茜色ドロップ//short story
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「私、名無しみたいな姉ちゃんが欲しかったアル」
銀時はコンビニへ、新八はCDショップへ。
仕事が入っていない万事屋は暇を極めていた。
定春のブラッシングをしていた神楽が、唐突にポツリと呟いた。
「あら、お兄ちゃんはいるじゃない」
「あんなハッチャけたヤツ、兄って紹介するよ恥ずかしいアル」
まぁ、確かに。
兄は宇宙海賊です、だなんて友人に紹介出来ないだろう。
かく言う、名無しも『暗殺集団の頭領が兄です』なんて、口が裂けても言えないが。神楽の気持ちは少しだけ分かる。
「でも、もう甘えるような歳でもないアルからな」
「まだ未成年が何言ってるの。もっと甘えてもいいんじゃない?」
「もう一人前の女アルヨ。名無しも子供扱いするアルか…」
むう、とむくれる神楽を見て、思わず苦笑いが零れた。
思春期真っ盛りの年齢だ。確かに一人前だと認められたい年頃なのかもしれない。
「子供はちゃんと子供として甘えてから、大人になるもんよ」
「じゃあ銀ちゃんはいつまで経っても大人になれないアルネ。名無しにベタベタしすぎヨ」
「そうね、まぁジャンプを卒業出来てないし。」
そう考えたら精神年齢はもしかしたら銀時と神楽はいい勝負なのかもしれない。
…二十代半ばの男が十代中頃の女の子と同じ精神年齢というのも、少し笑ってしまう話なのだが。
定春のブラッシングを終えて、家計簿をつけていた名無しの隣に神楽が座る。
来客用のソファが僅かにフカフカと沈んだ。
「ねぇ、神楽ちゃん」
「何アルか?」
「私も妹、欲しかったんだよね」
名無しがにこりと笑うと、少し考えた後に神楽がニッと笑い返す。
「名無しが妹欲しいなら仕方ないアルネ。私が妹になってあげてもいいアルヨ!」
「本当?そりゃ嬉しいなぁ、こんな可愛い妹が出来るなんて」
クスクスと笑いながら、膝をポンポンと叩く名無し。
時々銀時の特等席になっている膝は、今は神楽だけの独占席だ。
少し擽ったそうにはにかみ、神楽がゴロリと横になる。
膝枕なんて何年ぶりだろう。
一度だけ、病床の母に甘えて膝枕をしてもらったことを思い出した。
「名無しは甘やかし上手アルネ」
「そうかな?そうだといいなぁ」
穏やかに微笑む名無しを下から見上げた後、神楽は柔らかい膝にそっと顔を埋めた。
茜色ドロップ#姉と妹
「…神楽…羨ましすぎるだろ、これ」
「銀さん、ダメですよ起こしたら。折角気持ち良さそうに寝てるのに」
「ったく、分かってらァ。
…姉と妹ってよりは、カーチャンと娘だな」
その後つい二人で転寝をしてしまい、帰ってきた男二人がそんな会話をしたのを彼女達は知る由もなかった。
銀時はコンビニへ、新八はCDショップへ。
仕事が入っていない万事屋は暇を極めていた。
定春のブラッシングをしていた神楽が、唐突にポツリと呟いた。
「あら、お兄ちゃんはいるじゃない」
「あんなハッチャけたヤツ、兄って紹介するよ恥ずかしいアル」
まぁ、確かに。
兄は宇宙海賊です、だなんて友人に紹介出来ないだろう。
かく言う、名無しも『暗殺集団の頭領が兄です』なんて、口が裂けても言えないが。神楽の気持ちは少しだけ分かる。
「でも、もう甘えるような歳でもないアルからな」
「まだ未成年が何言ってるの。もっと甘えてもいいんじゃない?」
「もう一人前の女アルヨ。名無しも子供扱いするアルか…」
むう、とむくれる神楽を見て、思わず苦笑いが零れた。
思春期真っ盛りの年齢だ。確かに一人前だと認められたい年頃なのかもしれない。
「子供はちゃんと子供として甘えてから、大人になるもんよ」
「じゃあ銀ちゃんはいつまで経っても大人になれないアルネ。名無しにベタベタしすぎヨ」
「そうね、まぁジャンプを卒業出来てないし。」
そう考えたら精神年齢はもしかしたら銀時と神楽はいい勝負なのかもしれない。
…二十代半ばの男が十代中頃の女の子と同じ精神年齢というのも、少し笑ってしまう話なのだが。
定春のブラッシングを終えて、家計簿をつけていた名無しの隣に神楽が座る。
来客用のソファが僅かにフカフカと沈んだ。
「ねぇ、神楽ちゃん」
「何アルか?」
「私も妹、欲しかったんだよね」
名無しがにこりと笑うと、少し考えた後に神楽がニッと笑い返す。
「名無しが妹欲しいなら仕方ないアルネ。私が妹になってあげてもいいアルヨ!」
「本当?そりゃ嬉しいなぁ、こんな可愛い妹が出来るなんて」
クスクスと笑いながら、膝をポンポンと叩く名無し。
時々銀時の特等席になっている膝は、今は神楽だけの独占席だ。
少し擽ったそうにはにかみ、神楽がゴロリと横になる。
膝枕なんて何年ぶりだろう。
一度だけ、病床の母に甘えて膝枕をしてもらったことを思い出した。
「名無しは甘やかし上手アルネ」
「そうかな?そうだといいなぁ」
穏やかに微笑む名無しを下から見上げた後、神楽は柔らかい膝にそっと顔を埋めた。
茜色ドロップ#姉と妹
「…神楽…羨ましすぎるだろ、これ」
「銀さん、ダメですよ起こしたら。折角気持ち良さそうに寝てるのに」
「ったく、分かってらァ。
…姉と妹ってよりは、カーチャンと娘だな」
その後つい二人で転寝をしてしまい、帰ってきた男二人がそんな会話をしたのを彼女達は知る由もなかった。
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