for promise
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編入入学と同時に渡された浅打。
すらりと鞘から抜けば、眩い銀色の刀身が名無しを鏡のように映した。
戦いに必要なのは恐怖じゃない。
彼が言った言葉は、昨日のことのように思い出せる。
貴方が教えてくれた『覚悟』は、今も私の胸の中に。
さぁ。
前へ進め。
for promise#02
突然編入してきた少女は、栄えある特進学級である一組に編入してきた。
それも護廷十三隊・日番谷隊長の推薦を受けて、だ。
特進学級ですら先の滅却師達との戦争を目の当たりにして、自ら退学を申し入れたヤツらは何人かいた。
それは仕方ないとして、逆に編入だなんて珍しいにも程があった。
「浦原名無しです。よろしくお願いします」
ぺこりと頭を丁寧に下げ、目の前の女は物怖じせぬまま前を向いた。
物珍しさから向けられる好奇と、隊長の推薦を受けたという嫉妬と、様々な思惑が入り交じった視線を浴びているにも関わらず。
「七瀬の隣の席が空いているな。そこに座りたまえ」
「はい。」
って、俺の隣かよ!
周りの視線をものともせず、静かな足取りで俺の隣の窓際までやってきた転入生の浦原。
「よろしく」と控え目に言うと、照れくさそうに彼女は小さく笑った。…可愛い。
***
全く、どうなってるんだ。
剣術の授業をしているのだが、一筋も目の前の彼女に掠りもしない。
無駄のない動き。紙一重で躱す足さばきは明らかに素人のソレではなかった。
「なぁ、浦原。生前、剣術か何かやってたのか?」
「剣術は…してないけど、躱す練習なら死ぬ程。」
マジか。
現世は今平和な世の中になっているというのに、剣をひたすら躱す練習をしていたって…どういう状況だよ。
「だから刀を握るのなんて初めてで。昨日、夜中に素振りやってたら豆が出来ちゃったんですよ」
「なるほど。それで包帯を巻いて……って、夜中!?」
「はい。目標はここを半年で卒業することですから、自分の出来ないところは自主練して補わないと。」
意識高すぎだろ。
なんだよ、半年って。普通は六年で卒業だぞ?
「そんなに急いで、何かあるのか?」
「その、会いたい人がいるんです。その人も、死神なんですけど」
意外だった。
けれどどこか儚げに笑う彼女の表情を見たら、動機が不純なのに酷く純粋に見えてしまった。
「浦原って、努力家だな」
「それくらいしか取得がないですから」
木刀を握り直しながら彼女は笑う。
「あと…すみません、苗字で呼ばれるの慣れていないので…下の名前で呼んでもらってもいいですか?」
「…女の子に対して、か?」
「すみません。無理にとは言いませんから」
寂しそうに苦笑いする彼女を見て、俺は一度大きく頷いた。
苗字に、何かあるのだろうか。
***
鬼道の授業には、彼女は出席しなかった。
そういえば歩法の授業にもいなかったかもしれない。
噂によるとその授業枠を利用してひとつ上の学年の座学に参加しているとか。
…そういえば昨日の試験で名無しは満点を取っていたな。もしかしたら座学も夜中に勉強しているのか?アイツ。
授業終了の鐘が鳴り、中庭で行っていた鬼道の練習授業が終わった。
正直、俺は鬼道が苦手だ。誰かコツを教えてくれればありがたいんだけどな。
「やぁ、精が出るねぇ」
まったりとした、低い男の声。
授業を監督していた先生の隣に、派手な羽織を着たひとりの男が立っていた。
この人を知らない死神なんかいないんじゃないだろうか。
護廷十三隊総隊長の、京楽秋水だ。
慌てて膝をつく生徒達に倣って、俺も柔らかい芝生の上に膝をついた。
「あぁ、いいよそのままで。…あれ?あの子いないんだねぇ」
「えぇ。鬼道の授業をしていたものですから…」
「そっか。必要ないもんね」
…必要ない?誰が、なんで、
答えはすぐに分かった。
中庭に面した廊下を、二回生の教科書を抱えて早足で歩く名無し。
彼女を見つけた途端「あ、いたいた。」と声を上げて総隊長は軽く手を挙げて中庭を去っていった。
呆然とその光景を眺めるクラスの面々。
何を話しているのか分からないが安心したように表情を緩ませる総隊長と、悪戯っぽく笑う名無しの表情から察するに悪い話ではなさそうだった。
友人の笑顔に、俺はそっと胸を撫で下ろした。
「…なんだよ、あの女。授業もサボって、」
ボソリと誰かが呟いた、悪意を含んだ言葉を聞くまでは。
すらりと鞘から抜けば、眩い銀色の刀身が名無しを鏡のように映した。
戦いに必要なのは恐怖じゃない。
彼が言った言葉は、昨日のことのように思い出せる。
貴方が教えてくれた『覚悟』は、今も私の胸の中に。
さぁ。
前へ進め。
for promise#02
突然編入してきた少女は、栄えある特進学級である一組に編入してきた。
それも護廷十三隊・日番谷隊長の推薦を受けて、だ。
特進学級ですら先の滅却師達との戦争を目の当たりにして、自ら退学を申し入れたヤツらは何人かいた。
それは仕方ないとして、逆に編入だなんて珍しいにも程があった。
「浦原名無しです。よろしくお願いします」
ぺこりと頭を丁寧に下げ、目の前の女は物怖じせぬまま前を向いた。
物珍しさから向けられる好奇と、隊長の推薦を受けたという嫉妬と、様々な思惑が入り交じった視線を浴びているにも関わらず。
「七瀬の隣の席が空いているな。そこに座りたまえ」
「はい。」
って、俺の隣かよ!
周りの視線をものともせず、静かな足取りで俺の隣の窓際までやってきた転入生の浦原。
「よろしく」と控え目に言うと、照れくさそうに彼女は小さく笑った。…可愛い。
***
全く、どうなってるんだ。
剣術の授業をしているのだが、一筋も目の前の彼女に掠りもしない。
無駄のない動き。紙一重で躱す足さばきは明らかに素人のソレではなかった。
「なぁ、浦原。生前、剣術か何かやってたのか?」
「剣術は…してないけど、躱す練習なら死ぬ程。」
マジか。
現世は今平和な世の中になっているというのに、剣をひたすら躱す練習をしていたって…どういう状況だよ。
「だから刀を握るのなんて初めてで。昨日、夜中に素振りやってたら豆が出来ちゃったんですよ」
「なるほど。それで包帯を巻いて……って、夜中!?」
「はい。目標はここを半年で卒業することですから、自分の出来ないところは自主練して補わないと。」
意識高すぎだろ。
なんだよ、半年って。普通は六年で卒業だぞ?
「そんなに急いで、何かあるのか?」
「その、会いたい人がいるんです。その人も、死神なんですけど」
意外だった。
けれどどこか儚げに笑う彼女の表情を見たら、動機が不純なのに酷く純粋に見えてしまった。
「浦原って、努力家だな」
「それくらいしか取得がないですから」
木刀を握り直しながら彼女は笑う。
「あと…すみません、苗字で呼ばれるの慣れていないので…下の名前で呼んでもらってもいいですか?」
「…女の子に対して、か?」
「すみません。無理にとは言いませんから」
寂しそうに苦笑いする彼女を見て、俺は一度大きく頷いた。
苗字に、何かあるのだろうか。
***
鬼道の授業には、彼女は出席しなかった。
そういえば歩法の授業にもいなかったかもしれない。
噂によるとその授業枠を利用してひとつ上の学年の座学に参加しているとか。
…そういえば昨日の試験で名無しは満点を取っていたな。もしかしたら座学も夜中に勉強しているのか?アイツ。
授業終了の鐘が鳴り、中庭で行っていた鬼道の練習授業が終わった。
正直、俺は鬼道が苦手だ。誰かコツを教えてくれればありがたいんだけどな。
「やぁ、精が出るねぇ」
まったりとした、低い男の声。
授業を監督していた先生の隣に、派手な羽織を着たひとりの男が立っていた。
この人を知らない死神なんかいないんじゃないだろうか。
護廷十三隊総隊長の、京楽秋水だ。
慌てて膝をつく生徒達に倣って、俺も柔らかい芝生の上に膝をついた。
「あぁ、いいよそのままで。…あれ?あの子いないんだねぇ」
「えぇ。鬼道の授業をしていたものですから…」
「そっか。必要ないもんね」
…必要ない?誰が、なんで、
答えはすぐに分かった。
中庭に面した廊下を、二回生の教科書を抱えて早足で歩く名無し。
彼女を見つけた途端「あ、いたいた。」と声を上げて総隊長は軽く手を挙げて中庭を去っていった。
呆然とその光景を眺めるクラスの面々。
何を話しているのか分からないが安心したように表情を緩ませる総隊長と、悪戯っぽく笑う名無しの表情から察するに悪い話ではなさそうだった。
友人の笑顔に、俺はそっと胸を撫で下ろした。
「…なんだよ、あの女。授業もサボって、」
ボソリと誰かが呟いた、悪意を含んだ言葉を聞くまでは。