for promise
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次の日。
朝から技術開発局へ歩を進めたのだが――。
「マユリさん、おはようございます……って、あれ?」
いつもいるはずの研究室はがらんとしていた。
猫背を丸めて研究に勤しむ我らが十二番隊隊長がいないではないか。
「阿近さん。マユリさん、どこか出かけちゃいましたか?」
「あぁ。なんか完現術者のサンプルが欲しいとかなんとか言ってたっけな…」
――昨晩。
名無しが持ってきた警棒と転界結柱を解析していると『なるほど。これだと――ふむ、完現術者のサンプルが欲しいネ』と言い出したらしい。
今回の事件は少なからず完現術者が噛んでいることは、分かっている。
しかし――
「サンプルって。……まさか織姫ちゃんや茶渡くんじゃ」
「いや。銀城空吾って言ってたけどな」
銀城空吾。
以前のXCUTIONのリーダーにして、初代死神代行だった男。
……確かに彼なら既に死亡しているので、尸魂界のどこかにはいるだろうが…。
「……………まさか一人で?」
「うちの隊長がそんなわけないだろ。」
それもそうか。
マユリも浦原ほどではないにせよ(というか浦原の準備が異常なのだ)用意周到・準備万端で事にあたるだろう。
「……というかサンプルって。ちょっと血液欲しいな、とかそんな軽いノリじゃあないですよね…」
「……解剖がいいトコだろ。」
ですよね。
「…人道的なサンプル貰うように説得してくださいよ、阿近さん。」
「いや、俺が言っても聞かねえだろ、あの人。名無しから言え。マッドサイエンティストは慣れてるだろ。」
「えぇぇー…そもそもあの二人キャラ被りしてるんですよ…」
「それ、浦原さんは兎も角、隊長の前で絶対に言うなよ…」
そんなことは百も承知だ。
というより、マユリも何となく自覚しているからこそ、あれだけ対抗心があるのではないのかと思うのだが。
仕方ない、研究室でのんびり待つか。
諦めに似た溜息をひとつ吐いて、質素な丸椅子に座ろうとした時だった。
けたたましく響くビープ音。
技術開発局内に反響する、大きな霊圧を感知した時の警告音だ。
「鵯州、場所は!?」
「流魂街の……って、えぇ!?待て待て、十刃のグリムジョーじゃねぇか!」
座標を割り出し、張り巡らした監視カメラを向ければ、そこには顔馴染みの破面と――
「阿近、アイツ涅骸部隊と交戦し始めたぞ!」
「はぁ!?オイ、隊長は大丈夫なのか!?」
「知らねぇよ!モニターに映ってねぇんだもん、あの人」
ルピ・アンテノール。
マユリが率いる『涅骸部隊』の一人であり、破面だ。
グリムジョーと相対した途端、ルピの触手が容赦なく地面を穿つ。
宙へ舞う土煙。
カメラの視界は最高に悪く、爆発音と地響きの音だけを辛うじて拾っていた。
「名無し。」
「いや、確かに彼とは顔なじみですけど。」
「うちの平隊員をあんなところに送り込めねぇよ…」
死神同士の戦いも大概だが、破面同士の殺し合いも大概だ。
放たれる虚弾。
絨毯爆撃のように放たれるそれは、その場に居なくとも分かる。
完全に、殺意に満ちていた。
「……まるで怪獣大戦争ですね。」
「うちの隊長が余計なことする前に止めてくれ。頼むぞ。」
for promise#23
can't fear your own world-05
……私も平隊員なんですけど。
心の中でそっと文句を呑み込み、「破面も止めてマユリさんも止めるなんて、人使いが荒いですよ」と新任副隊長に嫌味を零すのであった。
朝から技術開発局へ歩を進めたのだが――。
「マユリさん、おはようございます……って、あれ?」
いつもいるはずの研究室はがらんとしていた。
猫背を丸めて研究に勤しむ我らが十二番隊隊長がいないではないか。
「阿近さん。マユリさん、どこか出かけちゃいましたか?」
「あぁ。なんか完現術者のサンプルが欲しいとかなんとか言ってたっけな…」
――昨晩。
名無しが持ってきた警棒と転界結柱を解析していると『なるほど。これだと――ふむ、完現術者のサンプルが欲しいネ』と言い出したらしい。
今回の事件は少なからず完現術者が噛んでいることは、分かっている。
しかし――
「サンプルって。……まさか織姫ちゃんや茶渡くんじゃ」
「いや。銀城空吾って言ってたけどな」
銀城空吾。
以前のXCUTIONのリーダーにして、初代死神代行だった男。
……確かに彼なら既に死亡しているので、尸魂界のどこかにはいるだろうが…。
「……………まさか一人で?」
「うちの隊長がそんなわけないだろ。」
それもそうか。
マユリも浦原ほどではないにせよ(というか浦原の準備が異常なのだ)用意周到・準備万端で事にあたるだろう。
「……というかサンプルって。ちょっと血液欲しいな、とかそんな軽いノリじゃあないですよね…」
「……解剖がいいトコだろ。」
ですよね。
「…人道的なサンプル貰うように説得してくださいよ、阿近さん。」
「いや、俺が言っても聞かねえだろ、あの人。名無しから言え。マッドサイエンティストは慣れてるだろ。」
「えぇぇー…そもそもあの二人キャラ被りしてるんですよ…」
「それ、浦原さんは兎も角、隊長の前で絶対に言うなよ…」
そんなことは百も承知だ。
というより、マユリも何となく自覚しているからこそ、あれだけ対抗心があるのではないのかと思うのだが。
仕方ない、研究室でのんびり待つか。
諦めに似た溜息をひとつ吐いて、質素な丸椅子に座ろうとした時だった。
けたたましく響くビープ音。
技術開発局内に反響する、大きな霊圧を感知した時の警告音だ。
「鵯州、場所は!?」
「流魂街の……って、えぇ!?待て待て、十刃のグリムジョーじゃねぇか!」
座標を割り出し、張り巡らした監視カメラを向ければ、そこには顔馴染みの破面と――
「阿近、アイツ涅骸部隊と交戦し始めたぞ!」
「はぁ!?オイ、隊長は大丈夫なのか!?」
「知らねぇよ!モニターに映ってねぇんだもん、あの人」
ルピ・アンテノール。
マユリが率いる『涅骸部隊』の一人であり、破面だ。
グリムジョーと相対した途端、ルピの触手が容赦なく地面を穿つ。
宙へ舞う土煙。
カメラの視界は最高に悪く、爆発音と地響きの音だけを辛うじて拾っていた。
「名無し。」
「いや、確かに彼とは顔なじみですけど。」
「うちの平隊員をあんなところに送り込めねぇよ…」
死神同士の戦いも大概だが、破面同士の殺し合いも大概だ。
放たれる虚弾。
絨毯爆撃のように放たれるそれは、その場に居なくとも分かる。
完全に、殺意に満ちていた。
「……まるで怪獣大戦争ですね。」
「うちの隊長が余計なことする前に止めてくれ。頼むぞ。」
for promise#23
can't fear your own world-05
……私も平隊員なんですけど。
心の中でそっと文句を呑み込み、「破面も止めてマユリさんも止めるなんて、人使いが荒いですよ」と新任副隊長に嫌味を零すのであった。