」
「よ、よく言われます」
「コイツ、女装もよく似合うぞ」
「へ!?ぎ、銀時!?」
焦ったような名無しの顔。
あ、ヤバイ。
俺、凄く悪い顔してる。
「な、名無し。女物の羽織着せてもらったらどうだ?
ネーチャン達、あれだぞ。弟としても妹としても楽しめて二度美味しいぞ、ソイツ」
「まぁ!せっかくだからお化粧もしましょうよ。ね、名無しさん!」
「え、えぇ…じゃあ…」
押しに弱い名無しが困ったようにオロオロしている。
助けてくれと言わんばかりの視線をこちらに向けてくるが、まぁたまにはいいだろう。
俺だって遊女指名できなかったんだから、少しは鬱憤を晴らしてもバチは当たらないはず。
「まぁ、肌も綺麗」
「目も不思議な色ね、リンゴ飴みたい」
「髪のすごい綺麗!男の子にしておくには勿体無いわね!」
とまぁ、ものの見事に遊女達の玩具になっている。
「こうして髪を結って、簪を仕上げに挿せば…まぁ!」
「やだ、凄く美人!男の子なのが勿体ないくらいだわ!」
群がる遊女で肝心の名無しが全く見えない。
キャーキャーと騒ぐぐらいだから、それなりに綺麗になったのだろう。
元がいいのは知ってる。ただ女っ気がなく、自身に頓着がないのが問題なのであって。
まぁお世辞だろう、とボンヤリ考えながら杯を傾けた。
「ほら、あのお侍さんにも見てもらいなさいな」
「あ、わわっ、」
長い裾で転けそうになりながら出てきたのは、俺の知らない生き物だった。誰コイツ。
着てきた男物の着物の上から羽織っている、女物の華やかな羽織。
無造作に括っていた黒髪はキチンと纏められ、煌びやかな簪が揺れていた。
普段全くしない化粧も、一応男ということを配慮してか薄めにしてはいるがよく映えている。
極めつけはあどけなさが残る薄い唇に、真っ赤な紅をさしているのがヤケに艶かしい。
半ば冗談で女装が似合うぞ、と言ったが…これは予想の斜め上どころか宇宙の果てまで、と言ったレベルだった。
思わず酔いも回ってないのに頬が熱くなるのが分かった。
前言撤回、遊女のお姉さん。
そりゃお世辞じゃなかったわ、ガチのヤツじゃん。
「あ、あんまり見るなよ、恥ずかしいだろ…」
「いや、だってお前、それ似合いすぎだろ…本職か…」
「やぁねぇ、お侍さん。男の子なんだから出来ないじゃない。ある意味女の子に生まれなくて残念というか、よかったというか、惜しいというか」
いや、そいつ女です。とも言えず、とにかく網膜に焼き付けるようにガン見した。
「カメラある?」
「記念撮影?いいわね、素敵!みんなで撮りましょう!」
「は、はぁ!?ちょ、銀時やめろよ、絶対それ小太郎達に見せる気だろ!」
「おぅ」
ウソ、絶対見せない。あ、でも自慢で見せるかもしれない。
なにせこんな名無しの姿、一生に一度拝めるが拝めないかだ。生で見たかったと悔しがるアイツらが目に浮かぶようだった。
出来上がった写真は、にやけ顔を抑える俺と、恥ずかしがって顔が真っ赤の名無しと、周りにはたくさんの美人達。
…これ周り全員女ってことか。スゲーな、俺ハーレムじゃん。将軍でもこんな遊びしねーよ。
後日、出来上がった写真を桂達に見せると、「どこに名無しが写ってるんだ?え、これ!?」という同様の反応が返ってきた。
肝心の行為は結局出来ずじまいだったが、今までで一番衝撃的な遊郭遊びだったそうな。