for promise//short story
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「それ、本当かい?日番谷隊長。」
先の大戦で隻眼になった男は、顕になった左目を大きく見開いて驚いた。
無理もない。
彼女と現・総隊長は、そこそこ仲が良かったと聞いている。
驚嘆の表情を崩し、ずるりと椅子に凭れ掛かる京楽。
それには安堵と、喜びと、どこか泣きそうな色を混ぜた顔をしていた。
「で、どうするんだい?彼女。」
「真央霊術院に編入したいそうだ。」
「なるほど。こっちとしては人手不足だからね。願ったり叶ったりだ」
霊王護神大戦ではかなりの死神が戦死した。
一般隊士はもちろん、隊長格も。
底なしの霊力を持っている彼女が死神になったとすれば、もしかすると鬼道衆に入ることになるかもしれない。
いや、剣術もスジが悪くなければ護廷十三隊の席官も余裕だろう。……何せ、人手不足は深刻だからだ。
「浦原店長は知ってるのかな?」
「その件なんだが、」
《浦原さんには、内緒にしておいてもらえませんか?》
真っ先に彼女が言った言葉。
困ったように――少し、寂しそうに笑った名無しの顔が頭から離れない。
「また何で。ドッキリにしてはちょっと酷なんじゃない?」
京楽の言うことも尤もだ。
重傷だった怪我を治療したあと、浦原喜助が向かったのは一番隊隊舎の跡地。
残っていたのは彼女に渡していた伝令神機が、ただひとつ。
それ以外はなんの痕跡も残すことなく、存在した形跡は文字通り『跡形もなく』なかった。
それを見て、あの男が何を想ったのか――想像に難くない。
だからこそ、
「名無しのヤツが尸魂界にいて、真央霊術院に入ったと知ったとすれば浦原喜助は尸魂界に必ず来るだろう。言い方はアレだが『邪魔されたくない』んだとよ。」
《ほら。会いたくなって、死神になるための勉強がおざなりになるのはよくないじゃないですか。頑張ったら飛び級で卒業も出来るんでしょう?見ててください、最短で卒業してみますよ。》
――それに、
「…『今度は私が迎えに行くんです』だってよ。」
「ははは、名無しちゃんらしいねぇ」
「生まれる性別間違えてんじゃねぇのか、ってくらい逞しい女だよ」
俺がそうぼやくと、目の前に座る京楽は至極楽しそうに笑うのだった。
総隊長と十番隊隊長のぼやき
「ま、今どきの女の子は強く逞しくなくっちゃね」
「伊勢とか?」
「七緒ちゃんはもう少しお手柔らかくなってくれたら嬉しいんだけどねぇ」
しおらしく眉を八の字に曲げる色男を見て、俺は「お勤めご苦労さん」と総隊長を労うのだった。
先の大戦で隻眼になった男は、顕になった左目を大きく見開いて驚いた。
無理もない。
彼女と現・総隊長は、そこそこ仲が良かったと聞いている。
驚嘆の表情を崩し、ずるりと椅子に凭れ掛かる京楽。
それには安堵と、喜びと、どこか泣きそうな色を混ぜた顔をしていた。
「で、どうするんだい?彼女。」
「真央霊術院に編入したいそうだ。」
「なるほど。こっちとしては人手不足だからね。願ったり叶ったりだ」
霊王護神大戦ではかなりの死神が戦死した。
一般隊士はもちろん、隊長格も。
底なしの霊力を持っている彼女が死神になったとすれば、もしかすると鬼道衆に入ることになるかもしれない。
いや、剣術もスジが悪くなければ護廷十三隊の席官も余裕だろう。……何せ、人手不足は深刻だからだ。
「浦原店長は知ってるのかな?」
「その件なんだが、」
《浦原さんには、内緒にしておいてもらえませんか?》
真っ先に彼女が言った言葉。
困ったように――少し、寂しそうに笑った名無しの顔が頭から離れない。
「また何で。ドッキリにしてはちょっと酷なんじゃない?」
京楽の言うことも尤もだ。
重傷だった怪我を治療したあと、浦原喜助が向かったのは一番隊隊舎の跡地。
残っていたのは彼女に渡していた伝令神機が、ただひとつ。
それ以外はなんの痕跡も残すことなく、存在した形跡は文字通り『跡形もなく』なかった。
それを見て、あの男が何を想ったのか――想像に難くない。
だからこそ、
「名無しのヤツが尸魂界にいて、真央霊術院に入ったと知ったとすれば浦原喜助は尸魂界に必ず来るだろう。言い方はアレだが『邪魔されたくない』んだとよ。」
《ほら。会いたくなって、死神になるための勉強がおざなりになるのはよくないじゃないですか。頑張ったら飛び級で卒業も出来るんでしょう?見ててください、最短で卒業してみますよ。》
――それに、
「…『今度は私が迎えに行くんです』だってよ。」
「ははは、名無しちゃんらしいねぇ」
「生まれる性別間違えてんじゃねぇのか、ってくらい逞しい女だよ」
俺がそうぼやくと、目の前に座る京楽は至極楽しそうに笑うのだった。
総隊長と十番隊隊長のぼやき
「ま、今どきの女の子は強く逞しくなくっちゃね」
「伊勢とか?」
「七緒ちゃんはもう少しお手柔らかくなってくれたら嬉しいんだけどねぇ」
しおらしく眉を八の字に曲げる色男を見て、俺は「お勤めご苦労さん」と総隊長を労うのだった。
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