for promise
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「無茶苦茶、恥ずかしかったです」
「いいじゃないっスかぁ。ちゃんと黒崎サンに宣伝用の看板も返したし」
3年生の教室の前も通り、一護へ看板を返した。
名無しを抱えているのに驚いていたようだが、もう何も突っ込まずに呆れたように「まぁ頑張れ、名無し」と声をかけていた。
後ろの方で織姫が写真を撮っていたから、後でデータを貰うことにしよう。絶対永久保存するっス。
狼の被り物を外しながら、ボクは名無しの顔を覗き込んだ。
「で、名無しサン。」
「はい?」
「昨晩…っていうか、一昨日から仕込みやら準備で寝てないっスよね?」
赤ずきんのフードを取り払えば、気まずそうに逸らされる視線。
目の下にクマ…とまではいかないが、店舗を回っている辺りから疲労困憊の色が滲み出ていた。
「いやいや、そんなことは」
「料理の下準備、殆ど名無しサンがした・って井上サンから聞きましたけど?」
狼の着ぐるみを渡してきながら、織姫はあるお願いをしてきた。
『あまり寝ていないみたいだから、お店回った後に眠そうだったら寝かせてあげてください』と申し訳なさそうな顔で頼まれたのだ。
「それと夜中の死神の仕事とくれば、まぁ疲れるのは当然っスよね」
「…だって、最優秀賞取りたいって、言っていたし」
「そういう手を抜かないところはいいところっスけど。適度な休息は必要っスよ」
使っていなかった保健室のベッドのカーテンを開け放てば、きちんと畳まれた毛布と少し硬そうな白い枕。
「…変なこと、しませんか?」
「したいのは山々っスけど、今日はしないっスよぉ」
今日は、って何。
そう言いたげな視線でジトリと見られた後、スカートがシワにならないようにそっと彼女はベッドの上で横になった。
肩まで毛布をかけてやれば、疲れた表情でとろりと目元が緩んでくる。
「名無しサン、お疲れ様っス。夕方になったら起こしますから、ゆっくり休んでください」
「んん…一時間経ったら、起こしてくだい…」
周りの喧騒が少し遠い保健室に、冬の気配を感じる風がふわりと吹き込む。
まだ頑なに文化祭を楽しむ気でいる名無しに対して苦笑いを零して「おやすみなさいっス」とボクは声を掛けた。
for promise#10
さて。名無しも寝たことだし、着ぐるみのせいで食べられなかった出店のものを食べるか・とビニール袋を漁った時だった。
ラッピングされた黄金色のおやつ。
そのラッピング袋には見覚えがあった。
『三時のおやつ配布 スイートポテトの余り』『浦原の分』と彼女の字で書かれた付箋まで貼っている。
恐らく冷蔵庫で保管していたのだろう。
ラッピングを開ければ、中にはスイートポテトが二人分。
「……あ。」
『焼き芋はどうっスか?』
『それ、浦原さんが食べたいだけじゃないですか』
数週間前にした、名無しとボクの会話を思い出す。
焼き芋とはいかないものの、なんとかボクのリクエストを聞いてくれようとした彼女が、何だかこの上なく愛おしく思えた。
眠たかったろうに。
忙しかっただろうに。
それより何より、その会話を覚えていてくれたのが一番嬉しかった。
(あぁ、もう、本当に。狼になってしまいそうだ)
すぅすぅと寝息を立てる名無しの頬をそっと撫でて、薄く開いた唇にそっと口付けた。
「いいじゃないっスかぁ。ちゃんと黒崎サンに宣伝用の看板も返したし」
3年生の教室の前も通り、一護へ看板を返した。
名無しを抱えているのに驚いていたようだが、もう何も突っ込まずに呆れたように「まぁ頑張れ、名無し」と声をかけていた。
後ろの方で織姫が写真を撮っていたから、後でデータを貰うことにしよう。絶対永久保存するっス。
狼の被り物を外しながら、ボクは名無しの顔を覗き込んだ。
「で、名無しサン。」
「はい?」
「昨晩…っていうか、一昨日から仕込みやら準備で寝てないっスよね?」
赤ずきんのフードを取り払えば、気まずそうに逸らされる視線。
目の下にクマ…とまではいかないが、店舗を回っている辺りから疲労困憊の色が滲み出ていた。
「いやいや、そんなことは」
「料理の下準備、殆ど名無しサンがした・って井上サンから聞きましたけど?」
狼の着ぐるみを渡してきながら、織姫はあるお願いをしてきた。
『あまり寝ていないみたいだから、お店回った後に眠そうだったら寝かせてあげてください』と申し訳なさそうな顔で頼まれたのだ。
「それと夜中の死神の仕事とくれば、まぁ疲れるのは当然っスよね」
「…だって、最優秀賞取りたいって、言っていたし」
「そういう手を抜かないところはいいところっスけど。適度な休息は必要っスよ」
使っていなかった保健室のベッドのカーテンを開け放てば、きちんと畳まれた毛布と少し硬そうな白い枕。
「…変なこと、しませんか?」
「したいのは山々っスけど、今日はしないっスよぉ」
今日は、って何。
そう言いたげな視線でジトリと見られた後、スカートがシワにならないようにそっと彼女はベッドの上で横になった。
肩まで毛布をかけてやれば、疲れた表情でとろりと目元が緩んでくる。
「名無しサン、お疲れ様っス。夕方になったら起こしますから、ゆっくり休んでください」
「んん…一時間経ったら、起こしてくだい…」
周りの喧騒が少し遠い保健室に、冬の気配を感じる風がふわりと吹き込む。
まだ頑なに文化祭を楽しむ気でいる名無しに対して苦笑いを零して「おやすみなさいっス」とボクは声を掛けた。
for promise#10
さて。名無しも寝たことだし、着ぐるみのせいで食べられなかった出店のものを食べるか・とビニール袋を漁った時だった。
ラッピングされた黄金色のおやつ。
そのラッピング袋には見覚えがあった。
『三時のおやつ配布 スイートポテトの余り』『浦原の分』と彼女の字で書かれた付箋まで貼っている。
恐らく冷蔵庫で保管していたのだろう。
ラッピングを開ければ、中にはスイートポテトが二人分。
「……あ。」
『焼き芋はどうっスか?』
『それ、浦原さんが食べたいだけじゃないですか』
数週間前にした、名無しとボクの会話を思い出す。
焼き芋とはいかないものの、なんとかボクのリクエストを聞いてくれようとした彼女が、何だかこの上なく愛おしく思えた。
眠たかったろうに。
忙しかっただろうに。
それより何より、その会話を覚えていてくれたのが一番嬉しかった。
(あぁ、もう、本当に。狼になってしまいそうだ)
すぅすぅと寝息を立てる名無しの頬をそっと撫でて、薄く開いた唇にそっと口付けた。