茜色ノ子鬼
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『筋はいいんですけどねぇ…どうしても私の剣に似てしまいますね』
それは随分幼い頃の記憶だ。
気がつけば剣の手ほどきを『彼』にされていた。
『だめなの?』
『私は名無しを暗殺者にしたいわけじゃないんですよ』
昔から彼の太刀筋を見てきていたからか、似てしまうのは必然だった。
『どうしたら、教えられるんでしょうね。…人の剣を、』
茜色ノ小鬼#12
今朝見た夢が頭から離れない。
なんで今更、あんな夢。
「なぁ、名無し」
「ん?」
昨日行けなかった薬屋に足を運んだ。
銀時が今度はついて行くと聞かなかったとこもあり、名無しは昨日辰馬が調達してくれた着物に袖を通していた。
裾が歩きにくいし、いつもの小引出しが沢山ついている箱も背負いにくい。
今回は彼の言葉に甘えることにした。
「お前さ、戦終わったらどーすんの?」
唐突な銀時の質問に、名無しは僅かにたじろいだ。
「…何も考えてなかったなぁ」
「俺もだわ」
カラン、コロン。
あまり履きなれていない女物の下駄が、地面を蹴る度に乾いた音を立てて鳴る。
「あぁ、でものんびりおじいちゃんおばあちゃん達を相手に医者はしたいかな」
「いいんじゃねーの?しっかし老人のたまり場になりそうだな」
「…銀時は?」
そう質問を返せば、彼は少し考えた。
数十秒程間を置いて「…何すっかな」と口を開く。そう簡単に答えが出るものじゃなかった。
「何でも屋さんは?ほら、銀時手先意外と器用だし。」
「儲からなさそうだな、オイ」
「でも同じ仕事ずっとしてたら、銀時すぐ飽きそう」
そう言って笑えば「それもそうだな」と気のない返事が返ってきた。
「晋助や小太郎、辰馬や先生もいたら楽しそうかな、って思ったんだけど」
「絶対うるせーだろ、それ。ぜってー嫌。」
本当に嫌なのだろう。
眉をぎゅっと寄せてじとりとこちらを見下ろしてきた。
「えー、ダメかぁ」
「駄目に決まってんだろ。第一、お前がいねーじゃねーか」
そう言ってくれるだけでも、何だか嬉しかった。
「じゃあ、今度教えてよ」
「ん?」
「戦が終わったら、何するのか。」
「…そうだな。考えておく」
漠然とした未来への不安を誤魔化すように、二人は顔を見合わせて小さく笑った。
それは随分幼い頃の記憶だ。
気がつけば剣の手ほどきを『彼』にされていた。
『だめなの?』
『私は名無しを暗殺者にしたいわけじゃないんですよ』
昔から彼の太刀筋を見てきていたからか、似てしまうのは必然だった。
『どうしたら、教えられるんでしょうね。…人の剣を、』
茜色ノ小鬼#12
今朝見た夢が頭から離れない。
なんで今更、あんな夢。
「なぁ、名無し」
「ん?」
昨日行けなかった薬屋に足を運んだ。
銀時が今度はついて行くと聞かなかったとこもあり、名無しは昨日辰馬が調達してくれた着物に袖を通していた。
裾が歩きにくいし、いつもの小引出しが沢山ついている箱も背負いにくい。
今回は彼の言葉に甘えることにした。
「お前さ、戦終わったらどーすんの?」
唐突な銀時の質問に、名無しは僅かにたじろいだ。
「…何も考えてなかったなぁ」
「俺もだわ」
カラン、コロン。
あまり履きなれていない女物の下駄が、地面を蹴る度に乾いた音を立てて鳴る。
「あぁ、でものんびりおじいちゃんおばあちゃん達を相手に医者はしたいかな」
「いいんじゃねーの?しっかし老人のたまり場になりそうだな」
「…銀時は?」
そう質問を返せば、彼は少し考えた。
数十秒程間を置いて「…何すっかな」と口を開く。そう簡単に答えが出るものじゃなかった。
「何でも屋さんは?ほら、銀時手先意外と器用だし。」
「儲からなさそうだな、オイ」
「でも同じ仕事ずっとしてたら、銀時すぐ飽きそう」
そう言って笑えば「それもそうだな」と気のない返事が返ってきた。
「晋助や小太郎、辰馬や先生もいたら楽しそうかな、って思ったんだけど」
「絶対うるせーだろ、それ。ぜってー嫌。」
本当に嫌なのだろう。
眉をぎゅっと寄せてじとりとこちらを見下ろしてきた。
「えー、ダメかぁ」
「駄目に決まってんだろ。第一、お前がいねーじゃねーか」
そう言ってくれるだけでも、何だか嬉しかった。
「じゃあ、今度教えてよ」
「ん?」
「戦が終わったら、何するのか。」
「…そうだな。考えておく」
漠然とした未来への不安を誤魔化すように、二人は顔を見合わせて小さく笑った。