for promise
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「つもる話はありますが、どしたんっスか、その格好」
「何って、死神になったんですよ、私」
「…はい?」
浦原の驚いた顔を見て、満足そうに笑う名無し。
そうそう、この顔が見たかった。
勝手知ったる台所から茶をセルフで用意し、名無しが楽しそうに口を開いた。
for promise#05
「魂魄になって、西流魂街で日番谷くんを待ち伏せしてたんですよね。ほら、あの子休みの日は西流魂街に来るって聞いていたので。
それで、真央霊術院に入学させて貰ったんですよ」
それからはとんとん拍子だった。
鬼道はパーフェクト。鬼道衆へ配属を勧められたが、やはり護廷十三隊が良かった。
知り合いも多いし、何にせよ現世に行く頻度が違う。
歩法も六回生よりも優れているとお墨付きをもらった。夜一や浦原のおかげだろう。
そう思えば、浦原商店にいる面子は何かの道のプロフェッショナルばかりだと思い返した。
白打は先生に渋い顔をされた。
鬼道を拳にのせて叩き込む方法は、新しいアイデアだと褒められたが、やはり夜一と同じように白打自体才能があまりないと言われた。
問題は剣術だった。これが出来なければ話にならない。
避けるのは容易かった。浦原の剣戟を躱し続ける修行をしたのがよかった。
しかし実際刃を振るうとなると、そうもいかない。合格したものの名無しの知っている死神達には遠く及ばない。
剣術に関しては『要修行』と自分の中で課題にすることにした。
さて。
飛び級で進級し、入学から半年で護廷十三隊に入隊できるようになったわけだ。
睡眠時間を削って勉強や鍛錬をこなした甲斐があった。
しかしどの隊に入るか、揉めに揉めた。
どこの隊に入れるかで隊首会まで開かれてしまった。どこの隊も人手不足なのは分かっているが、本当にあれは恥ずかしかった。
『功労者だからねぇ〜。どうせならボクの隊においでよ、名無しちゃん』
『京楽さんのところは、ちょっと…』
『なんで!?』
『だって、一番隊って忙しそうですし』
一番隊撃沈。
『くっ…!名無し、どうしてお前は白打の才能がないのだ…!』
『すみません、砕蜂さん…』
『そうすれば私も監督義務の名の元に現世に行っていつでも夜一様にお会い出来るというのに』
「名無しサンより不純な動機っスね。隊長なのに」
「そうなんですよ。隊長なのに。」
二番隊は色んな意味で無理だった。
『三番隊に来るかい?名無し』
『鳳橋さんのところか…いやでも、元・市丸隊か…ちょっと保留で』
いくら彼が乱菊のために動いていたとしても、痛めつけられた禍根はまだ残る。おかげで腕を切り落とした経緯があるからだ。
三番隊は、とりあえず保留。
『回道かぁ…習っておいて損は無いですね』
『あ…でもウチの隊は殆ど現世に行かないので…』
『そうですか…あ、でも時々教わりに行ってもいいですか?勇音さん!』
『それは是非。人材育成は歓迎ですよ。いつでも来てくださいね』
四番隊、魅力的なだけど条件が合わず。
『五番隊は絶対に嫌』
『何でや!オレや可愛い雛森がおるんで!?』
『なんかムカつく眼鏡思い出すのと、平子さんの玩具になりそうなんで、絶対に嫌です』
五番隊、瞬殺。
『白哉くんのところか…』
『気心知れた恋次もいる。悪くない条件だろう』
『そうですね』
『オイ、なんでオレの時とそんな態度違うんや』
『平子さんは黙っててください』
六番隊は保留。
『七番隊は剣術重視じゃけんのぅ。欲しいのは山々じゃが、腕を磨いてからじゃな』
『そうさせて頂きます。その時は是非お願いしますね!』
射場さんはいい人だけど、今の私では隊の風潮に合わないので七番隊はなし。
『八番隊、えぇとこやろ』
『リサさんの所も…ちょっと…』
『なんでや』
『いつもエロ本読んでるんですもん』
『いつもちゃうわ。執務してる時だけや』
『それもどうなの』
エロ本普及されるのは困るので、却下。
『九番隊はいい所だぞ!』
『くっ…拳西さんもいい人なのは分かるんだけど、六車九番隊っていう羽織は着たくない…ダサい…!』
突然のカミングアウトに拳西、もとい九番隊撃沈。少し悪いことをした。
『オレが拾ったんだからここに来てもいいんじゃねぇのか?』
『それもそうなんですけど…ほら、乱菊さんの目のやり場に困るというか』
『今すぐアイツの襟を直せばいいんだな?』
現実的に考えて無理そうなので、多分十番隊もなし。残念だ。
『ウチは剣術磨いてからだな』
『ですよね。』
十一番隊も七番隊と同じ理由でなし。
『十二番隊かぁ。私、科学者タイプじゃないですしね』
『名無しは昔から霊力にモノを言わせるタイプからネ』
『一番勝手知ったるのはここなんですけどね』
十二番隊は保留。
『なんといっても空座町の担当は十三番隊だからな!隊長は今は不在だが、名無し、是非十三番隊に!』
『ルキアちゃん副隊長だもんね、確かにいいかも』
十三番隊、第一候補。
「で、何で十二番隊に入ったんっスか?」
「マユリさんが…」
『名無し。条件を足そうではないか』
『マユリさん?』
『現世調査隊員として、半永久的に現世に滞在だ。勿論、定期連絡で尸魂界に帰還は必要だがネ。悪い条件ではないだろう?』
「それで十二番隊に入ったんっスか」
「知り合い多いですし。ルキアちゃんには悪いことしたけど…」
(絶対涅サン、名無しサンのご飯食べるための口実なんじゃ…)
こうして十二番隊に籍を置くことになった。これが今までの経緯だ。
「しかし死んだら魂魄になって尸魂界に行く、っていうのは考えてなかったっスね」
「元々生きた人間、ってのを忘れていたでしょう。浦原さん」
「だってずっと義骸に入ってたんっスもん」
「まぁそうですね」
茶を呑気に啜る名無し。
彼女の愛用のマグカップが、相変わらず良く似合う。
「…もしかして、ボクに会うために死神になったんっスか?」
「浦原さん家の名無しさんですから」
少し照れくさそうに笑う名無し。
あまりにも感慨深くて、思わず浦原は両手で顔を覆った。
「…ズルいっスよ。反則でしょう、それ」
「何がですか。ちゃんと約束守ったじゃないですか」
「いや。そうじゃなくて…いえ、何でもないっス。
…名無しサンはそういえばそういう子でしたね」
「どんな子ですか。」
「どんな時も諦めが悪いってことっス」
「…それ褒めてるんですか?」
「最高の褒め言葉っスよ」
そう言って、浦原は柔らかく微笑む。
心から待ち望んだ、穏やかな日々が漸く訪れた。
「何って、死神になったんですよ、私」
「…はい?」
浦原の驚いた顔を見て、満足そうに笑う名無し。
そうそう、この顔が見たかった。
勝手知ったる台所から茶をセルフで用意し、名無しが楽しそうに口を開いた。
for promise#05
「魂魄になって、西流魂街で日番谷くんを待ち伏せしてたんですよね。ほら、あの子休みの日は西流魂街に来るって聞いていたので。
それで、真央霊術院に入学させて貰ったんですよ」
それからはとんとん拍子だった。
鬼道はパーフェクト。鬼道衆へ配属を勧められたが、やはり護廷十三隊が良かった。
知り合いも多いし、何にせよ現世に行く頻度が違う。
歩法も六回生よりも優れているとお墨付きをもらった。夜一や浦原のおかげだろう。
そう思えば、浦原商店にいる面子は何かの道のプロフェッショナルばかりだと思い返した。
白打は先生に渋い顔をされた。
鬼道を拳にのせて叩き込む方法は、新しいアイデアだと褒められたが、やはり夜一と同じように白打自体才能があまりないと言われた。
問題は剣術だった。これが出来なければ話にならない。
避けるのは容易かった。浦原の剣戟を躱し続ける修行をしたのがよかった。
しかし実際刃を振るうとなると、そうもいかない。合格したものの名無しの知っている死神達には遠く及ばない。
剣術に関しては『要修行』と自分の中で課題にすることにした。
さて。
飛び級で進級し、入学から半年で護廷十三隊に入隊できるようになったわけだ。
睡眠時間を削って勉強や鍛錬をこなした甲斐があった。
しかしどの隊に入るか、揉めに揉めた。
どこの隊に入れるかで隊首会まで開かれてしまった。どこの隊も人手不足なのは分かっているが、本当にあれは恥ずかしかった。
『功労者だからねぇ〜。どうせならボクの隊においでよ、名無しちゃん』
『京楽さんのところは、ちょっと…』
『なんで!?』
『だって、一番隊って忙しそうですし』
一番隊撃沈。
『くっ…!名無し、どうしてお前は白打の才能がないのだ…!』
『すみません、砕蜂さん…』
『そうすれば私も監督義務の名の元に現世に行っていつでも夜一様にお会い出来るというのに』
「名無しサンより不純な動機っスね。隊長なのに」
「そうなんですよ。隊長なのに。」
二番隊は色んな意味で無理だった。
『三番隊に来るかい?名無し』
『鳳橋さんのところか…いやでも、元・市丸隊か…ちょっと保留で』
いくら彼が乱菊のために動いていたとしても、痛めつけられた禍根はまだ残る。おかげで腕を切り落とした経緯があるからだ。
三番隊は、とりあえず保留。
『回道かぁ…習っておいて損は無いですね』
『あ…でもウチの隊は殆ど現世に行かないので…』
『そうですか…あ、でも時々教わりに行ってもいいですか?勇音さん!』
『それは是非。人材育成は歓迎ですよ。いつでも来てくださいね』
四番隊、魅力的なだけど条件が合わず。
『五番隊は絶対に嫌』
『何でや!オレや可愛い雛森がおるんで!?』
『なんかムカつく眼鏡思い出すのと、平子さんの玩具になりそうなんで、絶対に嫌です』
五番隊、瞬殺。
『白哉くんのところか…』
『気心知れた恋次もいる。悪くない条件だろう』
『そうですね』
『オイ、なんでオレの時とそんな態度違うんや』
『平子さんは黙っててください』
六番隊は保留。
『七番隊は剣術重視じゃけんのぅ。欲しいのは山々じゃが、腕を磨いてからじゃな』
『そうさせて頂きます。その時は是非お願いしますね!』
射場さんはいい人だけど、今の私では隊の風潮に合わないので七番隊はなし。
『八番隊、えぇとこやろ』
『リサさんの所も…ちょっと…』
『なんでや』
『いつもエロ本読んでるんですもん』
『いつもちゃうわ。執務してる時だけや』
『それもどうなの』
エロ本普及されるのは困るので、却下。
『九番隊はいい所だぞ!』
『くっ…拳西さんもいい人なのは分かるんだけど、六車九番隊っていう羽織は着たくない…ダサい…!』
突然のカミングアウトに拳西、もとい九番隊撃沈。少し悪いことをした。
『オレが拾ったんだからここに来てもいいんじゃねぇのか?』
『それもそうなんですけど…ほら、乱菊さんの目のやり場に困るというか』
『今すぐアイツの襟を直せばいいんだな?』
現実的に考えて無理そうなので、多分十番隊もなし。残念だ。
『ウチは剣術磨いてからだな』
『ですよね。』
十一番隊も七番隊と同じ理由でなし。
『十二番隊かぁ。私、科学者タイプじゃないですしね』
『名無しは昔から霊力にモノを言わせるタイプからネ』
『一番勝手知ったるのはここなんですけどね』
十二番隊は保留。
『なんといっても空座町の担当は十三番隊だからな!隊長は今は不在だが、名無し、是非十三番隊に!』
『ルキアちゃん副隊長だもんね、確かにいいかも』
十三番隊、第一候補。
「で、何で十二番隊に入ったんっスか?」
「マユリさんが…」
『名無し。条件を足そうではないか』
『マユリさん?』
『現世調査隊員として、半永久的に現世に滞在だ。勿論、定期連絡で尸魂界に帰還は必要だがネ。悪い条件ではないだろう?』
「それで十二番隊に入ったんっスか」
「知り合い多いですし。ルキアちゃんには悪いことしたけど…」
(絶対涅サン、名無しサンのご飯食べるための口実なんじゃ…)
こうして十二番隊に籍を置くことになった。これが今までの経緯だ。
「しかし死んだら魂魄になって尸魂界に行く、っていうのは考えてなかったっスね」
「元々生きた人間、ってのを忘れていたでしょう。浦原さん」
「だってずっと義骸に入ってたんっスもん」
「まぁそうですね」
茶を呑気に啜る名無し。
彼女の愛用のマグカップが、相変わらず良く似合う。
「…もしかして、ボクに会うために死神になったんっスか?」
「浦原さん家の名無しさんですから」
少し照れくさそうに笑う名無し。
あまりにも感慨深くて、思わず浦原は両手で顔を覆った。
「…ズルいっスよ。反則でしょう、それ」
「何がですか。ちゃんと約束守ったじゃないですか」
「いや。そうじゃなくて…いえ、何でもないっス。
…名無しサンはそういえばそういう子でしたね」
「どんな子ですか。」
「どんな時も諦めが悪いってことっス」
「…それ褒めてるんですか?」
「最高の褒め言葉っスよ」
そう言って、浦原は柔らかく微笑む。
心から待ち望んだ、穏やかな日々が漸く訪れた。