茜色ドロップ//short story
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「銀時、起きてよ!」
布団を剥ぐようにして引っ張られ、惰眠を貪っていた銀時は畳の上に転がり落ちた。
茜色ドロップ#彼女と朝と俺と
「んだよ…名無し、まだ朝じゃねーか」
「もう朝、の間違いでしょ。ほらもう、新八くん来ちゃうよ。起きた起きた。
神楽ちゃんは今、定春のお散歩行ってるから」
ちゃきちゃきと窓を開け放ちながら、銀時が使った布団を干す彼女。
万事屋の一員、ではないが、ここの住人なのは間違いなかった。
幼馴染。同居人。どれも正解だ。
恋人?…そうなりたいとは常々思っている。
「長谷川さんと飲むのもいいけど、日付変わってから帰ってくるのは感心しないわ」
「カーチャンか、お前は」
「カーチャンで結構。神楽ちゃんの教育にも良くないもの。心配して待っているこっちの身にもなって欲しいわ」
柘榴色の大きな瞳がじとりと視線を寄越す。
ぷりぷりと怒っている顔も可愛い。
「朝ごはん出来てるから、早く食べて顔とか洗ってね」
ちゃぶ台にはホカホカと湯気がたっている朝食。彼女がここに住み始めてから食事に関しては充実したと思う。
やたら大食いがいるというのに、食費があまり圧迫されていないというミステリーまで起こっている。節約上手なのだろう。
「名無し。」
「ん?」
無遠慮に俺を見上げてきた彼女の額に、口付けをひとつ落とす。
かぁぁっと顔を赤らめる名無しに「ただの家族間の、おはようのちゅーだよ」と言えば、「え、あ。あぁ、うん」と曖昧な返事が返ってきた。
そういう知識には疎い彼女を騙し騙しスキンシップを取っているが、危うく神楽にバラされそうになったことがある。
酢昆布一年分で買収したおかげで何とか事なきを得たが。
その時神楽に『銀ちゃん好きな女にはとことんチキンアルネ。』と捨て台詞を言われてしまったが。
うるせー分かってるよ、そんなこと。
「何赤くなってんだよ。家族なら普通だぞ、こんなの。見てみろ、フルハ●スを。アイツらほっぺにまでチュッチュしてんぞ」
「せ、生理現象なの。慣れてないんだから、もう。」
ほっといてよ。
恥ずかしそうに頬を抑える名無し。
…くそぅ、悔しいくらいに可愛いじゃねーか。
「で、今日は回診か?」
「ううん。今日は屯所の方」
屯所。
…何だよ、真選組の方か。
あそこは男所帯だから油断ならねェし、何よりゴリラやらマヨネーズ、ドSまでラインナップされた面子がいる。
仕事柄危ないことは息を吐くようにするもんだから、名無しが巻き込まれないか心配で仕方ない。
「アレだ。妙な目に遭いそうになったら警察に言うんだぞ」
「…あの、警察へお仕事しに行くんだけど」
そういえばそうだった。
「銀さんはな、心配なんだよ。分かるか?この親心…いや、兄ちゃん的な…ほら、アレだよ。アレ。」
「大丈夫だよ。そんな怖い人達じゃないし」
そういう油断が命取りなんだってば。
「……………何時に上がるんだ?」
「え?えっと、17時かな」
「分かった。迎えに行くから、ちゃんと待ってろよ。いいな?」
「?、う、うん」
首を傾げながらも返事をする名無し。
うん、素直なのはいいことだ。
「…はぁ、銀さん心配だわ」
「私は銀時がちゃんと今月の家賃払えるかが心配だけどね」
辛辣な彼女の一言が、深く深く胸に突き刺さった。
布団を剥ぐようにして引っ張られ、惰眠を貪っていた銀時は畳の上に転がり落ちた。
茜色ドロップ#彼女と朝と俺と
「んだよ…名無し、まだ朝じゃねーか」
「もう朝、の間違いでしょ。ほらもう、新八くん来ちゃうよ。起きた起きた。
神楽ちゃんは今、定春のお散歩行ってるから」
ちゃきちゃきと窓を開け放ちながら、銀時が使った布団を干す彼女。
万事屋の一員、ではないが、ここの住人なのは間違いなかった。
幼馴染。同居人。どれも正解だ。
恋人?…そうなりたいとは常々思っている。
「長谷川さんと飲むのもいいけど、日付変わってから帰ってくるのは感心しないわ」
「カーチャンか、お前は」
「カーチャンで結構。神楽ちゃんの教育にも良くないもの。心配して待っているこっちの身にもなって欲しいわ」
柘榴色の大きな瞳がじとりと視線を寄越す。
ぷりぷりと怒っている顔も可愛い。
「朝ごはん出来てるから、早く食べて顔とか洗ってね」
ちゃぶ台にはホカホカと湯気がたっている朝食。彼女がここに住み始めてから食事に関しては充実したと思う。
やたら大食いがいるというのに、食費があまり圧迫されていないというミステリーまで起こっている。節約上手なのだろう。
「名無し。」
「ん?」
無遠慮に俺を見上げてきた彼女の額に、口付けをひとつ落とす。
かぁぁっと顔を赤らめる名無しに「ただの家族間の、おはようのちゅーだよ」と言えば、「え、あ。あぁ、うん」と曖昧な返事が返ってきた。
そういう知識には疎い彼女を騙し騙しスキンシップを取っているが、危うく神楽にバラされそうになったことがある。
酢昆布一年分で買収したおかげで何とか事なきを得たが。
その時神楽に『銀ちゃん好きな女にはとことんチキンアルネ。』と捨て台詞を言われてしまったが。
うるせー分かってるよ、そんなこと。
「何赤くなってんだよ。家族なら普通だぞ、こんなの。見てみろ、フルハ●スを。アイツらほっぺにまでチュッチュしてんぞ」
「せ、生理現象なの。慣れてないんだから、もう。」
ほっといてよ。
恥ずかしそうに頬を抑える名無し。
…くそぅ、悔しいくらいに可愛いじゃねーか。
「で、今日は回診か?」
「ううん。今日は屯所の方」
屯所。
…何だよ、真選組の方か。
あそこは男所帯だから油断ならねェし、何よりゴリラやらマヨネーズ、ドSまでラインナップされた面子がいる。
仕事柄危ないことは息を吐くようにするもんだから、名無しが巻き込まれないか心配で仕方ない。
「アレだ。妙な目に遭いそうになったら警察に言うんだぞ」
「…あの、警察へお仕事しに行くんだけど」
そういえばそうだった。
「銀さんはな、心配なんだよ。分かるか?この親心…いや、兄ちゃん的な…ほら、アレだよ。アレ。」
「大丈夫だよ。そんな怖い人達じゃないし」
そういう油断が命取りなんだってば。
「……………何時に上がるんだ?」
「え?えっと、17時かな」
「分かった。迎えに行くから、ちゃんと待ってろよ。いいな?」
「?、う、うん」
首を傾げながらも返事をする名無し。
うん、素直なのはいいことだ。
「…はぁ、銀さん心配だわ」
「私は銀時がちゃんと今月の家賃払えるかが心配だけどね」
辛辣な彼女の一言が、深く深く胸に突き刺さった。
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