for promise
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「さてと。そろそろ客足落ち着いたし、名無し。お前もそろそろ他の出し物見て来いよ。」
王子のコスプレをした一護が厨房から顔を出してくる。
後ろには赤ずきんの話に出てくる、狩人に扮した茶渡の姿もあった。
「じゃあついでに看板持って宣伝してこようかな」
「いいのか?悪ィな。
…あれ。さっきまで浦原さんいなかったか?」
「本当だ。…どっか行くなら、一言言ってくれればいいのに」
グラスに注いだ水を飲みながら、名無しがぼんやりと呟く。
折角彼のリクエストした『例のもの』を、おやつ時のサービスタイムに配ろうとしていたというのに。
確保していたソレを冷蔵庫から取り出し、溜息をつきながらエプロンドレスの大きなポケットにしまい込んだ。
昨晩から寝てないせいか、気を抜けば瞼が落ちそうだ。正直、少し眠い。
「名無しちゃん!それならこのオオカミさんをお供にどう!?」
ドヤ顔で着ぐるみの狼を連れてくる織姫。キラキラとした笑顔はどこか神々しい。
…まさかこんなものまで作っているとは。
っていうか、
「それ中身、浦原さんでしょ」
「違うっスよぉ〜オオカミさんっス」
くぐもった声が被り物の下から聞こえてくる。
聞き覚えのあるチャラチャラした声音は、もう隠す気すらない。
「浦原さんがオオカミとか、洒落にならないんですけど」
「これならボクって分からないから一緒に校内回れますし。ほら、名無しサン。行くっスよ」
「う、わ!ちょ、ちょっと!」
宣伝用の看板を持ったオオカミさん・もとい浦原が赤ずきんの手を取って教室の外に出る。
その足取りはスキップでもしだしそうなくらい軽い。
狼に連れられていく赤ずきんは、シチュエーション的にマズい絵面だ。
まぁ中身の人間の性格を加味しても、マズいのだけれど。
「アレだけぞっこんだったら、いっそ清々しいストーカーね」
「タツキお前、分かっててもそれは禁句だ。」
浦原を知っている竜貴が呆れたように見送る隣で、一護が少し憐れみを込めた声でポツリと呟いた。
for promise#09
学校の校舎の周りでは、所狭しと一年生が出店している屋台が並んでいた。
たこ焼きからクレープ、はたまた焼きそば飯とボリュームのあるラインナップまで。
さながら本物の祭りのようだ。
「名無しサン、どうっスか?」
「美味しいですよ。」
ずっと接客と厨房続きで空腹だったのだろう。
揚げたてのドーナツを頬張りながら名無しが小さく頷いた。
元々童顔なのもあるし格好もさながら、いつもより随分と幼く見える。
さっきからチラチラとこちらを、もっと詳しく言えば名無しを見ている男の視線が気になるところだが。
でも分かる、すごく可愛い。見たくなる気持ちも、よーく分かる。
「浦原さんのも買ってますよ。」
「ありがとうございます…って、名無しサン、名無しサン。ボク今、狼に変装してるんっよ?名前は伏せて貰わなきゃ。」
「……………じゃあ、オオカミさん?」
あぁ、本物の狼になってしまいそうだ。
数秒考えた後、小さく首を傾げながら呼ぶ赤ずきんは無茶苦茶可愛い。
もう可愛いって言葉しか出てこないくらい、可愛い。
「オオカミさん、他に何か食べられますか?」
「んー。でも被り物してたら食べられないっスから、そろそろ何処かで腰を落ち着けたいトコっスね」
「それもそうですね。保健室でいいんじゃないんですか?」
たくさんの戦利品を持った名無しが小さく欠伸をする。
そろそろ限界らしい。
「名無しサン、名無しサン。これ持っててくださいっス」
「…なんですか?って、う、わ!」
持っていた宣伝用の看板を渡せば、そのまま横抱きにする。
スカートの中はショートパンツを履いていることは確認済みだ。少しガッカリしてしまったが。
「う、うら…っオオカミさん、下ろしてください!」
「まぁまぁ。これも宣伝っスからぁ」
突然のお姫様抱っこにじたばたと藻掻く名無し。
同年代の中でも小柄な彼女は、抱き上げてしまえばそんな抵抗は可愛らしいものだ。
狼の着ぐるみが赤ずきんを抱き上げている姿は、周りの視線を良くも悪くも集めた。
まぁ、本当は宣伝だけが目的ではないのだけど。
「童話カフェ、よろしくお願いしまぁす」
狼の被り物の下で宣伝用に声を上げながら、浦原は真っ赤な顔の名無しを抱えて保健室へと向かっていった。
王子のコスプレをした一護が厨房から顔を出してくる。
後ろには赤ずきんの話に出てくる、狩人に扮した茶渡の姿もあった。
「じゃあついでに看板持って宣伝してこようかな」
「いいのか?悪ィな。
…あれ。さっきまで浦原さんいなかったか?」
「本当だ。…どっか行くなら、一言言ってくれればいいのに」
グラスに注いだ水を飲みながら、名無しがぼんやりと呟く。
折角彼のリクエストした『例のもの』を、おやつ時のサービスタイムに配ろうとしていたというのに。
確保していたソレを冷蔵庫から取り出し、溜息をつきながらエプロンドレスの大きなポケットにしまい込んだ。
昨晩から寝てないせいか、気を抜けば瞼が落ちそうだ。正直、少し眠い。
「名無しちゃん!それならこのオオカミさんをお供にどう!?」
ドヤ顔で着ぐるみの狼を連れてくる織姫。キラキラとした笑顔はどこか神々しい。
…まさかこんなものまで作っているとは。
っていうか、
「それ中身、浦原さんでしょ」
「違うっスよぉ〜オオカミさんっス」
くぐもった声が被り物の下から聞こえてくる。
聞き覚えのあるチャラチャラした声音は、もう隠す気すらない。
「浦原さんがオオカミとか、洒落にならないんですけど」
「これならボクって分からないから一緒に校内回れますし。ほら、名無しサン。行くっスよ」
「う、わ!ちょ、ちょっと!」
宣伝用の看板を持ったオオカミさん・もとい浦原が赤ずきんの手を取って教室の外に出る。
その足取りはスキップでもしだしそうなくらい軽い。
狼に連れられていく赤ずきんは、シチュエーション的にマズい絵面だ。
まぁ中身の人間の性格を加味しても、マズいのだけれど。
「アレだけぞっこんだったら、いっそ清々しいストーカーね」
「タツキお前、分かっててもそれは禁句だ。」
浦原を知っている竜貴が呆れたように見送る隣で、一護が少し憐れみを込めた声でポツリと呟いた。
for promise#09
学校の校舎の周りでは、所狭しと一年生が出店している屋台が並んでいた。
たこ焼きからクレープ、はたまた焼きそば飯とボリュームのあるラインナップまで。
さながら本物の祭りのようだ。
「名無しサン、どうっスか?」
「美味しいですよ。」
ずっと接客と厨房続きで空腹だったのだろう。
揚げたてのドーナツを頬張りながら名無しが小さく頷いた。
元々童顔なのもあるし格好もさながら、いつもより随分と幼く見える。
さっきからチラチラとこちらを、もっと詳しく言えば名無しを見ている男の視線が気になるところだが。
でも分かる、すごく可愛い。見たくなる気持ちも、よーく分かる。
「浦原さんのも買ってますよ。」
「ありがとうございます…って、名無しサン、名無しサン。ボク今、狼に変装してるんっよ?名前は伏せて貰わなきゃ。」
「……………じゃあ、オオカミさん?」
あぁ、本物の狼になってしまいそうだ。
数秒考えた後、小さく首を傾げながら呼ぶ赤ずきんは無茶苦茶可愛い。
もう可愛いって言葉しか出てこないくらい、可愛い。
「オオカミさん、他に何か食べられますか?」
「んー。でも被り物してたら食べられないっスから、そろそろ何処かで腰を落ち着けたいトコっスね」
「それもそうですね。保健室でいいんじゃないんですか?」
たくさんの戦利品を持った名無しが小さく欠伸をする。
そろそろ限界らしい。
「名無しサン、名無しサン。これ持っててくださいっス」
「…なんですか?って、う、わ!」
持っていた宣伝用の看板を渡せば、そのまま横抱きにする。
スカートの中はショートパンツを履いていることは確認済みだ。少しガッカリしてしまったが。
「う、うら…っオオカミさん、下ろしてください!」
「まぁまぁ。これも宣伝っスからぁ」
突然のお姫様抱っこにじたばたと藻掻く名無し。
同年代の中でも小柄な彼女は、抱き上げてしまえばそんな抵抗は可愛らしいものだ。
狼の着ぐるみが赤ずきんを抱き上げている姿は、周りの視線を良くも悪くも集めた。
まぁ、本当は宣伝だけが目的ではないのだけど。
「童話カフェ、よろしくお願いしまぁす」
狼の被り物の下で宣伝用に声を上げながら、浦原は真っ赤な顔の名無しを抱えて保健室へと向かっていった。